著者
大塚 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.320, pp.81-84, 2011-11-19
参考文献数
9

場の考え方は古くから東洋にあるものである。場的思考の特徴は主客非分離、自他非分離にある。近代は、主観と客観とを異なる存在として把握し、また、自己と他者とは全く異なる存在であるとする。自由な主観が必然性のある客観を個物とその因果関係として理解し、他者は自己にとって客体となる。しかし、場の量子論や脳科学は、主観と客観とは明確に分離できるものではなく、また、自己と他者は深く結びついていることを明らかにしている。この主観と客観とが相互作用する場、自己と他者が相互作用する場がまず存在し、そこから主観と客観、自己と他者が生まれてくると考えるのが場的思考であり、これを基盤とする哲学が場の哲学である。人間と似たコンピュータを創るには場的思考に立脚する必要がある。
著者
大塚 正之 井出 祥子 岡 智之 櫻井 千佳子 河野 秀樹 Hanks William. F.
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、主客非分離、自他非分離の場の理論に基づき、言語及び非言語コミュニケーションが場の影響を深く受けていること、日本語は、場の影響が大きく場内在的な言語であり、英語は場の影響が小さく場外在的な言語であり、それが日英翻訳を困難にしていることが明らかとなった。また日本語のコミュニケーションでは、複雑系における自己組織化現象が多く起きていること、当初場の影響を強く受けて活格、能格であった言語が場の影響が小さくなるに連れて対格言語化したこと、異文化コミュニケーションを行う上で、それぞれ文化が持っている場の違いがコミュニケーションの障害となっていることなどの点もある程度分かってきた。