著者
吉川 直孝 伊藤 和也 堀 智仁 玉手 聡 豊澤 康男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_125-I_130, 2011 (Released:2012-01-20)
参考文献数
6

本論文ではトンネル切羽の肌落ちにより発生した死傷災害を調査し,その発生状況を分析した.山岳トンネルでは,装薬や支保工の建て込みに際して作業員が切羽に接近して作業するが,多くの災害はそのような作業時に発生している傾向が見られた.また,肌落ちした岩塊の大きさは0.6m角程度と比較的小さいことから,肌落ち・落石災害防止対策として,切羽変位計測,十分な照度の確保,鏡吹付,導水・さぐり削孔といったソフト・ハード両面からの対策を提示した.
著者
伊藤 和也 高橋 弘樹 堀 智仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_43-I_51, 2017
被引用文献数
2

東日本大震災では,津波による被害が広範囲に及び復旧・復興工事量は多く,労働者不足や資材価格の高騰などの問題が顕在化している.このような中,建設業の経験が無い新規参入者が建設業に従事して被災する事例も報告されており,平成23年~25年に発生した建設業での死傷者数819人のうち約1/4の193人が新規参入者による被災であった.そのため,新規参入者等への安全衛生教育の充実等を図る必要がある.本報では,新規参入者等への安全衛生教育ツールとして労働災害事例を「漫画化」した教育ツールの有効性に関して,建設業の労働安全衛生教育を実施している現役講師へのアンケート調査を実施した.その結果,災害事例の漫画化に対して分かりやすいと評価が高かった.一方で,安全衛生教育のツールとしては教育目的としての災害事例を選定が必要があることが示された.
著者
堀 智仁 玉手 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_83-I_88, 2015 (Released:2016-01-31)
参考文献数
6

基礎工事用建設機械のような大型建設機械の転倒災害を調査すると,敷鉄板の端部に履帯が位置した際に大きな沈下が生じて転倒に至った事例が多く見受けられる.このような機械の安定設置に関する検討では,敷鉄板の敷設による接地圧の低減が考慮されている.しかし,履帯が敷鉄板の端部に位置した場合の接地圧増加についてはあまり考慮されていないのが現状である.建設機械は現場内を移動するため,敷鉄板の端部に機械が位置した状態でも支持されるか確かめる必要がある.本研究では,敷鉄板の敷き方と荷重分散の関係について実験的な解析を行った.その結果,敷鉄板を重ね敷きする場合,その重ね方によって荷重の分散効果が異なることが明らかになった.
著者
玉手 聡 堀 智仁 三國 智温 伊藤 和也 吉川 直孝 末政 直晃
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.326-336, 2013
被引用文献数
4

斜面工事では崩壊防止が原則として推奨される措置であるが,労働者の安全をより確実なものとするためには,崩壊の発生を仮定した対策の検討も必要と考えられる.本研究では人的被災を防止する観点からモニタリングによる崩壊予兆の把握と避難への適用について検討した.特に,工事中の仮設的なモニタリングを考慮して,浅い斜面部分のせん断ひずみ増加を簡易計測することに着目し,その有効性を確認するための大型模型実験を行った.その結果,せん断ひずみには崩壊の約7分前から定常的増加が見られ,約2分前には加速的増加に推移するクリープ的モードが崩壊プロセスに観察された.本研究では危険を2段階で指標化し,その判定のための設定値を実験から逆解析して例示するとともに,小型警報器を試作して工事現場における補助的利用の概念を提案した.