著者
杉田 依里 平澤 恭子 花谷 あき 鷲尾 洋介 戸津 五月 増本 健一 中西 秀彦 内山 温 楠田 聡 櫻井 裕之 大澤 眞木子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.E317-E322, 2013-01-31

BCG接種時に皮膚裂傷を来たしたことを契機にEhlers-Danlos症候群(EDS)と診断された超早産児の臨床経過について報告する。児は、母体の前期破水と絨毛膜羊膜炎のため、在胎期間27週6日、出生体重1100g、帝王切開で出生した。日齢1に左脳室内出血(IVH)I度を認め、日齢4には両側IVH II度へ急速に進行し、日齢17より出血後水頭症を認めた。脳室ドレナージ術のための予定気管挿管時に、胸膜下気胸を合併し緊張性気胸に進行した。また、日齢85の頭部MRI検査で出血後水頭症の所見に加えて、側脳室内側にくも膜嚢胞を認めた。NICU退院後の発達外来の定期経過観察では低緊張による発達の遅れが認められた。8ヶ月(修正5ヶ月)時、左鼡径ヘルニアの根治術を施行し、術中、皮膚切開創が自然拡大したエピソードがあった。9ヶ月(修正6ヶ月)時、外来でBCG接種を施行した際に皮膚裂傷を生じた。皮膚裂傷に対し、形成外科で縫合術と皮膚組織生検を行った。この病理所見とビロード状の皮膚や低緊張、関節可動域の亢進などの身体所見からEDSと診断した。新生児期の経過を再検討し、IVH、胸膜下気胸、くも膜嚢胞の合併は原疾患に起因する可能性があると考えられた。EDSの超早産児では、新生児期より組織脆弱性に起因する様々な合併症が起こり得ることが示唆された。
著者
増本 健 奈賀 正明 今井 勇之進
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.195-201, 1970 (Released:2008-04-04)
参考文献数
21
被引用文献数
1 6

Studies on the equilibrium between austenitic iron and nitrogen under various conditions of the maximum pressure of 920 kg/cm2 and the temperature range of 950°∼1300°C were carried out using a high temperature-high pressure equipment. It was shown that the concentration of nitrogen in austenite deviates from Sieverts’ law with increasing pressure. The cause for such discrepancy was considered thermodynamically and statistically. That is, the experimental result can reasonably be explained from the geometrical consideration that the chemical potential of a nitrogen atom in austenite with a high nitrogen content, departs remarkably from the value for the ideal random interstitial solid solution, since each interstitial atom added excludes other interstitial atoms from the seven adjacent sites. Thus, the activity of nitrogen in austenitic iron can be expressed by the following equations:(This article is not displayable. Please see full text pdf.)
著者
二宮 敏行 深道 和明 竹内 伸 増本 健 新宮 秀夫 小川 泰
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

クエイサイクリスタル(準結晶)は,從来の結晶学では存在しないとされていた対称性を持ち,1984年の発見以来,急速に発展しつつある新しい個体研究の分野である. 昭和63年度から重点領域研究「準結晶の構造と物性」が発足することを考慮し,本研究班の研究会は,広く準結晶に興味を持ち研究を進めている人人を含めて,62年11月に開催された.本年度の主な成果は次の通りである.1.準結晶構造の幾何学準結晶構造については,これまで主として,5回対称,20面体対称についての議論が多かったが,8回対称,24面体対称についての具体的モデルなどが提出された. これは,最近中国で実験的に見出された構造(NiーCr系)と対応するもので,準結晶の物理の具体的な広がりをもたらすものである.2.電子状態一次元系について,電子波束の伝播の様子の特異性などが調べられた. これは,重点領域研究で予定されている一次元準周期超格子中の電子の振舞についての実験に示唆を与えるものである. 一次元系の電子状態の理論的扱いに,新しくLie代数の方法などが提出された. また,二次元系についても,あるタイプの厳密解や,電気伝導などが調べられた.3.試料作成,物性準結晶に予想される特異な物性を実験的に観測するためには,良い試料を得ることが必須である. 普通の冷却法で作られ,融点直下での焼鈍に安定な準結晶Al_<65> Cu_<20> Fe_<15>が見出された. この試料は単相で0.2mmの大きさに達しており,成長機構の解明や物性の測定に重要な役割を果すと期待される. また, ひずみの小さな準結晶の作成のため,4元合金(磁性,非磁性のもの)の開発が行われた.