著者
長尾 幸徳 大山 司 阿部 芳首 御園生 堯久
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.1, pp.90-96, 1988-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

10-メチルアクリドン類と置換ベンゼン類の縮合反応により10-メチル-9-フェニル-9,10-ジヒドロアクリジン誘導体を合成し,酢酸で発色させたときの可視吸収スペクトルにおよ蔭す置換基の効果を検討し,PPPMO(Pariser-Parr-PoPle molecular orbital)法などを用いてその発色機溝を考察した。10-メチル-9-フェニル-9,10-ジヒドロアクリジン誘導体(9-(p-Y置換フェニル)-X置換体)のうち,X=H,2-NMe2:Y=NMe2,NEt2の化合物は塩化ホスホリルを縮合剤として即いる方法,X=H,2-NMe2:Y=H,Cl,OCH3の化合物はGrignard反応を用いる方法,X=3-NMe2:Y=Hの化合物はフェニルリチウムを用いる方法で,相当する10-メチルアクリドン類と置換ベンゼン類の縮合によりそれぞれ合成した。このようにして合成した9,10-ジヒドロアクリジン誘導体を酢酸で発色させたときの可視吸収スペクトルを測定し置換基の効果を検討した。またその発色状態のPPPMO法計算から求めた励起のさいのπ電子密度の変化から,置換基の種類,置換位置による発色機構の違いが吸収スペクトルに大きな影響をおよぼしていることがわかった。