著者
佐藤 幸治 但木 啓一 本林 徹 藤川 忠宏 丸島 俊介 古口 章 大出 良知
出版者
東京経済大学現代法学会
雑誌
現代法学 : 東京経済大学現代法学会誌 (ISSN:13459821)
巻号頁・発行日
no.29, pp.85-139, 2015-11

出席者(肩書(本文中も含め当時)) : 佐藤幸治(元司法制度改革審議会会長・京都大学名誉教授) , 但木敬一(元検事総長・弁護士) , 本林徹(元日本弁護士連合会会長・弁護士) , 藤川忠宏(元日本経済新聞論説委員・弁護士) , 丸島俊介(元司法制度改革審議会事務局員・前日本弁護士連合会事務総長・弁護士) , 古口章(元司法制度改革推進本部事務局次長・静岡大学法科大学院教授・弁護士) , 大出良知(司会・東京経済大学現代法学部長) ; 目次 , はじめに , 国民の期待に応える司法制度の構築 , 司法制度を支える法曹の在り方 , 国民的基盤の確立 , まとめ
著者
光藤 景皎 浅田 和茂 鈴木 茂嗣 大出 良知 田宮 裕 松尾 浩也
出版者
大阪市立大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

刑事訴訟のおいて誤った事実認定に基づく有罪判決があったならば、その被告人または有罪判決を受けた者を救済する制度(方法)が用意されていなければならない。また、これらの方法が有効に機能していなければならない。われわれは、比較法的研究・歴史的研究を踏まえながら上訴・再審という現行の制度の意義を探り、「誤った裁判からの被告人の救済」に、その主たる意義を見出した。ついで、事実誤認がどのようにして起こるのかの研究を行った。これは、理論的な面と実際的・具体的な面との双方からなされなければならない。後者の面ではとくに誤判であることが明らかになった具体的事例の研究が重要である。その裁判に関係した弁護人などのヒアリングを行ったのはそのためである。また具体的事例につき訴訟記録に基づいて、何故にその事件において誤判が生じたのかを研究した。とくに控訴と再審の各論的研究がそれに当る。以上の研究をテ-マ別に掲げると大略次のとおりとなる。A.総論I、訴訟手続における上訴・再審の意義と役割、判決確定前の救済方法と確定後の救済方法、英米法型の救済方法と大陸法型の救済方法、日本における救済の実情など。B.総論II、自由心証主義の運用と問題点、適正手続の事実認定における意義、鑑定の評価、情況証拠による認定など。C.各論I、控訴審の構造と事実誤認の救済、控訴審における新証拠・新事実の取調べ、上告審における事実誤認の救済、再審理由、再審の手続など。D.各論II、個別事件を通しての事実誤認及びそれからの救済の研究。(1)弘前事件(2)島田事件(3)鹿児島事件(4)大森勧銀事件以上の構成による成果の出版作業が進行中であるが、既に各研究分担者が公表済みの諸論文をここに研究成果報告として添付する。
著者
大出 良知
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

わが国における刑事弁護は、明治初年に治罪法(1880年)によって近代的な刑事手続が導入されると同時に制度確立への第一歩を踏み出すことになった。とはいえ、公判段階(治罪法、旧々刑訴法)だけか、せいぜい予審段階になって(旧刑訴法)選任が認められていただけであり、官選弁護も限定されていた。これに対して、戦後改革は、日本国憲法34条、37条によって、被疑者段階からの弁護人依頼権を保障し、被告人に限定のない弁護士による国選弁護権を保障することになった。しかし、現行刑訴法が、被疑者段階からの弁護人「選任」権を保障したにとどまるかのような規定を置き、複疑者段階の国選弁護の規定を置かなかったこともあって、被疑者段階での弁護人選任率は、確たる統計数値はないものの低率にとどまっていたことは間違いない。そのことが、自白偏重捜査を消極的にであれ支えていた。それゆえ、学説は早くから当事者主義刑事訴訟法理論の体係化とともに、解釈論として被疑者段階の弁護権の伸張を主張してきた。自由接見交通の原則と取調立会権であり、その実効性を担保するための憲法の解釈可能性を前提とした被疑者国選弁護の導入である。これらの主張は、司法の危機といわれた司法状況の展開と弁護士の状況から生まれた「刑事弁護離れ」によって実践的には顧みられなかった。しかし、死刑確定囚4人までもが無罪であったというわが国の刑事手続の実情の打開に刑事弁護の充実・強化が不可欠であるとの認識の広がりが、日弁連刑事弁護センタ-を発足させ、当番弁護士制度を生むことになった。本研究は、このような状況変化までの経緯を総括し、その上で憲法34条、37条を基礎とした、刑事手続の全場面での弁護人の援助を可能にする解釈論を追求したものであり、その可能性を示している。