著者
親富祖 徹 山口 浩 呉屋 五十八 当真 孝 森山 朝裕 大城 裕理 砂川 秀之 當銘 保則 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.594-597, 2020
被引用文献数
1

<p>51歳男性,ホテル勤務.バイク走行中に転倒受傷し,近医に救急搬送された.単純X線像で左肩関節後方脱臼骨折を指摘された.静脈麻酔下に脱臼整復を試みるも整復困難であった.受傷翌日に全身麻酔下に螺子2本を用いた観血的脱臼整復術及び骨接合術を施行し,術後三角巾・バストバンドを用いた内旋位固定が行われた.術後14日目,外来受診時に再脱臼と骨折を認めたため当科へ紹介された.初診時肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲40°,外旋-45°,内旋不可,単純X線像,CTで転位・再脱臼を認めた.初回手術後3週目で観血的脱臼整復・髄内釘を用いた骨接合を行った.術後8週間は外転装具を用いて外旋位固定し,早期より手指・肘の拘縮予防・肩甲帯リラクゼーションを行った.ROM訓練は術後4週目から行った.受傷後4カ月で復職し,受傷後20カ月で単純X線像上再脱臼なく,ROMは屈曲125°,外旋30°,内旋L5であった.</p>
著者
津覇 雄一 山口 浩 当真 孝 呉屋 五十八 大城 裕理 森山 朝裕 當銘 保則 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.570-573, 2020

<p>高齢者の腱板断裂を伴う肩関節前方脱臼の1症例を経験したので報告する.79歳,女性,無職.バイク走行中に転倒して受傷,同日救急搬送された.単純X線像で右肩関節前方脱臼を認め,同日徒手整復された.整復後に撮影された単純X線像で肩甲関節窩小骨片を伴う前方関節唇損傷を認めたが,骨片が小さいため保存療法が行われた.受傷後5ヵ月で右肩痛・挙上困難が持続するため近医を受診した.肩甲関節窩骨欠損を伴う右肩関節亜脱臼と診断され当科へ紹介された.当院初診時,肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲40°,外旋-45°,内旋不可で,単純X線像では肩甲関節窩骨折部の骨欠損増大,立位で亜脱臼位となる不安定性を認めた.手術では骨頭軟骨損傷を認めたため人工骨頭置換,肩甲関節窩へ切除骨頭を用いた骨移植,腱板修復術を行った.術後8週間は外転装具を用いて固定を行った.術後28ヵ月で肩関節可動域は屈曲125°,外旋30°,内旋L5,日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下,JOAスコア)は81点まで改善し,単純X線像では亜脱臼を認めていない.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 大城 裕理 呉屋 五十八 森山 朝裕 當銘 保則 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.585-589, 2020

<p>症例1,38歳,男性,会社員.歩行中に車にはねられ受傷.救急搬送時Japan Coma Scale(JCS)200,外傷性くも膜下出血(SAH),びまん性軸索損傷(AI),左上腕骨骨折と診断.全身状態不良のため上腕骨骨折は保存療法を行った.受傷後9年で中等度高次脳機能障害が残存し,肩関節可動域(ROM)は屈曲120°,外旋15°,障害者就労支援施設に勤務している.症例2,19歳,男性,大学生.バイク走行中に転倒し受傷.救急搬送時JCS 200,SAH,AI,血気胸,頭蓋骨・右肩関節脱臼骨折と診断.受傷後22日目に観血的脱臼整復術を施行した.術後1年で復学し,術後33カ月で骨頭・関節窩変形を認め,ROMは屈曲140°,外旋60°,内旋T12レベルであった.症例3,24歳,男性,会社員.歩行中に車にはねられ受傷.救急搬送時JCS 100,SAH,頚椎歯突起・左下腿・左上腕骨骨折と診断.受傷後4日目に骨接合術を施行した.術後1年で復職し,術後2年でROMは屈曲140°,外旋75度であった.</p>
著者
大槻 健太 金谷 文則 山口 浩 親富祖 徹 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.340-343, 2020
被引用文献数
1

<p>【目的】髄内釘(ナカジマメディカル社 ニューストレートネイル®)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】髄内釘を用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった75例75肩(男性21肩,女性54肩)を対象とした.年齢は35~91歳(平均70歳),骨折型は2-part 33肩,3-part 29肩,4-part 13肩,経過観察期間は6~53カ月(平均13.4カ月)であった.調査項目はX線学的評価,ROM(屈曲・外旋・内旋)とした.合併症,年齢,骨折型とROMについて検討した.【結果】平均ROMは屈曲119°,外旋39°,内旋4.2点であった.合併症発生率は20%(骨頭壊死6肩,大結節障害3肩,螺子骨頭穿破2肩,螺子逸脱・骨頭壊死と螺子逸脱の合併・内反変形各1肩)であった.年齢と屈曲・外旋角度で負の相関関係を認めた.骨折型は各part骨折間ではROMに明らかな有意差を認めなかったが,75歳以上の4-part骨折では有意に屈曲が低下していた.【結語】髄内釘の治療成績は比較的良好であったが,高齢者で術後ROMは低下していた.</p>
著者
親富祖 徹 金谷 文則 山口 浩 大槻 健太 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.344-348, 2020

<p>【目的】上腕骨近位部骨折用DePuy-Synthes社製PHILOS<sup>TM</sup>プレート,(以下PHILOS)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】PHILOSを用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった65例65肩(男性16肩,女性49肩),年齢は20~87歳(平均64歳),骨折型(Neer分類)は2-part 27肩,3-part 31肩,4-part 7肩,観察期間6~64カ月(平均15カ月)であった.調査項目は自動肩関節可動域(屈曲・外旋・内旋:内旋のみJOAスコアに基づき点数化),骨癒合,合併症であり,年齢・骨折型と関節可動域に関する検討を行った.【結果】平均肩関節可動域は屈曲116°,外旋29°,内旋3.8点であった.合併症発生率は35%であった.年齢と屈曲・外旋可動域で負の相関関係を認めた.4-partでは屈曲可動域が有意に低下していた.【結語】PHILOS固定例では年齢と屈曲と外旋で負の相関関係を認め,4-part骨折では有意に屈曲が不良であった.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 呉屋 五十八 森山 朝裕 大槻 健太 親富祖 徹 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.336-339, 2020

<p>【はじめに】近年,上腕骨近位端骨折に対して保存療法を推奨する報告が散見される<sup>1)2)5)</sup>.上腕骨近位端骨折に対する保存療法の成績を報告する.【対象および方法】保存治療を行った21例21肩を対象とし,内訳は骨折型2-part 9肩,3・4-part 12肩,年齢は49~87歳(平均69歳)(65歳未満:5肩,65~74歳:6肩,75歳以上:10肩),経過観察期間は6~81カ月(平均25カ月)であった.調査項目はX線学的評価,肩関節可動域:屈曲・外旋・内旋であり,骨折型(2-part,3・4-part)と年齢別での患健比(%)を検討した.【結果】最終可動域は屈曲132°,外旋57°,内旋5点であり,患健比(%)は骨折型別では2-part(屈曲87%,外旋88%,内旋93%),3・4-partで(90%,75%,81%).年齢別では65歳未満(88%,96%,93%),65~74歳(90%,71%,75%),75歳以上(90%,75%,91%)であった.【まとめ】3・4-part骨折と65歳以上で外旋制限を認める傾向があったが,保存療法の成績は比較的良好であった.</p>
著者
大槻 健太 山口 浩 当真 孝 呉屋 五十八 宮田 佳英 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.127-131, 2020

<p>68歳,男性.2カ月前に転倒し受傷した.同日救急外来を受診し,単純X線像(以下,Xp)を施行されるも異常を指摘されなかった.その後も左肩痛が持続したため,受傷後1.5カ月で近医整形外科を受診し,左肩関節前方脱臼を認めたため当科へ紹介された.初診時,左肩関節の動作時痛,可動域制限,腋窩神経領域の感覚障害を認めた.左肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲45°,外旋-10°,内旋不可で,日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(以下,JOA score)は16.5点であった.術前Xpで肩関節前方脱臼,MRIで前方関節唇損傷・腱板大断裂を認めた.手術は前方関節唇および腱板修復を行い,術後8週間は外転枕固定を行い,術後早期より手指肘のROM訓練,術後3週より肩関節他動運動,術後6週より自動介助運動,術後8週より自動ROM・腱板訓練を開始した.術後早期にはXpで亜脱臼傾向認めたが徐々に改善した.術後12カ月で骨頭壊死を認めず,疼痛,ROM(屈曲140°,外旋60°,内旋L1),JOAスコア83.5点へ改善,MRIでは腱板連続性を認めた.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 呉屋 五十八 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.123-126, 2020

<p>症例1 40歳,女性,教員.12カ月前に右乳がんに対して乳房切除術,4カ月前にシリコンインプラントを用いた再建術を受けた.右肩関節痛と可動域制限のため紹介された.初診時肩関節可動域(以下,ROM)は,屈曲105°,外旋45°,内旋不可,徒手筋力テスト(以下,MMT)は,肩関節内旋のみ3レベルであった.リハビリテーション(以下,リハ)開始後12カ月でROMは,屈曲160°,外旋85°,内旋T10,MMTは,内旋は4レベルに改善,教職へ復帰している.症例2 42歳,女性,保育士.6カ月前に左乳がんに対して乳房切除術,2カ月前にシリコンインプラントを用いた再建術を受けた.左肩関節痛と可動域制限のため紹介された.初診時ROMは,屈曲120°,外旋20°,内旋不可,MMTは肩関節内旋のみ3レベルであった.リハ開始後6カ月でROMは,屈曲160°,外旋60°,内旋T10,MMTは,内旋は4レベルに改善,保育士へ復帰している.</p>
著者
親富祖 徹 山口 浩 呉屋 五十八 当真 孝 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.101-104, 2020

<p>【はじめに】広範囲腱板断裂手術例(massive rotator cuff tear,以下m-RCT)は,肩関節可動域(range of motion,以下ROM)制限が主訴となることが多い.一方,ROMの回復に関して,術後患側と非手術側(以下,健側)とを比較した報告は少ない.本研究ではm-RCTの術後ROMとROM患健比を検討したので報告する.【対象および方法】m-RCTに対し一次修復術が可能であった29例29肩を対象とした.平均年齢は66.5歳,平均経過観察期間は46カ月であった.調査項目は健側ROM(屈曲・外旋・内旋:内旋はJOAスコアに基づき点数化)と術前後患側ROMとを調査し,術前後の患側ROM変化とROM患健比を検討した.【結果】平均健側ROMは屈曲153°,外旋61°,内旋5.6点であった.患側ROMは術前(屈曲88°,外旋38°,内旋3.9点)が術後(142°,52°,5.3点)と有意に改善した(各々,p<0.05).術後ROM患健比は屈曲93%,外旋85%,内旋95%であった.【まとめ】RCTに対する一次修復術後ROMの回復は,患健比の比較でも良好な結果であった.</p>
著者
大泉 尚美 末永 直樹 吉岡 千佳 山根 慎太郎 呉屋 五十八
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.619-625, 2019

近年,ノンセメントステムを用いた人工肩関節置換術ではin-growthステムやショートステムによるradiolucent line (RLL)や骨吸収の減少が期待されている.本研究では,2005-2017年に人工肩関節置換術を施行した105肩を使用機種(スタンダードon-growthステム,スタンダードin-growthステム,ショートin-growthステム)と術式(人工骨頭置換術(HHR),解剖学的全人工肩関節置換術,リバース型全人工肩関節置換術(RSA))別に7群に分類し,術後1年の単純X線にてRLL,ステム先端の骨硬化,spot welds,ステム周囲の骨吸収(Inoue分類Grade 4)を調査した.HHRでは,ショートステムで有意にspot welds出現率が高かった.RSAでは,ショートステムで有意にRLL出現率が低く,spot welds出現率が高かった.骨吸収の出現率は,いずれの術式でも各群間に有意差はなかった.ショートステムでは早期にステム近位の骨のingrowthが得られていた.骨吸収はingrowthステム,ショートステムいずれでも減少は見られず,stress shielding以外の要因が関与している可能性も考えられた.
著者
呉屋 五十八 末永 直樹 大泉 尚美 吉岡 千佳 山根 慎太郎 谷口 昇 金谷 文則
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.763-767, 2017

2002年から2014年までの間に,一次修復不能な後上方腱板広範囲断裂に対し広背筋・大円筋移行術を行い2年以上経過観察可能であった25例25肩の術後成績を検討した.関節症変化がなく,骨頭を温存し移行術を行ったのは12例12肩(RCT群),関節症をともなうcuff tear arthropathyで小径骨頭を用いた人工骨頭置換術と移行術を行ったのは13例13肩(CTA群)であった.RCT群は平均年齢65.0歳,男性11例,女性1例,平均経過観察時間は38.3ヵ月であった.CTA群は平均年齢68.6歳,男性4例,女性9例,平均経過観察時間は52.9ヵ月であった.両群の術前と最終観察時のJOAスコアと肩関節可動域,外旋ラグサインの変化,合併症,さらにRCT群では術前と最終観察時のX線所見,術後のMRIによる再断裂の有無を調査した.<BR> JOAスコアはRCT群39.9点から77.7点,CTA群は40.6点から78.0点へ,屈曲はRCT群は49.6&deg;から141.3&deg;,CTA群は56.5&deg;から136.9&deg;へ,外旋はRCT群は15.4&deg;から33.3&deg;,CTA群は16.2&deg;から29.2&deg;へ有意に改善した.外旋ラグサインは術後全例で消失していた.合併症は認めなかった.RCT群で4肩(33.3%)に術後の肩甲上腕関節症の進行を認め,4肩(33.3%)に骨頭上方化の進行を認めた.再断裂は認めなかった.両群でJOAスコア,外旋ラグサインを含め可動域の改善を認めており,広背筋・大円筋移行術は一次修復不能な後上方腱板断裂に対する有用な手技であると考えられた.
著者
島袋 全志 呉屋 五十八 当真 孝 山口 浩 伊佐 智博 森山 朝裕 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.337-341, 2017
被引用文献数
2

【はじめに】上腕骨近位端骨折に対する骨接合術後の合併症である上腕骨頭壊死の検討を行ったので報告する.【対象および方法】対象は術後上腕骨頭壊死10肩,性別は男性3肩,女性7肩.手術時年齢は平均68歳であった.骨折型はNeer分類:3-part:2肩,3-part脱臼:1肩,4-part:6肩,4-part脱臼:1肩,平均経過観察期間は32ヵ月であり,術後肩関節可動域(屈曲,外旋),X線分類(Cruess分類),追加手術について調査した.【結果】屈曲は平均88°,外旋は平均36°であった.Cruess分類はstage 2:1肩,stage 3:1肩,stage 4:6肩,stage 5:2肩であった.追加手術として,2肩に人工骨頭置換術,1肩にスクリューの抜釘を行った.【まとめ】70歳未満では壊死後の可動域は比較的良好で,壊死のリスクが高い骨折型でも骨接合は選択肢の一つと考えられた.