著者
垣田 裕介
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.41-55, 2016

2015年4月から実施されている新たな生活困窮者自立支援制度は,生活保護受給に至っていない生活困窮者に対する包括的・個別的支援を目的としており,支援方法の中心に現金給付ではなく支援サービス給付を置いている点に特徴がある。新制度の実施主体である地方自治体は,制度の事業や関連資源をいかに組み合わせて対処するかを選び取っていくこととなり,事業推進の企画力や,総合相談や就労支援等の実行力が問われている。本稿では,新制度の実施に先立って2013〜14年度に実施されたモデル事業における自治体の取り組み事例等にもとづき,生活困窮者の実像,具体的な支援の内容や結果,自治体が直面する諸課題などを明らかにする。その際,マクロの制度を実際に対象者の生活やニーズに機能させる,社会政策の実質化のプロセスとして,自治体での運営(メゾ)や個別的なケースの支援実践(ミクロ)のレベルを射程に入れて分析や論点提起を行う。
著者
垣田 裕介
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度に行った研究活動は、主に次の3点である。第1に、前々年度および前年度に引き続いて、ホームレス問題や貧困・社会的排除論に関する先行研究成果のレビューを行った。本研究課題に関する文献・資料は、急速な勢いで量を増してきており、効率的にサーベイし、重点をふまえたレビューを行うためにも、全国レベルの学会や私信・メール等を通じて、研究論文の著者や関係者との意見・情報交換なども積極的に進めてきた。学内外の研究会等においても先行研究のレビュー報告や意見交換を行った。第2に、本研究課題に関する実態把握を目的として、共同研究者らと前年度に兵庫県尼崎市で行ったホームレス実態調査の分析を行い、その結果の分析および報告書執筆の作業に携わった(大阪府立大学社会福祉調査研究会編『ホームレスの実態に関する全国調査及び尼崎市悉皆調査報告書』2008年)。第3に、以上に関する研究作業を発表する作業であり、雑誌論文や共著を発表した。以上のように、平成19年度の研究活動は、先行研究のレビューや実態分析を中心として進めてきた。3年間の交付期間を通して、先行研究や実態調査データなど、非常に多くの豊富な研究材料を得ることができたため、引き続き分析・研究作業を進めていくことが課題となるとともに、当面の筆者の研究活動の深化を図ることのできる環境が整備されたといえる。
著者
中川 眞 コルナトウスキ ヒェラルド 沼田 里衣 藤野 一夫 垣田 裕介 岩澤 孝子 平田 オリザ
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、アジアに赴いて社会包摂型のアーツマネジメントの実態を調査するとともに、毎年3つの国際会議をタイ、インドネシア、そして両国以外のアジア諸国(開催国は毎年変わる)において開催し、研究者・実務家の情報交換ならびにネットワークを形成する。調査する国はインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの予定である。成果としてアジア型アーツマネジメントのツールキット(英文)と論文集(英文)を準備し、科研終了翌年度に出版する予定である。