著者
坂部 茂俊 笠井 篤信 渡邉 清孝 大村 崇 河村 晃弘 世古 哲哉 宮武 真弓 濱口 真紀 戸上 奈央 別當 勝紀
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SUPPL.4, pp.S4_71-S4_75, 2009 (Released:2015-01-24)
参考文献数
2

症例は87歳, 男性. 2008年5月16日に労作時呼吸困難感を主訴に受診した. 心拍数38回/分で完全房室ブロックがあり, 胸部X線写真では右側優位に肺うっ血所見と少量の胸水を認めたが, 心臓超音波検査で左室収縮機能は正常で, 冠動脈造影検査で有意狭窄を認めなかった. 入院当日dual chamber pacemakerを移植し, 心室ペーシングリードは右室心尖部に留置した. しかし第3病日に突然肺水腫をきたし, 心臓超音波検査で左室にたこつぼ型心筋症様の収縮異常が認められた. うっ血性心不全と診断し薬物療法を行ったが改善しないため第8病日に左室リードを追加し左室ペーシングとしたところ左室収縮能は急激に正常化し, 肺水腫も消失した. 収縮能は保たれているが拡張不全のある完全房室ブロック患者に, 心臓再同期療法が効果を示した1例と考えられた.
著者
坂部 茂俊 笠井 篤信 仲田 智之 坂井 正孝 西山 敦 説田 守道 保田 憲基 角田 裕
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.73-78, 2006

心室細動出現前後,ピルジカイニド負荷でcoved型の顕著なST上昇を示さないBrugada症候群の1例を報告する.<BR>【症例】39歳,男性.〈主訴〉痙攣.〈家族歴〉特記事項なし.〈既往歴〉(1)小児SLEのため20歳までプレドニゾロン内服(2)健診で心電図上完全右脚ブロックを指摘.〈現病歴〉2004年3月19日午前3時頃,就寝中に痙攣,失禁が蹴現した.約5分間で消失したが朝までに同様の症状が数回あり,1病院に搬送された.到着時には意識清明であったが心電図モニター装着後心房細動から心室細動へ移行し,痙攣が出現したため除細動を行った.停止直後の心電図で右脚ブロックを認めたが前胸部誘導はV2でわずかなsaddle-back型のST上昇を認めるのみであった.〈来院後経過〉心電図洞調律,64回/分,軸正,完全右脚ブロック,V<SUB>2</SUB>で0.15mVのST上昇,QT延長なし.心臓電気生理学的検査(EPS)ではAH,HV時問正常.右室心尖部からの2連刺激で5連の非持続性心室頻拍が誘発された.ピルジカイニド負荷で著明なST上昇は認められなかった.