著者
及川 聡子 西 政佳 由比 進 柏木 純一 中島 大賢 市川 伸次 木村 利行 大平 陽一 長菅 輝義 黒田 榮喜 松波 麻耶 下野 裕之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.259-267, 2019-10-05 (Released:2019-11-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

寒冷地における水稲栽培の作期拡大を目的として,雪解け後の春作業の制約を受けない初冬播き乾田直播栽培の可能性が検討されている.水稲の初冬直播き栽培の実用化においては,出芽率の向上が極めて重要な課題である.本研究では,初冬直播き栽培での出芽率向上のため,種子表面へのコーティング素材 3種類(鉄,カルパー,デンプン)を検討した.2016/2017年に岩手県において,初冬直播き栽培での出芽率は無コーティングでは2%に低下するのに対して,3つの素材のうち鉄をコーティングした場合のみ24%まで有意に向上した.鉄のコーティングによる出芽率の向上効果を2017/2018年に4品種(ひとめぼれ,まっしぐら,あきたこまち,萌えみのり)について検討した結果,無コーティングでは1~3%であった出芽率が鉄のコーティングによって11~30%に有意に向上した.岩手県以外の4地点(北海道,青森県,秋田県,三重県)でも,同様の結果が得られた.以上,種子表面への鉄のコーティングが初冬直播き栽培での出芽率向上に高い効果を示すことを明らかにした.
著者
村田 真一 大平 陽一 野中 進 フレーブニコワ ヴェーラ ヴェスツテイン ヴィレム シャートワ イリーナ ロマーヒン アンドレイ ボチーエフ ステパン
出版者
上智大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

間芸術性(芸術の媒介性)の概念を用いて、現代の文学・映画・演劇・デザインのジャンル間で交わる要素の理論的・実践的研究を日本・ウクライナ・ロシア・セルビア・オランダの研究者と芸術家の参画を得て行ない、間芸術性と20世紀芸術に関する国際セミナー開催と出版物(『アヴァンギャルド詩学の間芸術性』、2018年、ベオグラード大学出版部)により、その国際的研究の成果をまとめた。これにより、内外の研究者のみならず、学生・院生や芸術文化に関心のある一般の人々にも、新しい芸術研究の視点と手法を提示することができた。
著者
平 陽一
雑誌
日本心療内科学会誌 (ISSN:13429558)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.222-227, 2009-11-20
著者
高木 繁光 諫早 勇一 松本 賢一 メーリニコワ イリーナ 銭 〓 大平 陽一 宮崎 克裕
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、文学作品ではナボコフの小説『絶望』、ドストエフスキイの小説『おかしな男の夢』、マラルメの『イジチュール』、中国の『紅楼夢』を、映像関係ではアレクセイ・ゲルマンなど50年代のソ連社会を舞台とした近年のロシア映画、エイゼンシュテインの映画理論、30年代から50年代のドイツ映画と親近性をもつ近いマキノ雅弘作品などを主たる分析対象として、各研究者がそれぞれの分野で、「二重世界」、「二重文化性」、「二重の知覚」といった二重性を生きる分身的主体のあり方について考察したものである。ここで分身的主体とは、ジギルとハイドのような<病的>現象としてではなく、あれでもありこれでもあるという複数的存在様態を肯定してゆく創造的エネルギーを備えたものとして捉えられている。あれかこれかという単一的世界像の見直しを促すこのような分身テーマは、複製技術時代における文学と思想と映像の相互関係を理解する上できわめて有効な手掛かりとなりうるものである。
著者
福田 あかり 白土 宏之 山口 弘道 大平 陽一 寺尾 富夫
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.8-10, 2013-03-31 (Released:2017-03-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

水稲種子を60℃の温湯中に10分間浸す処理により,日本型品種萌えみのり,べこあおばにおいて発芽が早まる効果が見られた.特にべこあおばは,種子の発芽促進法として用いられる50℃,7日間の乾熱処理を行うと,発芽率の低下が起こったが,温湯処理では発芽が促進された.このことから,乾熱処理で発芽阻害が起こるべこあおばのような品種では,温湯処理は有効な発芽促進法となる可能性がある.また,温湯処理は,休眠性の高いインド型品種タカナリ,北陸193号において,乾熱処理には及ばないものの,発芽率を上昇させた.
著者
白土 宏之 伊藤 景子 今須 宏美 大平 陽一 川名 義明
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.185-194, 2020

<p>水稲の無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培に適した播種後水管理を明らかにするために,耐倒伏性の強い水稲品種「萌えみのり」を用いて,播種後水管理が苗立ちや収量等に与える影響を検討した.秋田県にある東北農業研究センター大仙研究拠点圃場において,2013〜2017年に水管理処理として,湛水区,湛水後落水区 (7日湛水後5〜7日落水),短期落水区 (播種後7〜8日落水),長期落水区 (播種後12〜13日落水) の4水準を設け,苗立ちや収量等を調べた.苗立率は長期落水区が湛水区と湛水後落水区より多い傾向が見られた.生育や収量,品質は処理間で大きな違いはなかったが,倒伏程度は湛水区が短期落水区より大きかった.2014〜2016年に秋田県内の現地圃場2箇所で,水管理処理として,湛水後落水区 (8日湛水後3〜12日落水) と落水区 (8〜15日落水) の2水準と,対照として鉄コーティング直播区を設け (2014年を除く),苗立ちや収量等を調べた.同じ白化茎長で比較すると,所内試験と同様に落水区が湛水後落水区より苗立率が高い傾向が見られ,生育,倒伏程度,収量,品質は落水区と湛水後落水区に大きな違いは見られなかった.本栽培法は鉄コーティング直播より初期の葉齢が大きく,苗立率や収量等は同程度であった.以上より,本栽培法では播種後12日間程度落水するのがよいと考えられた.また本栽培法は鉄コーティング直播と同程度の実用性が認められた.</p>
著者
大平 陽一 竹田 博之 佐々木 良治
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.58-65, 2009 (Released:2011-03-05)

タンパク質変異米水稲品種の米粒内における種子貯蔵タンパク質の分布特性を明らかにするために、搗精歩合の異なる米粒のタンパク質含有量を調査し、米粒内の層別のタンパク質含有量と存在割合を算出した。タンパク質変異米水稲品種では、一般食用水稲品種「ニホンマサリ」と同様に、米粒の外層部である100〜>80%層に総タンパク質の44〜45%が存在した。一方、易消化性タンパク質は、いずれの品種も100〜>80%層に44〜48%が存在したが、「ニホンマサリ」では90〜>80%層に最も多く、タンパク質変異米水稲品種では100〜>90%層に最も多かった。タンパク質変異米水稲品種において易消化性タンパク質が最外層に多く集積する傾向は、低グルテリン米水稲品種より低グルテリン・26 kDaグロブリン欠失米水稲品種で顕著だった。「ニホンマサリ」では、主要な易消化性タンパク質である37-39 kDaグルテリンαと22-23 kDaグルテリンβが90〜>80%層に多く存在しているのに対し、タンパク質変異米水稲品種では、37-39 kDaグルテリンαや22-23 kDaグルテリンβの量が低下し、相対的に易消化性タンパク質に占める割合が高くなった57 kDa超過タンパク質と57 kDaタンパク質が100〜>90%層に最も多く存在していた。したがって、易消化性タンパク質の分布における品種間差異は、これらのタンパク質画分の分布特性の差異を反映したことによると推察された。易消化性タンパク質は、80〜>70%層を含む層よりも内層部ではより少ない割合でしか存在しなかったので、玄米から易消化性タンパク質を効率的に低減するには、80%程度の搗精歩合が望ましいと考えられた。
著者
大平 陽一 竹田 博之 佐々木 良治
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.58-65, 2009 (Released:2009-02-10)
参考文献数
26
被引用文献数
3

タンパク質変異米水稲品種の米粒内における種子貯蔵タンパク質の分布特性を明らかにするために, 搗精歩合の異なる米粒のタンパク質含有量を調査し, 米粒内の層別のタンパク質含有量と存在割合を算出した. タンパク質変異米水稲品種では, 一般食用水稲品種「ニホンマサリ」と同様に, 米粒の外層部である100~>80%層に総タンパク質の44~45%が存在した. 一方, 易消化性タンパク質は, いずれの品種も100~>80%層に44~48%が存在したが, 「ニホンマサリ」では90~>80%層に最も多く, タンパク質変異米水稲品種では100~>90%層に最も多かった. タンパク質変異米水稲品種において易消化性タンパク質が最外層に多く集積する傾向は, 低グルテリン米水稲品種より低グルテリン・26 kDaグロブリン欠失米水稲品種で顕著だった. 「ニホンマサリ」では, 主要な易消化性タンパク質である37-39 kDaグルテリンαと22-23 kDaグルテリンβが90~>80%層に多く存在しているのに対し, タンパク質変異米水稲品種では, 37-39 kDaグルテリンαや22-23 kDaグルテリンβの量が低下し, 相対的に易消化性タンパク質に占める割合が高くなった57 kDa超過タンパク質と57 kDaタンパク質が100~>90%層に最も多く存在していた. したがって, 易消化性タンパク質の分布における品種間差異は, これらのタンパク質画分の分布特性の差異を反映したことによると推察された. 易消化性タンパク質は, 80~>70%層を含む層よりも内層部ではより少ない割合でしか存在しなかったので, 玄米から易消化性タンパク質を効率的に低減するには, 80%程度の搗精歩合が望ましいと考えられた.
著者
諫早 勇一 望月 哲男 望月 恒子 鈴木 淳一 中村 唯史 大平 陽一 阿部 賢一
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011

19世紀ロシア文学はドストエフスキイやトルストイの文学にみるように、プロットの面から「移動」と密接につながっているばかりでなく、時空間感覚を含めたその表現においても「移動」と切っても切れない関係にあった。本研究では、19世紀ロシア文学だけでなく、20世紀ロシアの文学・芸術、さらには中東欧の20世紀文学も視野に収め、「移動」の果たした役割を再検討して、「移動」は文学表現において重要な位置を占めるだけでなく、視点という問題を介して、文学とそれ以外の芸術とを結びつける重要な要素であること、亡命・越境のような20世紀の大きな文化現象を表象するためのキーワードであることを確認した。