著者
坂本 真一 三木 幸雄
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.279-286, 2015 (Released:2016-04-01)
参考文献数
56

水分子の拡散現象を画像化した拡散画像の中でも, 拡散の方向や速さの描出に特化した拡散テンソル画像は, 一方向性が強いという特徴的な構造を有する脊髄の質的評価に対して, きわめて親和性の高い画像診断法である. 拡散テンソル画像の解析から得られる各種のパラメータは, 従来の画像からは得ることのできない脊髄の微細な変化を鋭敏に反映すると考えられており, 3次元表示した拡散テンソルトラクトグラフィは, その視覚的効果から術前術中の治療計画作成にも利用されている. 現在, 拡散テンソル画像の臨床応用は急速に広がっているが, 今後はより詳細な脊髄状態の評価を可能にする非ガウス分布拡散画像に移行していくことが予想される.
著者
西村 明 坂本 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.91-99, 2010-02-01
参考文献数
16

振幅変調に基づく音響データハイディング技術を用いて,スピーカから再生される音に同期して情報を呈示するシステムを提案する.振幅変調に基づく音響データハイディング技術の特徴は,数秒の埋込時間フレームを用いて,広い周波数範囲にデータを埋め込むことによって残響や反射音,変動する付加雑音に対して頑強な点である.データ埋込済み音楽信号に対してPEAQを用いた音質劣化の客観評価を行った結果,劣化は平均的に「やや気になる」以下であることが分かった.また,データ埋込済み信号への残響及び背景雑音付加,入力過大による振幅制限,カラオケ伴奏と同期した歌詞表示利用を前提とする歌唱音の重畳による検出力への影響を,コンピュータシミュレーションによって調べた.その結果,それらの変形を経た信号からも,十分埋込データの検出は可能であり,表示の時間制御のもととなるデータフレーム境界時刻の検出精度も十分であることが分かった.