著者
堀田 一弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.1624-1633, 2005-08-01
被引用文献数
4

本論文では, 局所カーネルの和に基づくSupport Vector Machine(SVM)を用いた部分的な隠れに頑健な顔検出法を提案する. 近年, SVMを用いた顔検出法の有効性が報告されているが, 従来手法では画像から抽出した大局的な特徴に対して一つのカーネルを適用していた. 大局的な特徴は部分的な隠れの影響を受けやすいので, 従来手法は隠れに頑健でないと考えられる. SVMに基づく顔検出法に部分的な隠れに対する頑健性を付与するためには, 局所特徴をうまく扱う必要がある. ここでは, 局所特徴をうまく扱うために局所カーネルを導入し, その統合法として和を用いた. 実験では, 人工的な隠れを含む顔画像や光源方向の変化により生じた影を含む顔画像を用いて従来の大局カーネルに基づくSVMとの比較を行い, 提案手法の隠れに対する頑健性を示した. また, サングラスやマフラー等の実際的な隠れを含む顔画像から顔を検出できることも確認した.
著者
堀田 一弘
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.258-267, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
90
被引用文献数
1

画像認識分野では,ILSVRC2012でconvolutional neural networkが圧倒的勝利を収めて以降,大量の教師付き画像とconvolutional neural networkを用いることがデファクトスタンダードとなった.しかし,最近になり,教師なし表現学習やconvolutional neural networkとは異なる方法であるTransformerを用いた認識法が提案され,ディープラーニングに基づく画像認識は更に進展しつつある.本稿では,教師なし表現学習とTransformerを中心に最近の画像認識の研究動向を紹介する.
著者
関口 涼平 高橋 治久 堀田 一弘
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2009-MPS-75, no.23, pp.1-6, 2009-09-03

本論文では,カーネル判別分析 (KDA) に基づいた新しい多クラス識別器を提案する.KDA は主にパターン識別の前処理として用いられ,線形判別分析を使う場合に比べ良い識別性能が出せることが知られている.しかしながら,その性能は SVM と同様カーネルパラメータに大きく依存し,学習における最適なカーネルパラメータを導くには膨大な事前実験を必要とする.このため学習そのものよりも事前実験に要する計算量が膨大になり応用の障害になっている.本論文では,KDA に対し,分離度の理論に基づいて最適なカーネルパラメータを自動決定するアルゴリズムを提案し,計算機実験によりその性能を評価する.SVM との計算機実験による比較により,提案手法が少ない計算時間でより良い性能を達成できることを示す.
著者
岸本 貴之 高橋 治久 堀田 一弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.27-32, 2009-01-15

本稿では,日本語形態素解析の精度を,条件付確率場 (CRF) による係り受け解析を用いて,改善する方法を提案する.従来の確率モデルによる形態素解析は,一般的に,1 個または 2 個前までの単語の品詞情報の相関関係によって,最適な候補を絞り込むというやり方を行っていた.しかし,それだけでは解析できない事例が存在しており,もっと広い範囲での単語の相関や,構文関係などを考慮に入れたモデルを考える必要がある.本稿では,形態素解析結果の候補に対し,係り受け解析を行い,その尤度を最大にする形態素解析結果により係り受け解析を選択する方法が,精度改善に有効であることを,従来法との比較実験により示す.This paper presents a method of improving Japanese morphological analysis via Conditional Random Fields (CRFs) using the dependency analysis. Many existing probabilistic methods select a correct tokens by the correlation analysis between adjoining words and their part-of-speech. However, some instances cannot be correctly analyzed only with the correlation between adjoining words. In order to improve the accuracy, it would be needed to take into account correlation of words in wider range as well as syntactical features. We show that maximizing the likelihood of the dependency analysis for candidates of correct tokens improves the accuracy by computer experiments.