著者
古川 健司 重松 恭祐 岩瀬 芳江 三上 和歌子 星 博子 山本 淳子 大塚 藍 阿部 宏子
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.1154-1161, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
19

【目的】がんは糖質の取り込みが多いことに注目し、糖質制限の厳しいケトン食を用いて、化学療法併用による臨床での安全性と効果を調べた。【方法】当院の倫理委員会の承認の元、ステージⅣの大腸がん、乳がん患者に対し、ケトン比1.5~1:1の修正MCTケトン食を3カ月摂取し、代謝、栄養状態、QOL、臨床効果を調べた。【結果】9名を対象に検討を行い、非糖尿病患者では、ケトン食によりケトーシスにはなったが、尿中排泄によりアシドーシスは軽度であった。-5.4%の体重の有意な減少を伴ったが、肝・腎機能は保たれ、抗がん剤併用でもQOLを下げず、奏効率67%、病態コントロール率78%で、がんの縮小は、血中総ケトン体値とQOLスコアに相関関係が示唆された。【結論】修正MCTケトン食は、抗がん剤併用でも、3カ月の短期間ではあるが、進行がん患者にも安全な食事療法であり、がんの縮小も血中ケトン体値とQOLスコアに相関が示唆された。
著者
梅本 雅 大浦 裕二 山本 淳子 清野 誠喜 櫻井 清一
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

農産物直売所と地域スーパーにおける、それぞれ約20名の消費者モニターの視点軌跡、発話記録、記憶の状況等に関するデータの解析から、商品購買の際に被験者が記憶している属性数は限られており、特定の属性が基準を満たしているかどうかを確認する方式で商品選好が行われていることや、消費者は商品とPOPとを短時間にチェックしており、両者を交互に頻繁に確認しつつ商品選好を行っていることを確認した。また、29名の消費者モニターに対して視点軌跡把握計測装置を用いた実験を行った。具体的には、Cスーパーの野菜売り場などのスライドを15枚提示するとともに、店舗標準POPと試験POP(機能性やレシピなどの情報を付加したものをレタスやぶなしめじなど4種類の野菜に設置)、さらに、事前の被験者への話しかけ(スライド表示直前に「レタスがお買い得だそうです」や、「夕飯の献立を意識して店舗の様子を見てください」と説明)を行った場合と行わない場合の合計4つの試験区を設定し、被験者のPOP及び商品への注視時間を比較した。その結果、試験用POPでは、POP及び商品に対する注視時間が有意に多かったが、話しかけ有りと無しでは、注視時間の有意な差はなかった。但し、後者については、レタスについては効果がなかったが、ぶなしめじでは注視時間が有意に多かった。このことは、POP内容の工夫や、献立を考えるなど想起購買をもたらすような消費者への働きかけが、商品への消費者の注視を得る上で有効となることを示唆している。この点で、これらの分析結果は、産地マーケティングとして、消費者の注目を得やすいPOP内容や情報提供方法の構築に活用できると考えられる。
著者
山内 知子 小出 あつみ 山本 淳子 大羽 和子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.260-264, 2010 (Released:2014-10-03)
参考文献数
12
被引用文献数
2

本研究の目的は,学生の箸の持ち方の実態を把握し,受けた指導や食事マナーに対する意識との関連を明らかにすることである。写真撮影法により,87名の女子学生の箸の持ち方を分類した。伝統群は60.9%,その他非伝統群は39.1%あり,多くの女子学生が伝統的な持ち方を身につけていないことがわかった。非伝統群の箸の持ち方は6種類に分類できた。伝統群は幼児期から長期にわたり父母の指導を受けており,伝統的な箸の持ち方が習慣化した。一方,非伝統群は指導を受けた時期が遅く,指導期間も短期間であった。幼児期までに伝統的な箸の持ち方を継続的に教育する必要性が示唆された。伝統群は非伝統群より箸の正しい持ち方や家族揃って食事をすることの大切さに関して有意に(p<0.05)意識が高かった。両群ともに伝統的な箸の持ち方を次世代に継承したいと考えていた。
著者
山本 淳子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.35-43, 2006-09-10 (Released:2017-08-01)

『権記』は一条院が出家後死の床で詠んだ歌を記し、後に「其の御志は皇后に寄するに在り」とする。近年この「皇后」を時の中宮彰子ではなく故定子だとする新釈が提出された。検証のため『権記』中の定子と彰子の呼称を全て調査すると、「皇后」は彰子立后当初は彰子専用だったが、定子崩御後は定子専用の語となったと判明、当該「皇后」は定子との結論に達した。これを受け、行成がそう考えた要因を考察、彼の見方に従う本歌通釈を試みた。
著者
山本 淳子
雑誌
人間文化研究
巻号頁・発行日
no.38, pp.242-216, 2017-03-10
著者
山本 淳子
出版者
臨川書店
雑誌
国語国文 (ISSN:09107509)
巻号頁・発行日
vol.87, no.8, pp.17-33, 2018-08
著者
田上 不二夫 山本 淳子 田中 輝美
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.135-144, 2004-03-30 (Released:2012-12-11)
参考文献数
77
被引用文献数
8 5

本論の目的は, 教師のメンタルヘルスに関わる研究を教師のストレスに焦点をあてて概観し, 今後の課題について検討を行うことである。はじめに, 教師のストレスに影響を及ぼす要因を, その職業の特性から3つ (職業の特殊性, 個人特性, 環境の特異性) に分類し, 概観した。そして, 要因間に複雑な関連はあるものの, 教育現場へのより具体的な提言を可能にするために, ある特別で限定された側面に焦点をあてた研究が必要であることや, 教師のストレス反応を引き起こす過程を明らかにするような研究が必要であると論じた。次に, 教師や学校組織によるストレス軽減のための方法について検討している研究を, その取り組みの形式から2側面 (教師のスキル向上と学校組織の再構成) に分類して概観した。最後に, 組織・個人双方向からのアプローチの重要性を指摘するとともに, 地域や学校関連機関との連携に関する研究の必要性について論じた。
著者
山本 淳子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.35-43, 2006-09-10

『権記』は一条院が出家後死の床で詠んだ歌を記し、後に「其の御志は皇后に寄するに在り」とする。近年この「皇后」を時の中宮彰子ではなく故定子だとする新釈が提出された。検証のため『権記』中の定子と彰子の呼称を全て調査すると、「皇后」は彰子立后当初は彰子専用だったが、定子崩御後は定子専用の語となったと判明、当該「皇后」は定子との結論に達した。これを受け、行成がそう考えた要因を考察、彼の見方に従う本歌通釈を試みた。
著者
西堀 すき江 小濱 絵美 加藤 治美 伊藤 正江 筒井 和美 野田 雅子 五道 紗世 廣瀬 朋香 羽根 千佳 小出 あつみ 山内 知子 間宮 貴代子 松本 貴志子 森山 三千江 山本 淳子 近藤 みゆき 石井 貴子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】愛知県は温暖な気候で、多くの河川が走り、濃尾平野、岡崎平野、豊川平野が広がり、肥沃な農地に恵まれている。また、伊勢湾に面し、漁業や海運業が発達している。山には良質な檜や杉が育ち、豊かな土地柄である。この地は長く政治の中心であった京に近く、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康など天下統一を目指した戦国武将が生まれた土地である。江戸時代には、名古屋(尾張)に御三家筆頭で東海に君臨した尾張徳川家の居城があり、岡崎(三河)は徳川家康誕生の地で、東海道の要衝として繁栄した。また、県内を横切る東海道沿いには、参勤交代の大名や旅人が利用する宿場が9か所あり、それぞれの名物や土産物が作られ、商業が盛んであった。このような地の利と長年の風習が、今の「派手好き」「倹約家」などの県民性を生み出した。日常的には質素倹約を旨とし、堅実家で余計なものにお金を使わず、貯金をする傾向があるが、婚礼などの行事には、思いっきりお金をかけて嫁入り支度をし、派手な宴を開く習わしがあった。</p><p>【方法】県内を7地区に分け、聞き書き調査を平成24〜25年に、料理撮影を平成27〜28年に行った。聞き書き調査対象者は各地区に長年暮らし,その地域の家庭料理を伝承している人とした。料理作成は各地区で郷土の家庭料理の保存活動を行っている団体・個人等に協力をお願いした。</p><p>【結果】今回は、一世一代の派手な婚礼などに伴う行事食ではなく、質素ながら、地元でとれる豊かな食材を生かした、季節や人生の節目を祝うハレの日の行事食について収録した。</p>
著者
西堀 すき江 小濱 絵美 加藤 治美 伊藤 正江 筒井 和美 野田 雅子 亥子 紗世 廣瀬 朋香 羽根 千佳 小出 あつみ 山内 知子 間宮 貴代子 松本 貴志子 森山 三千江 山本 淳子 近藤 みゆき 石井 貴子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】昭和50年代までは『尾張の嫁入りは派手』といわれ,花嫁道具一式を積んだトラックに紅白幕をかけて嫁ぎ先へ運んだり,菓子撒きをしたり,豪華な料理や引き出物を用意した。このような,一世一代の行事は派手に祝うが,通常は倹約をし質素な生活をするのがこの地方の特徴であった。</p><p>【方法】愛知県を(1)名古屋市,(2)尾張水郷(海部),(3)尾張稲沢(尾張北部),(4)愛知海岸(知多,西三河・東三河の海岸,渥美),(5)西三河・安城,(6)東三河・豊橋,(7)愛知山間・奥三河の7地区に分け,聞き書き調査と料理の撮影を行った。聞き書き調査は,平成24・25年,料理の撮影は平成27年に行った。聞き書きは,各地区に長年暮らし,その地域の家庭料理を伝承されている方を調査対象者とした。撮影に当たっての料理作成は,聞き書き対象者や各地区で伝統的家庭料理の保存活動を行っている団体・個人などに依頼した。先の調査を収録した『日本の食生活全集23 聞き書 愛知食事』を参考にした。</p><p>【結果および考察】名古屋を含む尾張地区では稲作や野菜栽培が盛んで,副菜も地場でとれた野菜を生で食す以外に乾燥させたり,漬物にしたりして利用した。また,名古屋コーチンに代表される養鶏が盛んで,なんぞ事の時に鶏肉(かしわ)や卵が食された。海岸地区は伝統野菜の蕗をはじめ種々の野菜が栽培され,小魚や海藻の佃煮も多く利用されていた。三河の安城地域は,不毛の台地安祥(あんじょう)ヶ原と言われていたが,明治用水建設後は日本のデンマークと称されるようになり,農作物が豊富に栽培された。大豆・落花生も畦に作られていた。愛知山間部では山菜やきのこ,川魚などで佃煮を作り常備菜としていた。へぼなどの昆虫食も利用していた。</p>
著者
山本 淳子 梅本 雅
出版者
全国農業構造改善協会
雑誌
農業経営研究 (ISSN:03888541)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.24-35, 2012-12-25
参考文献数
17

農業労働力の減少や高齢化は年々深刻化しており,近年では大規模層でも後継者が確保できていない場合が少なくない。従来の直系家族制の下での農業の継承については,もはや限界が生じてきている。このような中,農家あとつぎによる従来の「農家型経営継承システム」に加えて「非農家型継承システム」を構築することの必要性が指摘されている(柳村)。この「非農家型継承システム」は,「農家型」,すなわち農家家族内での継承に基づかない方式として位置づけられるが,そこにはいくつかの方式が内包されていると見るべきであろう。この家族内での継承とは異なるタイプとしては,一つは組織法人における経営継承があり,複数農家から成る共同経営に新規参入者が加わり継承するタイプ(泉谷,原)や,血縁関係にこだわらず従業員の中から優れた者を経営者に登用し継承するタイプ(迫田)について,その実態や課題の検討が行われている。また,近年では,後継者不在の家族経営が行ってきた事業を技術・ノウハウを含めて家族外の第三者(新規参入者)へ継承するという「第三者継承」が,各地で取り組まれるようになってきている。まだ事例は少ないものの,平成21年度からは農林水産省の補助事業として,このような第三者継承を推進する「農業経営継承事業(実施主体は全国農業会議所)」が開始されている。この第三者継承により,経営内で後継者を確保できなかった場合にも事業が次の世代へと引き継がれ,同時に新たな担い手の育成を図ることができる。
著者
阪野 朋子 小出 あつみ 間宮 貴代子 松本 貴志子 成田 公子 山本 淳子 山内 知子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.146-153, 2015

本研究では,東海三県に居住する人々を対象に,子・母・祖母の三世代別に通過儀礼の認知と喫食状況を調べ,東海地方の特徴と伝承に影響する要因について検討した。<br> 認知率では,経験の有無が値に影響し,子世代の百日祝いと初誕生および結納と婚礼の認知率が母と祖母世代より有意(<i>p</i><0.05)に低かった。経験率では,経験時の経済的・社会的状況の厳しさと,儀礼の意義の希薄化が経験率を減少させた。しかし,母と祖母世代の長寿に見るように高齢者が同居する条件は経験率を向上させた。また,儀礼における地域活動や人々の意識の高さが認知率と経験率を向上させた。東海三県の特徴として製造量の多い外郎と漁獲量の多いアサリが儀礼食に利用されていた。
著者
西堀 すき江 小出 あつみ 山内 知子 間宮 貴代子 松本 貴志子 森山 三千江 山本 淳子 近藤 みゆき 石井 貴子 小濱 絵美 加藤 治美 伊藤 正江 筒井 和美 野田 雅子 亥子 紗世 菱田 朋香 熊谷 千佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】愛知県は尾張地方と三河地方に分かれる。また、名古屋は江戸時代より経済活動が盛んで、昭和の初期には既に人口100万人を擁した大都市で、商業や工業が発展していた。周辺の農村地帯は、豊かな生産性の高い土地で、農村特有の食文化を形成していた。一方、海岸地区では海辺に自生する植物で、奥三河の山里では木の葉でもちを包んだりし、身近な自然からの恵を利用した食文化を形成していた。<br />【方法】愛知県を①名古屋市,②尾張水郷(海部),③尾張稲沢(尾張北部),④愛知海岸(知多,西三河・東三河の海岸,渥美),⑤西三河・安城,⑥東三河・豊橋,⑦愛知山間・奥三河の7地区に分け,聞き書き調査,並びに料理の撮影を行った。聞き書き調査は,平成24・25年,撮影は平成27年に行った。聞き書きは,各地区に長年暮らし,その地域の家庭料理を伝承されている方を調査対象者とした。撮影に当たっての料理作成は,聞き書き対象者が高齢であるため,各地区の伝統的家庭料理の保存活動を行っている団体・個人などに作成依頼を行った。先の調査を収録した『日本の食生活全集(23) 聞き書 愛知食事』を参考にした。<br />【結果】茶の湯の盛んな名古屋地区は、有名な和菓子屋が数軒有り、来客時のお茶菓子や、通常のおやつは店で購入することが多かった。名古屋の和菓子として名高いういろうも購入していた。農村地帯では、稲作や年中行事に関わるおやつが多かった。奥三河地区では、貴重な米を使った五平もちはご馳走であった。また、雪深く、正月は花が咲かないことから作るもち花や、身近なほう葉を使ったほう葉もちと山間部の特徴が見られた。また、米が貴重で、もちを搗く時は、普段は必ず大豆、きび、あわ、よもぎなどを混ぜて搗いた。
著者
白井 清兼 西村 崇 山本 淳子 伊藤 興一 加藤 浩徳 城山 英明
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-106, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
30
被引用文献数
3

本論文は,地域のアイデンティティ確立を目指すまちづくりに成功した事例として,千葉県香取市(旧佐原市) の先進的な取組を取り上げ,過去の取組経緯をインタビューによって丹念に調査するとともに,関係主体の問題構造認識を分析することによって,成功の要因を抽出することを目的とする.情報収集のため,佐原の観光政策に関係する主要主体に対するインタビュー調査を実施し,また,分析に当たっては,問題構造化手法を適用した.分析の結果,「町並み保存関係者」と「佐原の大祭関係者」による独自活動がもたらした意図せざる相乗効果,市民団体による巧みな行政の活用および行政の巧妙な戦略的なプロセスマネジメントが,佐原の持続的な観光政策ならびにまちづくり型観光地形成を成立させるための成功要因であったことを明らかにした.
著者
山本 淳子
雑誌
人間文化研究
巻号頁・発行日
vol.36, pp.202-174, 2016-03-10