- 著者
-
大川 智子
山口 由衣
石田 修一
堀田 亜紗
藤田 浩之
相原 道子
- 出版者
- 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
- 雑誌
- 皮膚の科学 (ISSN:13471813)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.3, pp.212-218, 2013 (Released:2013-10-05)
- 参考文献数
- 39
44歳,男性。両側精巣腫瘍,S状結腸癌の既往がある。上腹部に激痛が生じた翌日に,顔面,体幹部に発赤を伴う小丘疹と小水疱,および口腔内水疱が出現した。Tzanck 試験は陽性であった。激烈な腹痛を伴うことから,内臓播種性水痘・帯状疱疹ウイルス (VZV) 感染症を疑い,アシクロビル (acyclovir; ACV) 750mg/day 開始したが,症状の改善は乏しく,肝機能の悪化,DICを合併した。第4病日より ACV 1,500mg/day に増量,Intravenous immunoglobulin (IVIG) 5,000mg/day(5日間)を追加し,症状は次第に改善した。経過中,血中 VZV-DNA 量が髙値であり,内臓播種性 VZV 感染症と診断した。本疾患は急速に進行し,ときに致死的である。水痘に腹部症状を伴う場合,本疾患を疑い,早期に大量の ACV や IVIG による治療をおこなうことが重要と考えた。(皮膚の科学,12: 212-218, 2013)