著者
本田 由美 貝谷 久宣 境 洋二郎 坂元 薫 佐々木 司 高橋 美保
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.24-37, 2021-11-30 (Released:2022-01-14)
参考文献数
32

社交不安症(SAD)の患者が専門的支援に繋がることを阻害あるいは促進する要因,および専門的支援を受けることが患者にとってどのような体験であるかを調査した。SAD患者5名に対し実施したインタビュー内容についてKJ法を援用した質的分析を行った結果,促進要因としては症状悪化が挙げられ,SAD認知度の更なる向上が必要であることが示唆された。阻害要因としては「病気ではなく性格」と考えたことや周囲の無理解,心理的・物理的ハードルが挙げられ,阻害要因の低減のためにはインターネット情報の活用が有効と考えられた。専門的支援を受ける体験においては,支援先を変更する患者が多く見られ,適切なSAD対処や丁寧な説明姿勢など,支援を受け続けるモチベーション維持の必要性が窺われた。また,適切な心理教育により,自らの症状を性格とは捉えなくなるなど,症状との向き合い方が変容する様子が見られた。
著者
江花 昭一 山本 晴義 秋庭 篤代 吉村 佳世子 境 洋二郎 津久井 はるみ 天保 英明 川原 健資 津久井 要
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.111-117, 2000
参考文献数
14
被引用文献数
1

心身医療は問題や疾患の同定から始めproblem talkを行うのが通例であり, 問題に焦点を当てずsolution talkを行う解決志向アプローチとは必ずしも整合的でない.また, 解決志向アプローチは多忙な臨床現場で十分な効果が発揮できる方法であろうか.今回われわれは, 2症例の検討を通して, これら2点の調査を行った.その結果, 多忙な日常臨床においても, 治療関係のタイプを吟味する, 問題を解決の資源として活用する, 可能性を引き出す対話を行う, 定型的質問を使用するなどの技法が実行可能かつ有効であった.解決志向アプローチは, 心身医療に組み込んでも, 解決を速やかにもたらし定着させる有用な方法であると考えられた.