著者
浅田 和茂
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.67-84, 2008-08-01 (Released:2020-11-05)
著者
光藤 景皎 浅田 和茂 鈴木 茂嗣 大出 良知 田宮 裕 松尾 浩也
出版者
大阪市立大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

刑事訴訟のおいて誤った事実認定に基づく有罪判決があったならば、その被告人または有罪判決を受けた者を救済する制度(方法)が用意されていなければならない。また、これらの方法が有効に機能していなければならない。われわれは、比較法的研究・歴史的研究を踏まえながら上訴・再審という現行の制度の意義を探り、「誤った裁判からの被告人の救済」に、その主たる意義を見出した。ついで、事実誤認がどのようにして起こるのかの研究を行った。これは、理論的な面と実際的・具体的な面との双方からなされなければならない。後者の面ではとくに誤判であることが明らかになった具体的事例の研究が重要である。その裁判に関係した弁護人などのヒアリングを行ったのはそのためである。また具体的事例につき訴訟記録に基づいて、何故にその事件において誤判が生じたのかを研究した。とくに控訴と再審の各論的研究がそれに当る。以上の研究をテ-マ別に掲げると大略次のとおりとなる。A.総論I、訴訟手続における上訴・再審の意義と役割、判決確定前の救済方法と確定後の救済方法、英米法型の救済方法と大陸法型の救済方法、日本における救済の実情など。B.総論II、自由心証主義の運用と問題点、適正手続の事実認定における意義、鑑定の評価、情況証拠による認定など。C.各論I、控訴審の構造と事実誤認の救済、控訴審における新証拠・新事実の取調べ、上告審における事実誤認の救済、再審理由、再審の手続など。D.各論II、個別事件を通しての事実誤認及びそれからの救済の研究。(1)弘前事件(2)島田事件(3)鹿児島事件(4)大森勧銀事件以上の構成による成果の出版作業が進行中であるが、既に各研究分担者が公表済みの諸論文をここに研究成果報告として添付する。
著者
岡上 雅美 浅田 和茂 葛原 力三 小池 信太郎 小島 透 中島 洋樹 松宮 孝明 山名 京子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

本研究は、裁判員制度の下における量刑とはどのようにあるべきかを、実定法、手続法および犯罪学その他の刑事学的観点から検討することを目的としていた。そこで、2,3か月に1度、研究会を開催し、実務家等による講演会を行い、会員による研究発表を重ねてきた。また、本研究の特徴は、ドイツ量刑法を紹介し、我が国との量刑実務と比較し、ドイツ法から学ぶべき点を抽出する点にあり、これもおおむね実現した。しかしながら、ドイツの量刑法は、法律上の規定があって発展してきた側面が多く、それに基づいて緻密な量刑手続がとられていることも明らかとなった。我が国におけるいくつかの提言は多岐に渡るものであり書物として公刊される。
著者
神山 敏雄 佐久間 修 恒光 徹 垣口 克彦 浅田 和茂 斉藤 豊治
出版者
岡山大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、経済犯罪の総論的課題については、従来の日本の経済犯罪研究の歩みと研究方法を分析・検討することによって経済犯罪研究の全体像を明らかにし、そして日本における経済犯罪現象の諸相を概観することによって今後の研究課題を模索した。各論においては、以下の諸分野の経済犯罪を取り上げて研究した。先物取引の分野においては、当該取引をめぐる犯罪の現状を分析した上で、判例、捜査実務、学説の役割を検討し、今後の当該犯罪についての経済刑法の課題を指摘した。企業秘密の分野においては、企業秘密の概念やその侵害に対して刑法とその他の法律はそれぞれどのような役割を果たすべきかを検討した上で、刑法の限界を明らかにした。証券取引の分野においては、特に、インサイダー取引の現状分析とその犯罪化立法の問題点を取り上げて検討した。出資法の分野においては、従来の犯罪形態を分析した上で、これらの犯罪対策手段として行政処分と刑罰はどのような役割を果たすべきかを検討した。連鎖取引の分野においては、無限連鎖講と連鎖販売取引をめぐる犯罪を取り上げ、その実態と対策を検討した。クレジット・カード濫用の分野においては、その実態、当罰性、刑法の役割について検討した。コンピュータ濫用の分野においては、コンピュータ犯罪の動向とコンピュータ・ウイルスの問題について詳細な資料を駆使して検討を加えた。外国における経済犯罪の実態と理論については掘り下げて研究する予定であったが、当初の計画通りには進展しなかった。これまで外国の経済犯罪に関する文献について5篇を取り上げ、紹介・論評することができたが、引き続き今後の研究に委ねることにする。