著者
朱 愛軍 覃 宇 謝 成磊 李 玉友
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.280-291, 2021-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
34

脱炭素や循環型社会の実現のために,バイオマスの利活用がますます重要になってきている。近年メタン発酵によるバイオメタン生成とバイオガス発電が注目されている。本稿ではバイオガスの生成に関する研究動向を総括するために,まずデータベース Web of Science を用いて,バイオガスに関する研究論文の年間発表状況をまとめた。次にメタン発酵技術に焦点を絞り,プロセスの効率化と安定化を向上させるためのさまざまな強化技術 (前処理,添加材および混合消化) をレビューした。また,筆者らが近年行なった都市廃棄物系バイオマス (生ごみ,下水汚泥および紙ごみ) の混合メタン発酵研究を紹介した。最後に,日本で実装化されているメタン発酵プラントの代表的事例を取りあげ,応用拡大の可能性を展望した。
著者
堆 洋平 李 玉友 原田 秀樹
出版者
日本水処理生物学会
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.57-75, 2008 (Released:2018-03-10)
参考文献数
143
被引用文献数
1

水素発酵法は,バイオマスもしくはバイオマスの加工工程から排出される有機性排水を原料とした生物学的水素生産方法であり,未来型水素エネルギー社会のための持続的な水素生産方法として注目されている。本稿は,水素発酵において重要なテーマである水素生成細菌および水素発酵プロセスに関する知見を整理し,最新の水素発酵の研究動向を紹介する。水素生成細菌に関しては,水素生成細菌の種類とそれらの水素生成能,水素生成細菌の集積方法,および混合水素発酵細菌群の構造解析に関する知見をまとめた。一方,水素発酵プロセスに関しては,既往研究で検討されてきた様々なタイプの反応槽による水素生成に関する知見,および水素発酵槽の後段にメタン発酵槽を設けた二相式水素・メタン発酵法に関する知見をまとめた。その上で今後の水素発酵の展望を述べた。
著者
野池 達也 李 玉友
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

酢酸単一基質あるいは酢酸、プロピオン酸、n-酪酸から成る混合酸に少量の酵母エキスを添加した基質および前途の混合酸に少量のグルコースを添加した基質を用い、流入COD負荷2・5〜10gCOD・l^<+1>・d^<-1>の範囲で、流入負荷の影響に関する実験を活性炭を担体とする流動床型反応槽を用いて行ったところ、次のような結果が得られた。1.酢酸単一基質を処理するより、少量の有機物を添加するほうが基質除去が改善される。これは、メタン菌とアセトジェニック菌および酸生成菌が共生することにより、メタン生成が促進するためであると考えられる。2.生物膜形成において、酢酸単一基質を用いるよりも、酵母エキスを添加した混合酸基質を用いたほうが、生物膜形成が促進された。3.流動床における菌体保持形態としては、生物膜形成という形以外にも活性炭床部によりフィルター効果による菌体捕捉があり、後者の形態によっても十分高い菌体濃度が維持できる。4.実験を行った流入負荷の範囲において、酢酢単一基質では基質除去率は98.5%以上酵母エキスを添加した混合酸基質では98.8%、グルコースを添加した混合酸基質では99.5%以上の高い基質除去率が得られた。5.最大比COD除去速度は、酢酸単一基質を用いた場合に0.7mgCODmg^<-1>VSS・d^<-1>、酵母エキスを添加した混合酸基質では0.4mgCODmg^<-1>VSS・d^<-1>程度であった。COD負荷に対する床内タンパク質濃度の関係を合わせて考えると、グルコースを添加した混合酸基質では、菌体中での活性のあるメタン菌の占める割合が低いと思われる。嫌気性微生物の担体への付着について、微生物の親水性および疎水性をn-hexadecaneを添加し、菌の分離の様子を観察することにより、酸生成相およびメタン生成相汚混を用いて検討した。
著者
佐野 慈 増田 周平 李 玉友 西村 修 原田 秀樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_565-III_573, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
25
被引用文献数
2

本研究では,下水処理場における温室効果ガス排出特性を評価し,排出量低減対策を考察した.処理方式の異なる3箇所の下水処理場について季節毎に温室効果ガス排出量の実測調査を行い,各処理場における温室効果ガス排出係数を算定した.その結果,各処理場において電力消費に伴う温室効果ガス,汚泥焼却に伴うN2O及び下水処理過程におけるCH4が主要な排出源であった.また,処理方式や季節により現地におけるCH4,N2Oの排出特性は異なり,下水処理過程におけるCH4排出係数に水温との相関が見られるのに対し,下水処理過程におけるN2O排出は硝化・脱窒の有無や水温との相関,放流水による間接排出など複雑な要因が関わり,区分化の必要性が示唆された.さらに,調査結果を基に下水処理場における効率的な温室効果ガス低減対策について考察を行った.
著者
小林 拓朗 李 東烈 徐 開欽 李 玉友 稲森 悠平
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.159-166, 2011-03-20 (Released:2012-03-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

食品標準成分に基づき細分類された家庭系生ごみと事業系食品廃棄物について,それぞれ高温メタン発酵と高温水素発酵のバッチ実験を行い,メタンおよび水素ガス生成ポテンシャルを調査した.投入VSあたりメタン生成量は,原料の脂質含有率との間に有意な正の相関,炭水化物含有率との間に有意な負の相関を有しており,炭水化物系原料と比較して脂質系原料は平均値で2倍に相当する高いメタン生成量を示した.投入VSあたり水素生成量は,原料の炭水化物含有率に対して有意な正の相関,脂質含有率に対し有意な負の相関を有していた.炭水化物,脂質,タンパク質各含有率とVSあたりメタンおよび水素生成量を因子とする主成分分析の結果から,栄養成分に基づいた各原料の水素発酵またはメタン発酵それぞれの処理方式への適性評価が可能であることが示された.
著者
久保田 健吾 林 幹大 松永 健吾 大橋 晶良 李 玉友 山口 隆司 原田 秀樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.56-64, 2010 (Released:2010-03-19)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

都市下水を処理しているUASB-DHSシステムのG3型DHSリアクターの微生物群集構造をrRNAアプローチを用いて解析した.クローン解析による結果はリアクター上・中・下部において微生物群集構造が異なっていることを示しており,微生物多様性はリアクター上部において最も低かった.定量Real-time PCR法による各種微生物のrRNA遺伝子の定量結果は,アンモニアおよび亜硝酸酸化細菌の存在率がリアクター中・下部に行くにつれて増加することを示していた.リアクター上部からのアンモニア除去は,活性汚泥と同程度以上のアンモニア酸化細菌群の存在率に加え,DHSリアクターの高い汚泥保持能力および酸素供給能力に由来する可能性が示唆されるなど,除去メカニズムに関する知見を得ることが出来た.