著者
林 信太郎 岡田 豊博 堤 久 熊川 寿郎 森 眞由美
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.373-376, 1999-05-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

症例は72歳男性. 1991年頃より膝関節痛が出現しNSAIDsが投与された. 同時期に軽い腎障害を指摘された. 1993年に貧血 (Hb 9g/dl台) を指摘された. 1996年7月に下腿の浮腫と息切れを主訴に当院に受診し, 貧血の進行 (Hb 6.9g/dl) と腎障害 (Cr 1.5mg/dl) を認め入院となった. 貧血の主因として骨髄異形成症候群 (以下MDS) が, 腎障害の精査で行った腎生検でIgA腎症が確認された. また10月下旬には両側手, 膝関節に関節炎が出現した. このためプレドニン20mg/日を開始したところ, すみやかに関節炎は消失し, 貧血と腎機能にも改善傾向がみられた.本例は経過中にMDS, 腎障害, 関節炎と多彩な臨床像を呈したが特にMDSと成因の一つに骨髄異常を指摘されているIgA腎症の合併例はこれまでになく, 本報告が一例目と思われる.
著者
堤 久 大田 雅嗣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.2021-2025, 2006-10-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

加齢に伴い赤血球諸値の低下をみるが, 高齢者では貧血の定義を男女一律にヘモグロビン濃度11g/dl以下とするのが実際的である. 高齢者では, 自覚症状に乏しかったり貧血らしからぬ症状を呈することも多い. 貧血の原因としては, 消化管出血による鉄欠乏性貧血, 慢性炎症に伴う二次性貧血, 腎性貧血などが多く骨髄異形成症候群も重要である. 貧血の治療は原因療法が基本だが, 輸血療法を行う場合は心不全の予防などの配慮を要する.