著者
丸山 裕美子 笠原 善弥 塚田 弥生 荒井 和徳 米田 憲二 室野 重之 吉崎 智一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.119, no.6, pp.867-873, 2016-06-20 (Released:2016-07-02)
参考文献数
15
被引用文献数
3

口蓋扁桃摘出術は主に良性疾患に対し若年者を対象として行われることが多い一般的な手術であるが, 時に致死的経過をたどる危険性をもつ. 今回19歳女性の扁桃摘出術中に制御困難な咽頭出血を認め選択的動脈塞栓術により救命し得た症例を経験した. 扁桃摘出術中の重篤な出血に対する血管内治療はこれまで報告されていないが, 安全で有効な治療法の一つとして検討する価値があると考えられた. また自施設における5年間の扁桃摘出術症例を検討したところ, 後出血は11.8%に認められ, 出血レベルは全例グレード1 (保存的加療で止血) であった.
著者
丸山 裕美子 塚田 弥生 平井 信行 中西 庸介 吉崎 智一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.53-61, 2015-01-20 (Released:2015-02-05)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

Vocal cord dysfunction (VCD) における声帯奇異運動は一般的に一過性かつ発作性である. われわれは36例の VCD 加療経験の後, 持続的に声帯奇異運動を認める症例を経験し, 声帯奇異運動が「口すぼめ吸気法」施行中に改善し呼吸法中止により再発することを確認した. VCD は気道刺激に対する声門閉鎖反射亢進と, 吸気時の声門下陰圧に対する能動的声帯内転運動により生ずると考えられている. 今回われわれが初めて提唱した「口すぼめ吸気法」は, 緩徐な吸気の実現を容易にし, 声門上腔の陰圧化により声門上下腔の気圧差を減少でき, 器具を用いず即実行できる簡便な方法であり, VCD に対し試行する価値があると考える.