著者
麻喜 幹博 山森 温 内田 香名 竹内 誠人 加納 誠也 増田 崇光 三木 靖雄
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.717-721, 2022-08-31 (Released:2022-08-31)
参考文献数
9

初期波形VT・VFの心停止における体外循環式心肺蘇生(ECPR)は一定の効果が報告され,近年多くの施設で導入されつつある。初期波形PEAは原疾患が多岐にわたるためECPRの有効性は未確立であるが,肺血栓塞栓症に限れば予後良好である報告が散見される。 当院で救命に至った2例の肺血栓塞栓症ECPR症例は,呼吸困難の先行と肺雑音がないことを救急隊が認識できており,初期波形PEAで二次救命処置により自己心拍再開と心停止を繰り返す状態にあった。両症例とも救急隊からの第一報を的確に得ることで,病着前からECPRを準備し,病着後,心臓超音波検査で心タンポナーデを否定したうえで肺血栓塞栓症を念頭に置いてECPRを実施できたことで社会復帰に至った。目撃やbystander CPRがある心停止のうち,呼吸困難先行と肺雑音なしを確認した初期波形PEA症例はECPRを実施できる施設への搬送を考慮し,超音波検査で心タンポナーデが否定された場合は積極的にECPRを検討することが重要である。
著者
麻喜 幹博 山森 温 増田 崇光 三木 靖雄
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.259-263, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)
参考文献数
7

症例は37歳,男性。幼少期に交通外傷により前頭葉壊死となり人格障害,症侯性てんかんで近医にて投薬を受けていた。搬送前日,数剤の抗てんかん薬を含む処方薬,約40日分を過量服薬し意識障害遷延のため翌日に当院へ救急搬送された。昏睡であり胃内容物吸引・挿管施行し,集中治療を開始した。第4病日の朝に全身痙攣と,多源性心室固有調律,心室頻拍を認めショック状態となった。直流通電や強心薬の投与開始で血圧は上昇したが,左室駆出率は30%,フェニトイン血中濃度は入院時の24.6μg/mLと比し40以上と高値を示し中毒の主体と考えた。その12時間後に再度ショック状態から難治性心停止となったため,veno arterial extracorporeal membrane oxygenation(VA-ECMO)を導入した。フェニトイン除去目的に活性炭による直接血液灌流法(direct hemoperfusion, DHP)も併用した。血中濃度が改善すると循環も安定し,第8病日にVA-ECMO離脱,後日抜管し独歩で退院となった。フェニトインによる心毒性が遅発性に出現しVA-ECMOを要し,DHPの効果も確認できた稀な症例であり報告する。
著者
佐藤 孝幸 仁科 雅良 須賀 弘泰 篠原 潤 増田 崇光 髙橋 宏之 磯谷 栄二
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.971-975, 2013-11-15 (Released:2014-01-07)
参考文献数
16

子宮留膿腫は子宮腔内の感染に子宮頸管の狭窄や閉塞が加わり,子宮腔内に膿が貯留する疾患であり,高齢者に多くみられる。今回我々は,子宮留膿腫に起因する敗血症性ショックから心肺停止に至ったが,適切な加療により救命することができた1例を経験したので報告する。症例は76歳の女性。突然の呼吸困難と発汗を認めたのち意識消失したため救急搬送となった。来院後心肺停止状態となり,心肺蘇生術により心拍再開した。心拍再開後,敗血症を呈していたため,腹部,骨盤CT検査による精査を行い,子宮内に膿瘍を認め,子宮留膿腫の診断に至った。子宮留膿腫による敗血症に対して経膣的ドレナージと集中治療を行った結果,後遺症を残すことなく救命することができた。高齢女性においては敗血症性ショックから心肺停止を来す可能性があり,鑑別診断に本疾患も念頭に置く必要があると思われた。
著者
春日 紀子 高橋 宏之 坂梨 洋 安藤 大吾 小林 利道 増田 崇光 篠原 潤 佐藤 孝幸 磯谷 栄二
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.50-50, 2013-02-25

第347回東京女子医科大学学会例会 平成25年2月23日(土) 総合外来センター5階 大会議室