著者
大澤 拓未 山本 伸次
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

マントル内部物資循環において海洋地殻、大陸地殻が海洋プレート沈み込みによりマントル内へリサイクルし、マントル対流を通して地殻物質がマントル内に混染している可能性が指摘されているW.Xu et al.,(2008)。しかしその実態は不明であり、マントル-地殻鉱物大循環の解明のためリサイクル地殻鉱物を用いた物質科学的制約が急務である。北海道日高山脈に位置するマントル由来造山帯かんらん岩の幌満かんらん岩は蛇紋岩化していない新鮮なかんらん岩として知られ、メルトマントル反応による交代作用からレールゾライト、ハルツバージャイトの顕著な層序構造を示す。近年、Li et al.,(2017)により幌満かんらん岩からジルコンやルチル、低い炭素同位体比を有するダイヤモンドの産出が報告されており、幌満かんらん岩中に地殻由来鉱物が存在することが示唆されている。しかし問題点としてかんらん岩中の地殻鉱物は回収例が少なく、その起源に関しても不明確であるため、かんらん岩中に残存する地殻鉱物分離技術の改善・分離回収された鉱物の記載を目的とする。本研究では、東邦オリビン工業(株)の採石場より採取したかんらん岩試料、ハルツバージャイト 764㎏、レールゾライト 954㎏、それぞれを板状に切断し移送したものを用いた。ジョークラッシャーおよび連続式粉砕機を用いて0、1㎜大まで粉砕した後、粒度分離、比重分離、磁選処理を行い、ハンドピッキングおよびエポキシ樹脂への包埋、研磨を行った。レールゾライト内からジルコン6粒、ルチル(TiO₂) 1粒が回収された。一方で、ハルツバージャイト内から非磁性鉱物を濃集させた粒子を樹脂に包埋し、EPMA(YNU機器分析評価センター)を用いた鉱物探査・鉱物同定を行った結果、コランダム(Al₂O₃) 12粒が分離回収され、包有物および付着鉱物が共生している様子が観察された。コランダム6粒子のSEM-EDS分析から、これらは①Si-Al-Kに富む珪酸塩相 ②Ti-Zr酸化物 ③Si-Ti合金 からなる包有物が確認された。Morishita et al.,(1998; 2000)より幌満かんらん岩体ポンサヌシベツ川流域のハンレイ岩転石中から微量のCrを含むコランダムの産出が報告されている。本研究で得られたコランダムは、①Crがほぼ含まれない、②TiO2を最大で2.3 wt%程度含む、③Ti-Zr酸化物やSi-Ti合金といった特異な包有物を含む事などから異なる起源のコランダムであることが考えられる。世界中のコランダムの産出を比較した結果(Griffine et al.,2016; 2018)よりイスラエルMt.Carmelのアルカリ玄武岩由来捕獲鉱物中コランダム内に特異な包有物として(Ti-Zr酸化物、Si-Ti合金)が報告されている。また高いTiO2濃度(最大2,6wt%)、捕獲結晶としてダイヤモンドの産出も報告され、リサイクル海洋地殻玄武岩由来であると考えられている。以上より本研究で幌満ハルツバージャイトから分離回収されたコランダムとGriffine et al.,(2016; 2018)で報告されたコランダムは組成も共存鉱物も非常に類似していることから同様の起源を持つことを意味し、幌満ハルツバージャイト中コランダムもリサイクル海洋地殻由来コランダムであり、幌満かんらん岩中に鉱物レベルで地殻鉱物が存在することを示唆する。引用文献Griffin1,William L. (2016) “Deep-earth methane and mantle dynamics: insights from northern Israel, southern Tibet and Kamchatka,” JOURNAL & PROCEEDINGS OF THE ROYAL SOCIETY OF NEW SOUTH WALES, VOL. 149,PARTS 1 & 2, 2016, PP. 17-33Yibing Li. The mineralogical and chronological evidences of subducted continent material in deep mantle: diamond, zircon and rutile separated from the Horoman peridotite of Japan. AGU. FALL MEETING 2017. AGU Contact Technical Support AGU Privacy Policy. https://agu.confex.com/agu/fm17/meetingapp.cgi/Paper/222963 [2019/02/19].Morishita, T., 1998, ”finding of corundum-bearing gabbro boulder possibly derived from the Horoman Peridotitie complex, Hokkaido, northern Japan, ”JOURNAL OF MINERALOGY, PETROLOGY AND ECONOMIC GEOLOGY, 93(2), 52-63.
著者
沖野 晃一 冨田 裕人 橋本 浩二 山崎 雅也 大澤 拓 白川 暁 吉井 卓 岩下 茂信 宮嶋 浩志 村上 和彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.80, pp.167-172, 1996-08-27
被引用文献数
5

本稿は,九州大学で現在開発中のPPRAM^R_<mf>仕様に基づく最初の試作LSIであるPPRAM^R_<mf>256?4のハードウエア構成について述べている.計画では,0.25μm CMOS,2層金属配線を用いて,"256"Mビット(2Mバイト)DRAMと"4"個の汎用プロセッサを1チップに搭載する.各プロセッサのロジック規模は50万トランジスタ程度で,24Kバイト・キャッシュを装備.プロセッサ当たりのローカル・メモリ容量は8Mバイトとなる.1998年度中の完成を目指している.This paper describes the hardware organization of the first prototype LSI chip based on the PPRAM^R_<mf> architecture, or PPRAM^R_<mf>256-4, which is now under development at Kyushu University. The PPRAM^R_<mf>256-4 will integrate 256Mb DRAM and four processors into a single chip with a 0.25μm CMOS technology. Each PE (Processing Element) will consist of a simple RISC processor of 500KTr, 24Kbyte cache memory, and 8Mb local DRAM memory. The development will complete by March, 1999.