著者
稲益 建夫 石西 伸 児玉 泰
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.528-537, 1978-08-30 (Released:2009-02-17)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

Health examination was carried out on subjects (2 males and 5 females) who used arsenic containing hot water from the geothermal power station in Kyushu, Japan. They used the hot water only to take a bath over 4 years. The arsenic concentration measured by the atomic absorption method after generating AsH3 was 3.53μg/ml in the hot water. Waste water from the bath drained into a brook at the backyard and arsenic concentration in the brook were 0.54, 0.03 and 0.01μg/ml at the points of 0, 200 and 600m from the outlet, respectively.A special health examination was carried out on the following items: 1) Physical examination by doctors (dermatologist and general physician) 2) blood examination 3) urine analysis 4) biochemical and enzymological serum examination by SMA-12 5) determination of arsenic in urine and hair.Arsenic concentration in urine measured 3 times per day for each subject ranged from 58 to 178μg/l and it was within normal range, Arsenic concentration in hair was higher than normal range: the highest was 5.2μg/g, and for 5 of 7 subjects it was over 1μg/g. The result was suspected to be responsible for exogenous contamination such as washing of hair by hot water containing arsenic. There were no particular findings related to the arsenic poisoning.It must be emphasized that special attention should be paid to prevent the environmental popllution and health hazard caused by the hot water from geothermal power stations.
著者
小田 隆弘 古田 宗宜 稲益 建夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.237-241, 2006-10-25 (Released:2008-08-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

飲み残して密栓し室温放置したペットボトル飲料が破裂し,けがをする事故が増加しているため,飲み残しペットボトルの膨張・破裂の危険性について検討した。女子大学生145名を使ってオレンジ果汁ペットボトル飲料の飲み残しを調製させ密栓して25℃で10日間保管した結果,何も食べずに飲んだ飲み残しでは145本中9本(6.2%)にボトルの膨張が認められたが,キムチを食べながら飲んだ場合は144本中99本(68.8%)にボトルの膨張が認められた。膨張したボトル58本に衝撃付加試験を行ったところ4本が激しく破裂した。また,ペットボトルの膨張が起こりやすい飲料は,酸乳飲料や果汁飲料などの酸性飲料であり,それらの飲料の飲み残しペットボトルの膨張を引き起こす微生物は主にCandida 属酵母であることが分かった。
著者
林 辰美 伊東 るみ 本間 学 城田 知子 稲益 建夫
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

目的 幼児の食生活を含む生活習慣および食品摂取状況と年齢発達の関連を明らかにし、幼児期からの望ましい食習慣、生活習慣の確立と心身両面の健康づくりを検討することを目的とした。対象および方法 園児の保護者に対して調査票を用いて、自記入法により実施した。分析対象は16,295人である。統計解析ソフトSPSS 11.0Jを使用し、統計学的解析はX^2検定、年齢発達と生活習慣および食生活の諸要因との関連性の検討には数量化理論I類を用いた。また食品摂取状況はクラスター分析法により検討した。結果および考察 (1)朝食喫食習慣は82.6%の幼児に定着していた。朝食を食べないことが多い幼児は3.0%存在した。(2)朝食喫食習慣が定着している幼児は健康状態(X^2=65.02,df=4,p<0.001)、園の出席状況(X^2=242.96,df=6,p<0.001)も良好であった。一方、朝食欠食習慣は起床時刻、就寝時刻が遅い幼児にみられた。(3)年齢と生活習慣等の関連は、年齢(3.8±1.5歳)を目的変数とし、説明変数は生活習慣の諸要因をあげ、数量化理論論を適用すると、健康状態の偏相関係数は0.192と、高くはないが、「病気はほとんどしない」のカテゴリーウエイトは0.398であり、年齢の平均値にプラスに作用していた。(4)食品摂取状況について、クラスター形成を樹状図(デンドログラム)により解釈すると、(1)肉類、魚介類、揚げ物・妙め物のクラスターの形成が早々に見られ、副食偏重の食事がうかがえること、(2)冷凍・インスタント食品、炭酸飲料、お惣菜のクラスターの形成から簡便食の幼児が存在することが明らかとなった。結語 朝食喫食習慣の定着を図ること、また偏った食品選択の是正、主食と副食の質と量のバランスの理解を深める食育カリキュラムの内容の充実を行い、保護者を包含した食育システムやネットワーク等、食環境の整備が急務と考える。