著者
高橋 法子 大竹 理恵 北郷 次郎 郡司 良治 谷口 知子 中尾 智佳子 原口 充宏 坂本 祐一郎 可児 毅
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.17-27, 2020-04-25 (Released:2020-06-01)
参考文献数
16
被引用文献数
4

我が国では1970年代より再審査制度が導入され,新たに医薬品が上市した後または既存の医薬品の新適応の承認取得後,多くの場合に製造販売後調査等 (以下,製販後調査) が実施されている.しかしながら,2018年4月に「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令等の一部を改正する省令 (改正 GPSP)」 が施行され,より科学的なアプローチに基づいた製販後調査の実施が求められるようになった.本調査では,改正 GPSP 施行後に,各社が計画する製販後調査に変化が生じているか確認した.調査方法は,各製品の審査報告書,医薬品リスク管理計画 (RMP),及び添付文書を確認し,必要な事項を抽出した後,集計及び分析を実施した.分析の結果,製販後調査では依然として使用成績調査が全体の 60%以上を占めていた.また,使用成績調査の目標症例数に関しては,500 例未満が 90 調査中 58 調査となっており,以前のような 3000 例を超えるような調査は 3 調査しかなかった.また,改正 GPSP 施行後に新しく導入された製造販売後データベース (DB) 調査に関しては,使用成績調査数には及ばないものの,13 製品 18 調査が確認された.利用する DB は,メディカル・データ・ビジョン (MDV) が 12 調査と最も多く,心血管系疾患や間質性肺炎等が複数の調査で安全性検討事項として設定されていた.なお,使用成績比較調査はなかった.一方で,追加の安全性監視活動なしで承認された製品が 2 件あった.また症例数設計では 135 調査中 88 調査で根拠が記載されおり,88 調査中 58 調査は統計学的理由を根拠にしていた.統計学的根拠は記載されているものの,多くは Rule of three という従来の製販後調査で汎用されている統計学的考え方が踏襲されていることが明らかになった.改正 GPSP 施行後,DB 調査を含む新しい製販後調査や PMDA が推奨する科学的なアプローチは企業に徐々に浸透している.今後,科学的アプローチを更に浸透させるためには,製販後調査に携わる企業側の人材の更なる向上が必要である.
著者
坂本 祐一 柳井 武志 高橋 賢一郎 中野 正基 福永 博俊 小笠原 宏 掛橋 英典
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.43, pp.14, 2010

無電極放電ランプは,長寿命,高効率,比較的高い演色性,などの特徴を有しており次世代の光源として期待されている.無電極ランプの発光状態は,プラズマの状態に依存するため,プラズマ状態を把握することは,効率改善を検討する上で有効であると考えられる.本稿では,プラズマへの伝達電力に着目し,パナソニック電工社製の球状無電極放電ランプ(150 Wタイプ)内のパワーカプラに関する設計指針を検討した.プラズマ電力,Cu管およびAl土台で消費される電力に対するフェライトコアの位置依存性を検討したところ,フェライトコアの位置を市販のランプのコアの位置よりも上昇させることで,プラズマ電力が増加することがわかった.この原因は,フェライトコアを上昇させることにより,コア下端とアルミ土台の上端の距離が離れ,アルミ土台を流れるうず電流が減少するためであることがわかった.次に,パワーカプラ(コア+Cu管+Al土台)全体の位置を変化させて解析を行ったところ,パワーカプラの上昇に伴ってプラズマ電力が増加することが確認された.同様の実験を実機にて行い,光量を測定したところ,プラズマ電力と同様,パワーカプラの上昇に伴って光量が増加し,光束とプラズマ電力の増加の傾向は比較的良い一致を示した. 以上の結果より,パワーカプラの構造はプラズマ電力に影響を与え,プラズマ電力が増加すると光量が増加する傾向にあることがわかった.
著者
貞本 和代 坂本 祐一郎 門屋 美知代 末信 敏秀
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.11-19, 2020 (Released:2021-03-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

0.3%ロメフロキサシンの点耳薬であるロメワン®のイヌ細菌性外耳炎への使用時における安全性および有効性を確認することを目的として,使用成績調査を実施した。本調査では,副作用発現状況の把握を目的とした安全性調査および,有効性および細菌学的効果を承認前に実施した治験成績と比較することを目的とした有効性調査を実施した。安全性評価の対象となった613症例のうち,3症例に副作用(嘔吐,耳擦過傷および外耳障害)が認められ,副作用発現率は0.49%であった。有効性評価の対象となった103症例における有効率は66.0%(68/103)であった。また,有効菌種であるS. intermedius,S. canisおよびP. aeruginosaの消失率はそれぞれ77.1%,79.0%および92.3%であり,ロメワン®は有効菌種に対して高い細菌学的効果を示した。以上の結果より,ロメワン®は副作用発現率が低く,有用な薬剤であることが示された。