著者
大戸 朋子 伊藤 泰信
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科 文化人類学分野
雑誌
コンタクト・ゾーン = Contact zone (ISSN:21885974)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2019, pp.207-232, 2019-08-31

本稿は、腐女子と呼ばれる男性同性愛フィクションを嗜好する少女・女性の二次創作活動とメディア利用を対象とし、彼女たちがどのようにコミュニティを形成し維持しているのかについて、作品やキャラクタへの「愛」という不可視で不可量なものを議論の導きの糸として明らかにすることを目的としている。二次創作コミュニティは、二次創作者らの原作に対する「愛」によって形成されている。しかし、原作に対する解釈は個人によって異なっており、「愛」をめぐってコンフリクトが発生する。本稿では、このコミュニティ内で発生したコンフリクトが、2種類の対応によって調停されることが明らかとなった。1つ目は、二次創作者が言行一致の姿勢を取っている/いない、原作のキャラクタや設定から逸脱し過ぎている/いないなどの基準によって、原作に対する「愛」の具体化である二次創作作品を評価し、「愛」がないと判断した場合、コミュニティのソトに押しやり、原作への「愛」を持つ者同士のコミュニティを維持しようとする。2つ目は、過度な性描写や暴力表現などが盛り込まれた二次創作作品であっても、肯定的なコメントを送ったり、無視をして評価を行わないことで、メンバ間の衝突を回避し、コミュニティを維持しようとする、という調停である。
著者
大戸 朋子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本発表は、「腐女子」と呼ばれる男性同性愛を主題とするフィクションや想像などを嗜好する少女/女性たちの二次創作活動とメディア利用を対象として、メディアを含むモノとの連関の中で形成される腐女子のつながりとはどのようなものであるのかを明らかにするものである。調査からは、二次創作を行う腐女子のつながりが、個々人の「愛」という不可視のモノを中心に形成され、メディアを通して評価されていることが明らかとなった。
著者
大戸 朋子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第50回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.I15, 2016 (Released:2016-04-23)

本発表は、「腐女子」と呼ばれる男性同性愛を主題とするフィクションや想像などを嗜好する少女/女性たちの二次創作活動とメディア利用を対象として、メディアを含むモノとの連関の中で形成される腐女子のつながりとはどのようなものであるのかを明らかにするものである。調査からは、二次創作を行う腐女子のつながりが、個々人の「愛」という不可視のモノを中心に形成され、メディアを通して評価されていることが明らかとなった。
著者
大戸 朋子 伊藤 泰信
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.91-91, 2012

本発表は、(1) 同人誌作家の活動、作品の発表過程についての微視的な記述を提示しつつ、(2)腐女子コミュニティを、内部の様々な軋轢の存在や、評価軸が外部の様々な要因によって変化する流動的なものとして捉え、さらに(3)二次創作作品がどのようなプロセスの中で評価され、コミュニティに受け入れられていくのかについて明確化するために、事象を科学社会学(科学者コミュニティ)の議論に重ねることを試みる。
著者
大戸 朋子 伊藤 泰信
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科 文化人類学分野
雑誌
コンタクト・ゾーン = Contact zone (ISSN:21885974)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2019, pp.207-232, 2019-08-31

本稿は、腐女子と呼ばれる男性同性愛フィクションを嗜好する少女・女性の二次創作活動とメディア利用を対象とし、彼女たちがどのようにコミュニティを形成し維持しているのかについて、作品やキャラクタへの「愛」という不可視で不可量なものを議論の導きの糸として明らかにすることを目的としている。二次創作コミュニティは、二次創作者らの原作に対する「愛」によって形成されている。しかし、原作に対する解釈は個人によって異なっており、「愛」をめぐってコンフリクトが発生する。本稿では、このコミュニティ内で発生したコンフリクトが、2種類の対応によって調停されることが明らかとなった。1つ目は、二次創作者が言行一致の姿勢を取っている/いない、原作のキャラクタや設定から逸脱し過ぎている/いないなどの基準によって、原作に対する「愛」の具体化である二次創作作品を評価し、「愛」がないと判断した場合、コミュニティのソトに押しやり、原作への「愛」を持つ者同士のコミュニティを維持しようとする。2つ目は、過度な性描写や暴力表現などが盛り込まれた二次創作作品であっても、肯定的なコメントを送ったり、無視をして評価を行わないことで、メンバ間の衝突を回避し、コミュニティを維持しようとする、という調停である。
著者
大戸 朋子 吉田 悠 東條 直也 新井田 統
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第54回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.D10, 2020 (Released:2020-09-12)

本発表は、子育て期にある母親とKDDI総合研究所との共創プロジェクトを事例とし、母親にとってのサードプレイスとはどのような場所なのかを検討したものである。Oldenburgはサードプレイスを、社会的な立場や役割から解放された“私”に戻れる場所だと捉えているが、今回のプロトタイプでは、子育て期の母親にとってのサードプレイスとは、“母親としての私”が満たされる場所であることが明らかとなった。
著者
大戸 朋子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.180, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表では、アカデミックな人類学的フィールド調査の訓練を受けた後、企業が運営している「研究所」(企業研究所)に雇用されているエスノグラファである発表者(大戸)を通して、日本国内の研究所で行われているビジネスエスノグラフィの実践が、企業組織文化との絶えざる交渉の結果として、また、文化人類学的エスノグラフィを企業組織に導入・適合させようとする諸実践の産物として流動的に形成され続けていることを明らかにする。さらに、ビジネスエスノグラフィが、伝統的なエスノグラフィの型をなぞるだけではなく、新技術(360度カメラやVRゴーグルなど)の導入や使用検討を行うなど、新たなエスノグラフィの試みを積極的・実験的に行っていることをなどについて、具体的な事例を提示する。