著者
三上 貴仁 末政 直晃 伊藤 和也 田中 剛
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.377-390, 2021 (Released:2021-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
2

2019年10月に日本を襲った台風19号は,東日本を中心に各地で大雨による被害をもたらした。 世田谷区と大田区の区境をまたぐ,多摩川,丸子川,谷沢川に囲まれた地域では,浸水災害が 発生した。本稿では,地域の概況や災害発生時の多摩川流域における雨量や水位の状況につい て整理したうえで,浸水深分布の調査により得られた地域の浸水状況について報告した。調査 により,地域の広い範囲で浸水が生じており,局所的に周囲より標高が低い場所で特に浸水深 が大きく,浸水深は最大で2 m を超えていたことがわかった。浸水高の分布からは,地域内を 西から東に向かって水が流れる状態になっていたことがわかった。
著者
田代 怜 末政 直晃 佐々木 隆光 永尾 浩一 伊藤 和也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00184, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
27

新たな液状化対策工法として,改良費用が安価かつ狭隘地においても施工可能な工法の開発が求められている.本研究では産業副産物を母材とする安価な微粒子を用いた微粒子注入工法の実用化を目的とし,高炉スラグ微粉末を用いた非セメント系微粒子注入材の開発を試みた.まず,ジオポリマーやドロマイトの固化原理に着目し,複数の微粒子を用いた供試体を作製し,一軸圧縮試験を行うことで強度特性から適した配合を模索した.最適な配合において水粉体比等の注入条件を変えた一次元注入実験を実施することで浸透性や改良効果を把握した.結果,半水石膏・高炉スラグ微粉末・酸化マグネシウムを用いた配合において1年以内では強度低下は起こらず,液状化対策に必要な改良強度を持つこと,水粉体比や注入流量によって改良効果が異なることを確認した.
著者
新谷 聡 末政 直晃 水谷 崇亮 西村 真二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00287, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
15

最近の港湾の基礎構造物では,大口径の鋼管杭が採用されているが,これには先端抵抗力の設計において閉塞の状況が影響を及ぼすため不確実性が高いという課題がある.そこで,鋼管杭に代わり杭先端から杭頭に向かい拡径する形状のテーパー杭に着目した.テーパー杭は,打込み過程において地盤を押し拡げ,周面摩擦力を増加させる効果が報告されている.しかしながら,大口径テーパー杭に関してはこれまで充分な知見がないため,その特性を把握するために載荷試験を実施した.その結果,大口径テーパー杭においても打込み過程において地盤を押し拡げ,周面摩擦力を増加させる効果があることが確かめられた.
著者
佐野 和弥 伊藤 和也 田中 剛 末政 直晃 小浪 岳治 谷山 慎吾
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00204, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
36

宅地擁壁の中でも空石積擁壁の地震時被害が多く発生している.しかし,施工性や施工費に課題があり宅地擁壁に最適な補強方法は存在しない.そこで,擁壁の天端から縦方向に斜杭を打設し,補強材頭部と擁壁上部を一体化させ,補強材の役割の一部を既存擁壁に担わせる簡易な耐震補強法を考えた.本研究では,その補強方法について,補強領域の大きさや補強材設置角度が補強効果に与える影響を検討するため,遠心場での傾斜土槽実験を実施した.その結果,斜杭と擁壁の距離を短くした補強擁壁では補強材に大きな引張方向の軸力が,擁壁には圧縮力が働くことで高い補強効果が見られた.一方,斜杭と擁壁の距離を長くした補強擁壁では補強領域内で崩壊が発生する内部崩壊の発生が見られた.
著者
上田 慎一郎 末政 直晃 片田 敏行 玉手 聡 有木 高明
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1387-1388, 2004

表層固結地盤とは、軟弱な不飽和土層の上部に固結層が配置された2層地盤である。模型地盤は、関東ロームを静的に締め固めた下層の上部に、セメント混合ロームで再現した固結層を配置させたものであった。支持力実験は、表層厚とそのせん断強度を変えるとともに、円形フーチングの径を変えて実施された。極限支持力の解析方法を検討した。テルツァーギ式による方法と仮想すべり面法による2つの解析値を実験値と比較した。仮想すべり面法とは、表層内に観察されたすべり面の面積にせん断強度を乗じて極限支持力を計算する方法である。検討の結果、仮想すべり面法による解析値と実験値には、比較的良く一致が見られることがわかった。
著者
田崎 陽介 吉田 郁政 秋元 宏仁 末政 直晃
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.190-195, 2018-02-15 (Released:2018-02-20)
参考文献数
18

Maintenance problem for infrastructures such as bridge, road, airport, etc., attracts keen interest in modern Japan. We have to cope with repair and maintenance for infrastructures with limited financial resources. In airport pavements, repair works are restricted by daily flight operation, so that efficient maintenance planning is required. In this paper, we try to model deterioration of an existing airport runway, which is composed of 100 units. PRI (Pavement Rehabilitation Index) for each unit is obtained by 3 to 8 times of inspection during around 28 years. PRI is an index to provide an objective evaluation of pavement surface condition, with criteria determined for judging the need for rehabilitation work on runway, taxiway, and apron pavements. Many researches and practitioners use PRI for airport pavement maintenance in Japan. The spatial distribution of deterioration in airfield pavement is not discussed in many previous studies. This study discusses deterioration curve for each unit and feature of spatial distribution. The distribution of deterioration based on PRI and the probability of exceedance of each PRI criteria in future are estimated by the proposed method.
著者
玉手 聡 堀 智仁 三國 智温 伊藤 和也 吉川 直孝 末政 直晃
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.326-336, 2013
被引用文献数
4

斜面工事では崩壊防止が原則として推奨される措置であるが,労働者の安全をより確実なものとするためには,崩壊の発生を仮定した対策の検討も必要と考えられる.本研究では人的被災を防止する観点からモニタリングによる崩壊予兆の把握と避難への適用について検討した.特に,工事中の仮設的なモニタリングを考慮して,浅い斜面部分のせん断ひずみ増加を簡易計測することに着目し,その有効性を確認するための大型模型実験を行った.その結果,せん断ひずみには崩壊の約7分前から定常的増加が見られ,約2分前には加速的増加に推移するクリープ的モードが崩壊プロセスに観察された.本研究では危険を2段階で指標化し,その判定のための設定値を実験から逆解析して例示するとともに,小型警報器を試作して工事現場における補助的利用の概念を提案した.