著者
大久保 努 原田 秀樹 小野寺 崇 上村 繁樹 山口 隆司 大橋 晶良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.187-195, 2008 (Released:2008-06-20)
参考文献数
43

インド・カルナール市において,下水を処理するUASB法の後段処理法として,我々が開発した下向流懸垂型スポンジ(Downflow Hanging Sponge: DHS)法の実規模リアクター(処理水量500m3/day,スポンジ容量に対するHRT: 1.5時間)を導入し,有機物処理特性評価を行った.DHS処理水の有機物濃度はインドの排出基準を満たし,全期間(900日間)を通じた平均全BODが6(標準偏差±4)mg/L,平均SSが8(±4)mg/Lであった.また,DHSからの余剰汚泥発生量は0.05kgSS/kgCOD-removedであり,現在までにUASBの後段処理として報告がある好気性処理法と比較して格段に少なかった.DHSは,メンテナンスフリーにも関わらず非常に安定した運転を長期間維持し,活性汚泥法に取って代わる開発途上国向けの新規下水処理技術としての波及が期待できた.
著者
阿部 憲一 大橋 晶良 山口 隆司 徳富 孝明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.195-200, 2007-11-16 (Released:2011-06-27)
参考文献数
25
被引用文献数
2

塩分濃度は亜硝酸型硝化に影響を及ぼす主要な環境因子の一つであるが, その効果については賛否両論がある. 本研究においては, 担体を充填したエアリフト型リアクターに人工廃水中のNaCl濃度を段階的に上げて供給したところ, NaCl濃度が16gCl・L-1に達してもNO2蓄積は確認されなかった. 同NaCl濃度条件下でNH4+濃度を上げたところ部分的なNO2蓄積が起こり, 本リアクターは亜硝酸型硝化のポテンシャルを持つことが示された. 以上のことから, 塩分濃度に亜硝酸型硝化の誘導効果は無いことが判明した. NaCl添加の前後でも, リアクター内のアンモニア酸化細菌 (Nitrosomonas europaea) および亜硝酸酸化細菌 (Nitrobacter spp., Nitrospira spp.) の種類は大きく変化しなかった.
著者
宮崎 征行 井町 寛之 大橋 晶良
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

微生物が作り出すマンガン酸化物はレアメタルを吸着しやすい事が知られている。そこで、本研究ではマンガン酸化物を連続的に作り出すことができる微生物群集をバイオリアクターに集積培養することを目的とした。植種源には海底堆積物サンプルを、バイオリアクターにはdown-flow hanging sponge (DHS) リアクターを採用し、二価のマンガンを含む人工海水を基本とした培地をリアクターに供給した。その結果、DHSバイオリアクター内に独立栄養細菌とマンガン酸化菌が繁茂し、微生物が生成したと思われるマンガン酸化物の生成が確認された。
著者
久保田 健吾 林 幹大 松永 健吾 大橋 晶良 李 玉友 山口 隆司 原田 秀樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.56-64, 2010 (Released:2010-03-19)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

都市下水を処理しているUASB-DHSシステムのG3型DHSリアクターの微生物群集構造をrRNAアプローチを用いて解析した.クローン解析による結果はリアクター上・中・下部において微生物群集構造が異なっていることを示しており,微生物多様性はリアクター上部において最も低かった.定量Real-time PCR法による各種微生物のrRNA遺伝子の定量結果は,アンモニアおよび亜硝酸酸化細菌の存在率がリアクター中・下部に行くにつれて増加することを示していた.リアクター上部からのアンモニア除去は,活性汚泥と同程度以上のアンモニア酸化細菌群の存在率に加え,DHSリアクターの高い汚泥保持能力および酸素供給能力に由来する可能性が示唆されるなど,除去メカニズムに関する知見を得ることが出来た.