著者
横井 元治 青木 和夫 堀内 邦雄
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.116-124, 2017-08-20 (Released:2019-01-24)
参考文献数
9

自動二輪車(以下,二輪車)における狭路極低速走行(以下,一本橋走行)は基礎運転能力向上のために必須の技術であるが,その訓練方法は指導者の経験に基づいたものになっており,動作メカニズムは解明されていない.そこで本研究では,初級群と熟練群におけるライダーの動作と車体の挙動の差を明確にし,一本橋走行の指導向上につなげていくことを目的とした.実験は熟練度の異なる14名のライダーにおいて,二輪車を用い走行制限の高い狭路での走行を実施した.その結果,継続した低速での走行を可能としていた熟練群は,一本橋走行中に,(1)大きなハンドル転舵角領域を活用し走行する.(2)頭部のロール動作を少なくしている.(3)ハンドルの上下方向の荷重を活用し走行する.という3つの特徴的な操作および動作が確認できた.以上の結果から,ハンドルの上下方向の荷重を活用して頭部ロールを抑制することが,一本橋走行技術の向上につながり,新たな指導法として有効である可能性が示唆された.
著者
半田 幸子 堀内 邦雄 青木 和夫
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.139-147, 2004-06-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
35
被引用文献数
30 15

足趾および足底が立位や歩行に果たす役割は重要である. 本研究は足趾把握筋力の測定器を作製し, 足趾把握筋力の加齢による変化と, 立位の平衡調整能力および歩行時間との関係について検討することを目的とした. 測定器は Smedley 式握力計を改良して試作した. 足関節を保持する支柱の位置は被験者の足長に応じて調整可能にした. 測定値の再現性はR=0.953で良好であることを確認した. 被験者は各年代層を含む男女97名 (20~84歳) とした. 測定項目は足趾把握筋力, 握力, 重心動揺, 片足立位保持時間, 上肢前方到達距離および, 10m歩行時間とした. その結果以下のことが明らかになった. (1) 足趾把握筋力は加齢により低下し, 低下率は握力よりも大きい傾向を示した. (2) 足趾把握筋力と握力, 開眼片足立位保持時間, 上肢前方到達距離および, 10m歩行時間の間には有意な相関が認められた. (3) 重心動揺とは相関が認められなかった. これらのことを検討した結果, 足趾把握筋力は立位の保持や前傾への耐性などの平衡調整に影響を与えると考えられ, 高齢者の転倒事故対策などに応用可能であると思われる.