著者
坂東 宏和 杉崎 知子 加藤 直樹 澤田 伸一 中川 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.804-814, 2002-03-15
被引用文献数
13

本論文では,一般的な教室環境における黒板の発展型として対話型電子白板を設置した環境を想定し,対話型電子白板上に複数の専用電子教材を起動し,それらのウインドウ領域にまたがって,かつ,それら電子教材の実行と並行して画面全体へ自由に板書が行える機能を提供する電子黒板ミドルウェアの基本構成について述べる.さらに,本ミドルウェア上で動作しているすべての電子教材の実行状態を一括して保存する機能や,一括してスクロールする機能などの,情報化の利点をより簡便に活かすための付加機能も提案する.従来のデスクトップ環境では,黒板のように画面全体への自由な板書を行うことはできない.画面全体に手書きで描画できるようにするソフトウェアも開発されているが,既存のソフトウェアでは板書内容を表示したまま起動されている他のソフトウェアに対する操作をしたり,動画表示を行ったりすることができなかった.そこで,本論文ではこれらの問題をミドルウェアレベルで解決する方法を提案するものである.また,一斉授業の中で利用しやすい電子教材を開発するための方針を明確化し,その方針に従って設計した複数の専用電子教材の試作例を提示する.このミドルウェアと専用電子教材を教育現場で試用したところ,電子教材と板書を組み合わせることで,従来の教室環境で教師が培ってきた授業経験と情報化による利点の両方を活かした授業が実現できることが示唆された.This paper presents a middleware architecture for an electronic whiteboard so that the user can run multiple educational applications on it, while being able to draw and make annotations on the whiteboard at the same time. On conventional desktop environments, one can draw lines or make annotations within a single window but cannot do so over multiple windows across a whole screen. Although some softwares allow the user to draw lines over the snapshots of multiple applications across a whole screen, it disables each application to accept users control or to change its display dynamically while showing drawn lines. The middleware we propose does not suffer from such restrictions. Moreover, it also provides features such as freezing the execution of education applications at any time and saving the state of each application so that their execution can be resumed from the saved state at a later time; and scrolling the windows of all the running applications collectively. We also propose guidelines to design educational applications running on the electronic whiteboard, and describe some experimental applications developed according to these guidelines. The experimental use of the system in actual classes suggests that the middleware is quite useful for classroom teaching.
著者
中川 正樹 東山 孝生 山中 由紀子 澤田 伸一 レー パン トゥー 秋山 勝彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.95, no.278, pp.43-48, 1995-09-28
被引用文献数
32

情報処理機器のパーソナル化の流れのなかでオンライン手書き文字認識の高度化を図るには, 現実的な字体変形が加わった筆跡パターンを一人一人につき相当量収集しておく必要がある. このことを念頭に, 文章形式, 字体制限なし, などを特徴とするオンライン手書き文字パターンデータベースを作成した. 筆跡パターン採集の対象とする文章は新聞から抜き出し,頻出の 1227 字種を含む JIS 第一水準 1537 字種が出現する文章列を約1万文字で構成した. 残りの JIS 第一水準文字は最後に文字単位で書いてもらう. この対象こ対し, 当研究室で 30 人分の筆跡パターンを採集した. また, 共同利用を前提に5人分の提供をメーカ等に呼びかけ, 9社の参加を得た. そして, 我々はさらに5人分追加した. 現在, 提供分のパターンを検査し, 誤字脱字の書き直しを依頼中である.
著者
澤田 伸一 坂東 宏和 馬場 康宏 小野 和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. コンピュータと教育研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.123, pp.9-16, 2003-12-15
参考文献数
6
被引用文献数
3

近年,小中学校でパソコンを使った授業が行われ始めており,幼稚園でも創造性を豊かにする道具として,パソコンは注目され始めている.しかし,現在のパソコンはキーボードとマウスで操作するため,文字を習う前の幼児のパソコン操作は困難である.我々はパソコンの操作をペン入力デバイスで行うことを考え,幼児が簡単に楽しく遊べるソフトウェアの試作を行った.ペン入力デバイスとして,画面の表面にタッチパネルを張った大型のプラズマディスプレイとタブレットPCを用意し,試作したソフトウェアを評価した.そのとき,同じソフトウェアでも,プラズマディスプレイの環境とタブレットPCの環境で操作に違いが見られた.本論文では試作したソフトウェアの試用から得られた見地のうち,主にひっぱる操作(ドラッグ)とつっつく操作(タップ)に注目し,それぞれの環境で幼児が多用する操作を調査し,その操作と発達段階やハードウェア環境との関係について考察する.
著者
坂東 宏和 佐藤仁美輩 大即洋子 馬場 康宏 澤田 伸一 小野 和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.74, pp.41-48, 2006-07-08
被引用文献数
3 1

本稿では,パーソナルコンピュータを活用することにより,幼稚園の先生方の負担軽減,および 遊びの拡張を図ることを目的とした 幼稚園における活動的な遊びを支援するツールの設計と試作について述べる.具体的に,本稿では 従来から保育に取り入れられている遊びの一つである,様々な形で提供されるヒントを基に宝物を探し出す「宝探しゲーム」を支援するツールについて述べる.試作した支援ツールを幼稚園で試用した結果 園児の意欲的な行動や発言が多く見られるとともに,先生方からも好意的な意見を得ることができ,本ツールの有用性が示唆されたと考える.同時に,園児へのヒントの与え方,宝物を隠す場所など,先生方が事前に行う設定に関して,今後検討すべき課題が明らかになった.This paper describes about the design and trial production of a tool for active playtime in preschools, which by applying a personal computer will achieve pressure reduction of preschool teachers and will aim to expand the sphere of playing activity. Tb be specific, this paper describes about the educational supporting tools of the game "treasure hunt", which provides various hints about finding the treasure, often played by the traditional nursery system. The tool produced as an experiment was tried out at a preschool. As a result, there were many motivated, initiative actions and statements from the preschoolers observed. Also we received favorable remarks from the teachers as well. This suggests the usefulness of this tool. At the same time, it was found out problems to be solved when setting beforehand by teachers, for example how to give preschoolers hints and where to hide the treasure.
著者
坂東 宏和 大即洋子 澤田 伸一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.96, pp.9-16, 2002-10-18

本稿では,電子的なレポートをより容易に素早く添削できることを目的とし,タブレットと電子ペンを用いた手書き文字による添削と,音声入力を用いたテキストによる添削とを併用する,レポート添削ツールの設計と実現について述べる.手書き文字による添削は,表現力が豊かであり図なども書き加えられる利点があるが,多くの添削事項を書く場合に手が疲れる,素早く入力すると読みにくくなるといった欠点がある.逆にテキストによる添削は,多くの添削事項を素早く綺麗に入力できるが,表現力に乏しい.そこで,本ツールでは,これら両方の方法を併用することでお互いの欠点を補う.さらに,テキスト入力をキーボードではなく音声によって行うことで,手書き文字とテキストのスムーズな同時入力を可能にする.This paper will describe about the design and realization of the tool to correct papers of electrical files easily and quickly. The correction would be made in two methods; handwriting with a tablet and an electronic pen, and voice inputting of text. Handwriting method has advantages of expressiveness and availability of drawing pictures, but also has disadvantages of tiring and illegibility, as well as voice inputting method's quickness and legibility for advantages, and being expressionless for disadvantages. Therefore, the tool supposed here introduced these two methods to solve problems. This simultaneousness was made possible by voice inputting, not by keyboarding.
著者
澤田 伸一 坂東 宏和 馬場 康宏 小野 和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.96, pp.1-8, 2002-10-18
被引用文献数
4

近年,小中学校でパソコンを使った授業が盛んにおこなわれている.幼稚園でも創造性を豊かにする道具としてパソコンが使われ始めた.しかし,文字を習う前の幼児にキーボードやマウスの操作は困難である.我々はパソコンの操作をキーボードやマウスではなく,ペン入力デバイスを使うことで幼児にとってパソコンを操作しやすい環境を構築することを考えた.本稿ではその環境で,幼児が楽しく遊べるソフトウェアの開発について述べる.幾つかのプロトタイプ版をもとに現場の先生と話し合って,文字を極力使わず,イラストや音声を使うといった改良点を見出した.今後,その改良を行い,幼児の運動能力やペンインタフェースの特質を考慮し,幼児が興味を持つソフトウェアを導入し,評価して幼稚園の情報化を試みたいと考えている.In recent years, the lesson using a personal computer is spreading at elementary and junior high schools. A personal computer began to be used also in a kindergarten as a tool which makes creativity rich. However, the operation of a keyboard and a mouse is difficult for the small children before learning words. We think that we want to build the environment where it is easy to operate a personal computer by using a pen device for a small child.This paper will describe about a development of the software which small children can enjoy in that environment. We found it improve the problem using illustrations and voice, reduce using words as much as possible, through the experience that we have talked about some software of prototype versions with the teacher of the kindergarten. From now on, we will improve the software, and we will be trying to computerize child care of the kindergarten, with the software that considers of the children's physical ability and of the quality of a pen interface.
著者
澤田 伸一 坂東 宏和 深尾 百合子 中川 正樹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, 1997-09-24
被引用文献数
1

留学生か日本語を学ぶとき, まず最初に学習するのが平仮名と片仮名である. 我々は, マルチメディアパソコンとタブレットを用いて, 平仮名・片仮名を書く練習と音声を聞き取って文字化する練習を行えるシステムを試作した.