著者
堀 潤之
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

(A)不動性をめぐる映像理論小史、(B)不動性の映画史、(C)現代美術の映像作品における運動と不動という本研究の三本柱のうち、今年度は(A)および(B)を重点的に手がけた。(A)に関連する実績として、アンドレ・バザン『オーソン・ウェルズ』(インスクリプト刊)を上梓した。本書は、フランスの映画批評家バザンの最初の単行本である1950年刊行のオーソン・ウェルズ論の全訳に加えて、『市民ケーン』(1941)をめぐって戦後のフランスで交わされた論戦の要諦を紹介すべく、ジャン=ポール・サルトル、ジョルジュ・サドゥール、ロジェ・レーナルト、そしてバザンが同作品を論じた4篇の雑誌記事を「資料」として訳出し、「ウェルズ論争」に何が賭けられていたのかを詳述した訳者解説「ウェルズとバザン、ふたたび」を収めたものである。(B)に関しては、ジャン=リュック・ゴダールの作品分析を集中的に行った。近作『ゴダール・ソシアリスム』、『さらば、愛の言葉よ』をめぐる論考(「ウェルズ、ゴダール、偽なるものの力能」、「『さらば、愛の言葉よ』解説」)のほか、ジガ・ヴェルトフ集団期のゴダールたちの実践を詳しく振り返った(「ジガ・ヴェルトフ集団の冒険」)。