- 著者
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岩木 和夫
林 譲
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.134, no.4, pp.207-211, 2009 (Released:2009-10-14)
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
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検出限界は,ある物質を検出できる最少量であり,ノイズとシグナルの境界とも言える.科学としての学問的興味から,分析化学の分野では数十年前から熱心な研究が行われている.一方,ある物質が存在するか否かは,クリティカルな国際問題とも成りえることから,国際ルールである分析法バリデーションにおけるパラメータとして採用されている.たとえば,ISO,IUPACなどで検出限界が取り上げられている.しかし,検出限界の概念を統計学的に与えてある解説は多いが,実際に求める方法を提示してある文献は少ない.現実には,分析者は,自分の分析法の検出限界を自分の責任で推定し,提出または公表しなければならない.しかし,求めた検出限界の信頼性が最も重要な問題である.数少ない繰り返し測定から求めた検出限界は,求めるごとに数倍異なることもある.少ない実験からの検出限界はばらつくことを知りながら,その偶然の値を採用し,危険な物質の検出限界を大きく推定することや,発見したい目的物質の検出限界を小さく見積もるのは反則である.本稿では,ISO11843 Part5の方法を解説する.この方法は,統計的に信頼できる検出限界を与えるので,国際的に通用するデータの信頼性を保証できる.分析法としては,競合法ELISAと非競合法ELISAを例に挙げる.