著者
伊藤 雄 松本 尚 ⼭⼝ 聖太 ⽯⽥ 知也 末永 直樹 ⼤泉 尚美
出版者
一般社団法人 日本運動器理学療法学会
雑誌
運動器理学療法学 (ISSN:24368075)
巻号頁・発行日
pp.202105, (Released:2022-07-08)
参考文献数
35

【⽬的】鏡視下腱板修復術(以下,ARCR)後に装具固定中に退院することが再断裂率,健側・患側肩関節機能に与える影響を調査すること。【⽅法】ARCR 術後の65 歳以上の⼥性91 名を装着固定中に⾃宅退院した退院群48 名,装具除去まで⼊院を継続した⼊院群43 名に分類し,術前および術後各時期における肩関節可動域,等尺性筋⼒,肩機能スコア,再断裂率を健側,患側共に⽐較検討した。【結果】再断裂率および術後3 ヵ⽉の他動屈曲,外転,2nd 外旋可動域を除いた肩関節可動域において術前,術後各時期で両群間に有意差を認めず,術後6,12 ヵ⽉時の肩・肘関節筋⼒,肩機能スコアにおいて退院群で有意に良好であった。【結論】安全なADL,セルフエクササイズ実施⽅法を指導して装具固定中に退院することは,再断裂,関節可動域制限のリスクを増加することなく,良好な肩関節機能を得ることができる可能性が⽰された。
著者
山根 慎太郎 吉岡 千佳 大泉 尚美 末永 直樹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.927-929, 2013 (Released:2013-12-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Background: The objective of this study was to analyze the rotator cuff muscles and other 7 muscles activity simultaneously during shoulder abduction by utilizing electromyographic (EMG) analysis.Methods: Measurements were compared between full can and empty can exercise. Non-dominant shoulders of five asymptomatic male volunteers (21-34 y.o.) were investigated. Fine-wire EMG electrodes were inserted into supraspinatus (SSP), infraspinatus (ISP), teres minor (TM), and upper and lower part of subscapularis (SSCU and SSCL). Surface electrode EMG were collected from lattisimus dorsi(LD), deltoid anterior(DA), middle(DM), posterior(DP), pectralis major upper(PMU), lower(PML), and trapezius(TRAP). The EMG data were collected during abduction exercises on the scapula plane while holding 1kg dumbbell. The EMG value was expressed as a percentage of MVC (maximum voluntary contraction) of the corresponding muscle to standardize.Results: %MVC of DM was significantly higher with empty can exercise. DP and TRAP showed a trend that %MVC was higher with empty can exercise (P=0.07,0.08) than with full can exercise. In the cuff muscle, we could not see any statistically significant difference, however, %MVC was higher in the ISP, SSCU, SSCL, TM with empty can exercise. It is reported that contraction of SSP is not different between full and empty can position.Conclusion: In this study, the other cuff muscles (ISP,SSC,TM) showed higher %MVC with empty can exercise. The empty can exercise may be a good exercise to recruit the all cuff muscles.
著者
大泉 尚美 末永 直樹 吉岡 千佳 山根 慎太郎 呉屋 五十八
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.619-625, 2019

近年,ノンセメントステムを用いた人工肩関節置換術ではin-growthステムやショートステムによるradiolucent line (RLL)や骨吸収の減少が期待されている.本研究では,2005-2017年に人工肩関節置換術を施行した105肩を使用機種(スタンダードon-growthステム,スタンダードin-growthステム,ショートin-growthステム)と術式(人工骨頭置換術(HHR),解剖学的全人工肩関節置換術,リバース型全人工肩関節置換術(RSA))別に7群に分類し,術後1年の単純X線にてRLL,ステム先端の骨硬化,spot welds,ステム周囲の骨吸収(Inoue分類Grade 4)を調査した.HHRでは,ショートステムで有意にspot welds出現率が高かった.RSAでは,ショートステムで有意にRLL出現率が低く,spot welds出現率が高かった.骨吸収の出現率は,いずれの術式でも各群間に有意差はなかった.ショートステムでは早期にステム近位の骨のingrowthが得られていた.骨吸収はingrowthステム,ショートステムいずれでも減少は見られず,stress shielding以外の要因が関与している可能性も考えられた.
著者
呉屋 五十八 末永 直樹 大泉 尚美 吉岡 千佳 山根 慎太郎 谷口 昇 金谷 文則
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.763-767, 2017

2002年から2014年までの間に,一次修復不能な後上方腱板広範囲断裂に対し広背筋・大円筋移行術を行い2年以上経過観察可能であった25例25肩の術後成績を検討した.関節症変化がなく,骨頭を温存し移行術を行ったのは12例12肩(RCT群),関節症をともなうcuff tear arthropathyで小径骨頭を用いた人工骨頭置換術と移行術を行ったのは13例13肩(CTA群)であった.RCT群は平均年齢65.0歳,男性11例,女性1例,平均経過観察時間は38.3ヵ月であった.CTA群は平均年齢68.6歳,男性4例,女性9例,平均経過観察時間は52.9ヵ月であった.両群の術前と最終観察時のJOAスコアと肩関節可動域,外旋ラグサインの変化,合併症,さらにRCT群では術前と最終観察時のX線所見,術後のMRIによる再断裂の有無を調査した.<BR> JOAスコアはRCT群39.9点から77.7点,CTA群は40.6点から78.0点へ,屈曲はRCT群は49.6&deg;から141.3&deg;,CTA群は56.5&deg;から136.9&deg;へ,外旋はRCT群は15.4&deg;から33.3&deg;,CTA群は16.2&deg;から29.2&deg;へ有意に改善した.外旋ラグサインは術後全例で消失していた.合併症は認めなかった.RCT群で4肩(33.3%)に術後の肩甲上腕関節症の進行を認め,4肩(33.3%)に骨頭上方化の進行を認めた.再断裂は認めなかった.両群でJOAスコア,外旋ラグサインを含め可動域の改善を認めており,広背筋・大円筋移行術は一次修復不能な後上方腱板断裂に対する有用な手技であると考えられた.