著者
越後谷 智子 見延 真奈美 金沢 京子 大場 公孝 村川 哲郎
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.51-61, 1998-02-10

おしまコロニー幼児トレーニングセンターつくしんぼ学級は,1993年より自閉症とその関連するコミュニケーションに障害をもつ人たちの治療教育であるTEACCHプログラムを導入している。このプログラムは,自閉症児やコミュニケーションに障害をもつ幼児の療育に有効であったとともに,他の発達障害をもつ幼児への療育にも少なからず影響を与えた。「通園療育」の基本的な考え方や日常の療育方法は,決して単一の技法やプログラムからのみ学んだものではないが,TEACCHプログラムから得た理論的かつ実践的な知識もまたそれぞれのクラス療育やつくしんぼ学級全体の療育体制のなかで,個に即した評価や工夫によってさまざまに応用されている。自閉症やダウン症などいろいろな発達障害をもつ幼児が混在するカレーパンマンクラスのM・K君の療育を通して,その成果と課題について報告する。
著者
明庭 和行 大場 公孝 寺尾 孝士
出版者
北海道教育大学教育学部旭川校特殊教育特別専攻科障害児教育研究室
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
no.20, pp.139-144, 2001

星が丘寮において,障害の重い自閉症者であっても,我々の実践からTEACCHプログラムやジョブコーチモデルのアイデアを応用すれば,地域の一般事業所等においても働いていけるのではないかと考えた。そこで,平成7年度からジョブコーチ(専任の実習担当職員)を配置して,地域の職場等での実習を開始し,平成11年度までの5年間の取り組みから,自閉症者に対する実習支援プログラムについて考察する。
著者
真鍋 龍司 寺尾 孝士 大場 公孝
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.13-20, 2002-02-05

地域で家族との暮らしが困難になった自閉症の子ども達と関わり20年が過ぎた。居住施設で子ども達の学習や生活を支えながら,将来,この子ども達が地域で充実した暮らしをしていくことができるのであろうか,その実現のためにはどういった条件整備をしていかなければならないのか,多くの課題を抱えながら,施設スタッフや家族の要望を結集させ平成13年4月,地域で暮らす自閉症の方ご本人と家族を支援する専門機関として自閉症センターあおいそら(自主事業)を設立した。自閉症の人たちへの支援の方法は,TEACCHプログラムに多くを学び,ノースカロライナ州に9カ所あるTEACCHセンターをモデルとして,コンサルテーション(相談)業務を中心に,地域の保育園,幼稚園,学校(養護・特殊・普通)を訪問し,子ども達の理解の力や自閉症の特徴にあわせて,よりわかりやすい環境を提供するためのアイデアを提案する。自閉症児者に関わる多くの人達が障害についての理解をより高めあいながら,家族や保育士,教師,自閉症の専門家が中心となりネットワークを築き,生涯にわたる一貫した支援システムの構築を目指す,あおいそらの活動をここに紹介する。
著者
古川 宇一 長 和彦 寺尾 孝士 木村 健一郎 大場 公孝
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、自閉症児・知的障害児の生涯ケア体制の整った地域社会の創出をめざして、北海道にTEACCHプログラムを導入する10ヶ年計画の第2次3ヵ年計画のまとめをなすもので、函館・旭川両地区をモデル地区として、幼児期から成人期にいたる各ライフステージにおいてTEACCHプログラムのアイデアの有効性を検証し、関係者・機関への展開を図った。画期的であったことは、函館地区おしまコロニーが独自に、2001年4月、全国に先駆けて自閉症センター「あおいそら」を立ち上げ、活発な相談指導、コーディネート活動を展開し、地域センターとしての活動を展開した。幼児施設、養護学校、特殊学級、施設においてTEACCHプログラムのアイデアを導入するところが増え、幼児期から成人期にいたるTEACCHプログラムを基本においた一貫性のある療育システムが構築されつつあり、全道のセンター的役割を果たそうとしている。旭川地区では、幼児施設でTEACCHのアイデアを引き継ぎ、小学校特殊学級で導入する教室が増え、1成人施設が導入4年目で成果を上げている。両地域とも研究活動は親を含み継続している。本年度の研究16論文は、情緒障害教育研究紀要第21号に、1年次13論文は19号に、2年次12論文は20号に掲載されている。札幌・道央地区、帯広・道東地区では、おのおの1療育施設でTEACCHの手法を用いており、福祉施設においても積極的に導入し研修がすすめられている。札幌、旭川では、家庭教育にTEACCHのアイデアを用いた積極的な取り組みがなされている。おしまの自閉症センターと連携しながら、全道的な展開への準備が整いつつあり、次の第3次3ヵ年計画において道内4圏域でのTEACCHセンター機能の展開が課題である。