著者
枝村 一弥 那須 広子 岩見 有紀子 西村 亮平 小川 博之 佐々木 伸雄 大河原 久子
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.129-135, 2004-02-25
被引用文献数
2

日本の各品種の豚における豚内在性レトロウイルス(PERV) proviral DNAの感染状況をPCRにて調査した.また,豚膵内分泌細胞(PE-cell)を含むバイオ人工膵島(Bio-AEP)を異種移植された実験的糖尿病犬の末梢血および脾臓を用いて,その感染の可能性をPCRおよびRT-PCRを用いて確認した.その結果,日本にいる各豚品種のすべてにPERV Oroviral DNAが検出され,今回用いた培養PE-cellにもPERV Oroviral DNAとmRNAの発現を認めた.しかし,PE-cellを異種移植したいずれの犬おいてもPERVのマイクロキメリズム,感染およびウイルス血症は認められなかった.したがって,免疫抑制剤を用いずにPE-cellの入った拡散チャンバー型Bio-AEPを移植した場合,PERV感染の可能性は極めて低いことが示唆された.
著者
板倉 新 加藤 久宗 王 碧昭 松長 敦子 実川 友史 枝村 一弥 大河原 久子 望月 学 西村 亮平 佐々木 伸雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.1107-1109, 2003-10-25

豚の膵島細胞への傷害作用における補体系の関与について,各種動物血清および抗補体作用を有するsCR1添加血清を用いて検討した.細胞傷害性の程度は種によって大きく異なった.またsCR1によって捕体活性が減弱された血清は細胞傷害性をほぼ失った.これらのことから,血清による豚の膵島細胞への傷害性は捕体が主要な因子であり,また動物種の組み合わせによって捕体と移植細胞の相性が大きく異なることが示された.