- 著者
-
塩沢 健一
- 出版者
- Japanese Association of Electoral Studies
- 雑誌
- 選挙研究 (ISSN:09123512)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, pp.125-137,174, 2004-02-28 (Released:2009-01-22)
- 参考文献数
- 22
住民投票とその後の選挙で投票結果にズレが生じる「民意のねじれ」とも呼ぶべき現象がしばしば起こるのは何故か。これまで一般的には,「政策か人か」という投票対象の違いなどによるものと考えられてきた。だが,こうした解釈は「民意のねじれ」の一部分を説明しているに過ぎない。そこで本稿では,両者の年代別投票率の違いに着目した。両者を比較すると,若い層ほど住民投票での投票率が高く,また「反対」傾向も強い。徳島市の住民投票では通常の選挙の傾向とはやや異なり,40代の投票率が最も高く,20代と70代以上が最も低かった。こうしたデータを基に,住民投票と選挙では各年齢層による投票参加の傾向が異なることもまた,「民意のねじれ」に一定の影響を与えている可能性が高いことを明らかにした。以上の分析結果から,最後に,住民投票で若年層の投票参加が高まる要因などについての仮説を提出する。