著者
山本 淳子 大久保 智生 藤井 浩史 辻 幸治 横山 新二 有馬 道久
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育実践総合研究 (ISSN:1345708X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.41-47, 2007

本研究では,少人数学級や複数担任による少人数指導という物理的措置(学級規模)が,保護者の学校生活認知と子育て不安とに及ぼす影響について検討することを目的とした。研究1では,小学校1年生〜3年生の保護者339名を対象に質問紙調査を実施し,「保護者用学校生活認知尺度」および「子育て不安尺度」を作成した。研究2では,小学校1年生〜3年生の保護者556名を対象に,作成した尺度を用いて質問紙調査を実施した。結果から,少人数学級に在籍する子どもをもつ保護者の「対教師認知」の平均値が通常学級の保護者に比較して高いこと,逆に「子育て不安」の平均値は最も低いことが明らかとなった。少人数学級編制の導入は,保護者の教師に対するポジティブな認知と情緒の安定にプラスの影響を及ぼすのではないかと考察された。
著者
大久保 智生 山本 淳子 藤井 浩史 辻 幸治 横山 新二 有馬 道久
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育実践総合研究 (ISSN:1345708X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.33-39, 2007

本研究では,少人数学級や複数担任による少人数指導という学級規模が児童の学級適応に及ぼす影響について検討することを目的とした。附属高松小学校の1年生112名,2年生99名,3年生119名と附属坂出小学校の1年生75名,2年生78名,3年生80名の計563名を対象に教師の指導行動に対する認知尺度と学級適応測定尺度を実施した。少人数学級,複数担任学級,通常学級における教師の指導行動および児童の学級適応の比較を行った結果,概して,30名の少人数学級と40名の複数担任学級の児童のほうが40名の通常学級の児童よりも教師の指導行動を肯定的に認知しており,学級へ適応していることが明らかになった。最後に学級規模とその教育効果についての今後の研究の方向性について示された。
著者
江村 早紀 大久保 智生
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.241-251, 2012

本研究の目的は,個人-環境の適合性の視点から適応状態を測定する小学生用の学級適応感尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討すること(研究1)と作成された学級適応感尺度と学校生活の要因(教師との関係,友人との関係,学業)との関連を学級の特徴別に検討すること(研究2)であった。研究1では,因子分析の結果,「居心地の良さの感覚」「被信頼・受容感」「充実感」の3因子が抽出された。作成された学級適応感尺度は,信頼性と妥当性を有していると考えられた。研究2では,担任教師が認知している学級雰囲気をもとに学級を分類して,学級への適応感と学校生活の要因との関連について重回帰分析を用いて検討した。その結果,学級への適応感と「友人との関係」が最も強く関連する学級もあれば「教師との関係」が最も強く関連する学級もあったように,学級への適応感と学校生活の要因との関連の仕方は学級により異なっていた。また,どの学級においても「教師との関係」が児童の適応感と正の関連を示すという点で,青年の適応感と異なっていた。以上の結果から,学校における児童の適応感を検討する際には,学級集団の重要性や学級担任制という小学校固有の制度などの特色を考慮して,学級の特徴を踏まえたうえで,研究を行っていく必要性が示唆された。