著者
阿部 芳首 鈴木 康弘 郡司 天博 広沢 景 長尾 幸徳 御園生 堯久
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.643-649, 1997-10

新規な反応性錯体化合物として, アゾおよびアゾメチン化合物を配位子とする2-ヒドロキシ型チタンキレート錯体の合成とその熱分解を検討した。<BR>チタンテトライソプロポキシドは2当量の2-ヒドロキシアゾおよびアゾメチン化合物と定量的に反応し, チタンキレート錯体を生成した。これら錯体は, 分解点が102~115℃で熱安定性が低く, また容易に加水分解した。これらの性質は, これまでに報告している2, 2'-ジヒドロキシアゾおよびアゾメチン化合物を配位子とするキレート錯体がきわあて高い熱安定性と加水分解安定性を有しているのとは著しく異なっている。本実験で得られたキレート錯体を減圧下で熱分解した結果, 揮発成分として2-プロパノールとアセトンが生成し, 一方残渣として黒色の固体が得られた。この固体をTHFとヘキサン (1 : 10 (V/V)) で再沈殿して単離した熱分解生成物は, 配位子とチタンを構成成分とする分子量Mw2000~3700のポリマーであることがわかった。
著者
長尾 幸徳 佐藤 裕樹 阿部 芳首 御園 生尭久
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.8, pp.1088-1093, 1991-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1

8-プロモメチル-1-メチルイソキノリン臭化水素酸塩1と水酸化ナトリウムおよびナトリウムアルコキシド(アルコキシド=メトキシド,エトキシド,プロポキシド,およびイソプロポキシド)の反応により8-ヒドロキシメチルおよび各8-アルコキシメチル置換の1-メチルイソキノリン類(3aおよび3b-e)を合成した。また,1,8-ビス(プロモメチル)イソキノリン臭化水素酸塩2とナトリウムアルコキシドとの反応では1,8-ビス(アルコキシメチル)イソキノリン類4a-dが得られた。一方,化合物1とアンモニアおよびアルキルアミン類(アルキル=メチル,エチル,プロピル,およびイソプロピル)との反応では8-アミノメチルおよび8-アルキルアミノメチル置換の1-メチルイソキノリン類(5aおよび5b-e)がそれぞれ合成されたが,化合物2とアミン類との反応では閉環が起こり1H-ベンゾ[de][1,7]ナフチリジン誘導体6a-eが得られた。
著者
長尾 幸徳 大山 司 阿部 芳首 御園生 堯久
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.1, pp.90-96, 1988-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

10-メチルアクリドン類と置換ベンゼン類の縮合反応により10-メチル-9-フェニル-9,10-ジヒドロアクリジン誘導体を合成し,酢酸で発色させたときの可視吸収スペクトルにおよ蔭す置換基の効果を検討し,PPPMO(Pariser-Parr-PoPle molecular orbital)法などを用いてその発色機溝を考察した。10-メチル-9-フェニル-9,10-ジヒドロアクリジン誘導体(9-(p-Y置換フェニル)-X置換体)のうち,X=H,2-NMe2:Y=NMe2,NEt2の化合物は塩化ホスホリルを縮合剤として即いる方法,X=H,2-NMe2:Y=H,Cl,OCH3の化合物はGrignard反応を用いる方法,X=3-NMe2:Y=Hの化合物はフェニルリチウムを用いる方法で,相当する10-メチルアクリドン類と置換ベンゼン類の縮合によりそれぞれ合成した。このようにして合成した9,10-ジヒドロアクリジン誘導体を酢酸で発色させたときの可視吸収スペクトルを測定し置換基の効果を検討した。またその発色状態のPPPMO法計算から求めた励起のさいのπ電子密度の変化から,置換基の種類,置換位置による発色機構の違いが吸収スペクトルに大きな影響をおよぼしていることがわかった。
著者
御園生 尭久 吉見 武義 福田 利弘 小林 淳一 長尾 幸徳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.11, pp.1526-1531, 1978
被引用文献数
2

1,8-ナフタレンジカルボキシミド[1a]およびN-メチル換-1,8-ナフタレンジカルボキシミド(X=H,OCH<sub>3</sub>,0H,NH<sub>2</sub>,SO<sub>3</sub>Na)[Ib~f]をパラジウム触媒を用いて水素化することにより,[1f]の場合を除き,それぞれ相当するテトラヒドロ誘導体である1,2,3,4-テトラヒドロー1,8-ナフタレンジカルボキシミド[2a](収率77%),およびN-メチルー5-置換-1,2,3,4-テトラヒドロー1,8-ナフタレンジカルボキシミド(X=H,OCH<sub>3</sub>,0H,NH<sub>2</sub>)[2b~e](収率b:82%,c:62%,d:68%,e:78%)を得ることができた。<BR>さらに[1a]を同じ触媒でより強い条件で水素化するとデカリンー1,8-ジカルボキシミド[3]が得られることを確認した。また[2a]および[2b]を塩化アセチルで処理すると,それらのアシル誘導体である3-アセトキシー5,6-ジヒドロー4荏ベンゾ[de]インキノリンー1-オン[4a],および3-アセトキシー2-メチルー5,6-ジヒドロ-4-ベンゾ[de]インキノリンー1-オン[4b]を生じた。