著者
大槻 耕三 河端 信 田口 邦子 KOZO OHTSUKI MAKOTO KAWABATA KUNIKO TAGUCHI
出版者
京都府立大学学術報告委員会
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 = The scientific reports of the Kyoto Prefectural University. Natural science and living science (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.21-25, 1976-11-30

納豆菌の菌体外セルラーゼを得るために各種液体培地で培養し, それらの滬液のCMCase活性を測定して検討した。その結果肉エキス, ペプトン, CMC, を含む培地で40℃2日間振盪培養すると最大の酵素活性を得ることができた。この酵素にはCMCaseだけでなくセルロース粉末分解活性も見られさらにキシラナーゼ活性がCMCase活性の約3倍も含まれることが明らかとなった。CMCase活性とキシラナーゼ活性とは今回は互いに分離することはできなかったがBio-Gel P-100によりそれぞれの比活性をかなり上昇させることができた。Cellulolytic activity was observed in the culture filtrate of Bacillus subtilis var. natto IFO 3335. The maximuin cellulolytic activity was obtained in the filtrate of two-days-cultured medium. This culture medium filtrate also contained an intense xylanase activity. The purification of these extracellular enzymes in the culture medium was tried by the gel chromatography of Bio-Gel P-100 and the specific activities of the enzymes was appreciably increased, although the isolation of the xylanase fraction from the cellulolytic activity fraction was not attained.
著者
大槻 耕三 中村 考志 佐藤 健司
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

麹納豆は多くの酵素類を含むのでその酵素反応を昔から食品加工に利用してきた。東北地方の塩納豆、静岡県の浜納豆、京都の大徳寺納豆などがその例である。本研究では麹納豆の酵素活性(フィターゼ、プロテアーゼ)を検討し、非発酵大豆食品の問題であるフィチン酸Ca、Mg、Zn、Fe塩(栄養的に不給体のミネラル)の分解加工をめざしている。塩納豆(#1、酒田市)、浜納豆(#2、浜松市)、大徳寺納豆(#3、京都市)及び比較対照として糸引き納豆(#4)、その他の非発酵大豆食品を試料とし化学分析、酵素活性測定を行なった。塩納豆は糸引き納豆に米麹と食塩を加えたもので熟成期間は約3カ月で、糸引き納豆と麹の形態が残存している。浜納豆と大徳寺納豆はほぼ同じ製法で蒸煮大豆に麦こがしと麹を加え1週間発酵させた後16%食塩水に浸漬し約一年間熟成する。これらの試料のフィチン酸分析したところ、#1,#2,#3,#4の順に0.04,0.03,0.19,1.86%であった。この結果から麹納豆は糸ひき納豆に比ベフィチン酸が1/10以下に減少している。また遊離カルシウムと総カルシウム比は#1、#2、#4、#3の順に23、19、16、11%であった。旨味に関与する遊離アミノ酸率を測定すると#1,#2,#3の麹納豆と#4の糸ひき納豆ともに18〜24%で非発酵大豆食品「きなこ]の0.9%に比較して高くプロテアーゼ作用の強いことが示された。塩納豆の有用性が確認できたので、実験室的に塩納豆を試作したところ、熟成2週間でフィチン酸が50%減少し、4週間後では約90%が分解されていることが明かとなった。塩納豆は外見は糸引き納豆の性質が残っているが化学成分的にはこのようにかなり異なっていて、ミネラル栄養吸収性が改良されている。また塩納豆は他の麹納豆に較べ食塩含量が5分の1の5%であるので健康的である。塩納豆は他の大豆食品試料との比較から「カルシウム栄養や微量ミネラル栄養」の高吸収性の大豆加工食品である。
著者
大槻 耕三 田口 邦子
出版者
京都府立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

ビタミンUは別名Sーメチルメチオニンといいアミノ酸誘導体であって、抗消化器カイヨウ因子であり食物では野菜に遊離状で含まれている。本研究では、従来のガスクロマトグラフィーによる間接的定量法とは異っていて、野菜抽出液をLi系アミノ酸分析機に直接インジェクトしビタミンUを直接分離定量することに成功し分析方法を確立した。この方法を用いて各種食品に含まれるビタミンUをスクリーニングしたところセリ科やナス科やユリ科の野菜には湿潤量あたり1〜4mg%、緑茶は乾物量あたり1〜9mg%、アブラナ科の野菜には湿潤量あたり4〜20mg%含有されていた。アブラナ科野菜中でもクレソン、白菜、キャベツは2〜4mg%と比較的少なく、カリフラワー、ブロッコリー、コールラビ、菜の花は10〜20mg%と多く含有されていた。野菜以外では青のり、ほしのりについて分析したところ乾物量あたりそれぞれ7mg%、3mg%であった。その他「あまちゃづる」については乾物量あたり4.5mg%であったがクロマトグラム上で溶出時間が標準ビタミンUからわずかに異なり、他の分析法によるクロスチェックが必要と思われる。次にビタミンUは溶液状でpH1〜6では24時間は安定であったが食品分析表の総アミノ酸分析条件(6NHCl、110℃、24時間)では40%がメチオニンになることが判明した。また逆にペクチンの存在下では約4%のメチオニンがビタミンUに変化することを見い出した。栄養的効果を知るためビタミンUのD型L型の分離をHPLCで試みたところ、市販のビタミンV製剤はDL型であることをクロマトグラム上で明らかにした。天然のビタミンUはこのHPLCにかけたところ、ピークがL型のみが検出された。以上の方法を用いて、市販ビタミンU製剤を実験動物に投与し、尿を採取してD型L型の分析定量を行う予定である。