著者
土田 あさみ 秋田 真菜美 増田 宏司 大石 孝雄 Asami TSUCHIDA AKITA Manami MASUDA Koji OISHI Takao
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.119-125,

ノラ猫問題を解決する一つの対策として地域猫活動が各地で行われており,一部の行政でその活動を支援している。そこで,その支援状況とその効果を検討するために,全国の自治体を対象として調査用紙を配布し,2008年度における情報を収集した。その結果,東京都特別区で地域猫活動を支援する行政が多く認められた。また,政令指定都市,中核市および都道府県のいずれの行政でも地域猫活動の地域がないと回答したところが多かった。条例や制度,避妊去勢手術費の補助,講習会開催等の支援措置は,東京都特別区および東京都市部で多く,中核市および都道府県では少ない状況であった。今回の調査では地域猫活動を行政が支援することが,猫に関する苦情の減少,猫の処分数の減少,また住民間の親密の増加等に対して有効であるかどうかについては明らかにならなかったものの,行政機関がノラ猫対策を早めにとることや,その支援を積極的に行うことなどが,猫の処分数を減らすのに有効である可能性が示唆された。
著者
土田 あさみ 秋田 真菜美 増田 宏司 大石 孝雄 Asami TSUCHIDA AKITA Manami MASUDA Koji OISHI Takao 東京農業大学農学部バイオセラピー学科伴侶動物学研究室 埼玉県吉川市健康福祉部 東京農業大学農学部バイオセラピー学科伴侶動物学研究室 東京農業大学農学部バイオセラピー学科伴侶動物学研究室 Department of Human and Animal-Plant Relationships Faculty of Agriculture Tokyo University of Agriculture National Pension and Health Insurance Division Yoshikawa City Office Department of Human and Animal-Plant Relationships Faculty of Agriculture Tokyo University of Agriculture Department of Human and Animal-Plant Relationships Faculty of Agriculture Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.119-125,

ノラ猫問題を解決する一つの対策として地域猫活動が各地で行われており,一部の行政でその活動を支援している。そこで,その支援状況とその効果を検討するために,全国の自治体を対象として調査用紙を配布し,2008年度における情報を収集した。その結果,東京都特別区で地域猫活動を支援する行政が多く認められた。また,政令指定都市,中核市および都道府県のいずれの行政でも地域猫活動の地域がないと回答したところが多かった。条例や制度,避妊去勢手術費の補助,講習会開催等の支援措置は,東京都特別区および東京都市部で多く,中核市および都道府県では少ない状況であった。今回の調査では地域猫活動を行政が支援することが,猫に関する苦情の減少,猫の処分数の減少,また住民間の親密の増加等に対して有効であるかどうかについては明らかにならなかったものの,行政機関がノラ猫対策を早めにとることや,その支援を積極的に行うことなどが,猫の処分数を減らすのに有効である可能性が示唆された。Activities by community volunteers who care for stray cats, such as neutering and caring for stray cats, were supported at various administrative levels in Japan. In order to identify the status of the activities in which support is provided by the administrations and to assess the effect, we conducted a questionnaire survey to each government in 2008. The activities to support volunteer activities related to stray cats was significantly higher in the 23 wards of Tokyo than in other cities in Tokyo. Many of the local administrations did not have information about whether there were any such activities. There were significantly more administrations in the 23 wards of Tokyo and the other cities in Tokyo than in local administrations, which supported the activities such as enacting ordinances and animal protection promotion plans, and providing financial assistance to cover the cost of sterilization surgeries. This study could not clarify the effects of these support activities on reducing the number of and the nuisances caused by stray cats. However, it was suggested that efforts at the early period by every administration to assess the situation of stray cats and offer support activities would make the animal protection plans more effective.
著者
岡野 彰 島田 和宏 居在家 義昭 大石 孝雄
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.458-464, 1984-07-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

昭和13年から57年までの45年間に農林水産省中国農業試験場畜産部で飼養されていた黒毛和種雌牛221頭の計1167回の妊娠例について,初産年齢と各産次別の繁殖性を調べ,あわせて生涯にわたる生産性について検討した.分娩後の発情回帰日数および空胎日数はそれぞれ平均67.7日および125.5日であった.全産次を通してみた平均分娩間隔は,417.5日であった.流産と死産の発生は,ほとんどの妊娠回次に認められ,その発生率は5.3%であった.流産と死産後の発情回帰日数は平均47.9日,また空胎日数は平均132.8日であり,発情回帰日数については,正常分娩後の日数に比べて有意に短かった.初産および最終産年齢は,それぞれ平均2.53および8.15歳であり,平均生涯産子数は5.4頭であった、しかし,初産年齢が2.01~3.00歳の雌牛は,2.00歳以下および3.01歳以上の雌牛に比べ,生涯産子数が多く,繁殖供用年数の長い傾向が認められた.調査対象雌牛の最高産次は,15産であったが,5産後までに51%,8産後までに83%の雌牛が死亡するか淘汰された.淘汰された調査対象雌牛のうち76%はなんらかの繁殖障害が原因であった.以上のことから,黒毛和種雌牛の適切な繁殖供用開始月齢はおよそ15~20ヵ月齢であり,一方淘汰とその年齢を考えあわせると,雌牛の繁殖供用限界は,7~8産を得る9~10歳が目安であると考えられた.
著者
大石 孝雄 丸野 弘幸 川井田 博 坂本 薫 宇治野 裕
出版者
日本動物遺伝育種学会
雑誌
動物遺伝研究会誌 (ISSN:09194371)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.70-74, 1993

鹿児島県畜産試験場に導入された NIH ミニブタ10頭から血液を採取、血液型と蛋白質型を調査した。調査した20座位のうち、NIHミニブタは12座位で多型を示した。他のミニブタ (オーミニ、クラウンミニ、ゲッチンゲン、ピッッマンムーア) と比較すると、A, H, K, LおよびPa座位で特徴がみられた。遺伝子頻度を基に遺伝的異性を示す4指標値 (H.I., H, P poly, Ne) を算出したところ、NIHミニブタはミニブタ5系統の中でオーミニとクラウンミニより変異性が大きく、ゲッチンゲンおよびピッツマンムーアと同等の変異性であった。NIHミニブタとこれまでに調査した17豚品種との間でRogersおよびNeiの式に基づく遺伝的距離を計算したところ、NIHミニブタは中国系品種とは明らかに遠い距離を示し、欧米系品種ともそれほど近くはなかったが、そのうちランドレース、ハンプシャー、ピッツマンムーアとは比較的近い距離であった。18豚集団の遺伝的類縁関係を示す枝分かれ図を作成したところ、NIHミニブタは欧米系品種のグループに属し、その中では他のものと最も離れる位置を占めていた。
著者
田所 理紗 増田 宏司 土田 あさみ 大石 孝雄 Lisa TADOKORO MASUDA Koji TSUCHIDA Asami OISHI Takao
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.220-226, 2011-12

トリマーおよびトリミング専門学校学生に対してイヌの行動特性評価に関するアンケート調査を行った。集計の結果,扱いやすいイヌの身体的特徴としては,小型のイヌであることが,扱いにくいイヌの特徴としては,被毛の長さ,イヌのサイズ,性別などの身体的特徴は関係しないことが判明した。また,トリマーの経験年数が3年以上の回答者について,得られた回答を数量化III類解析にて処理した結果,扱いやすいイヌの行動特性に関する質問に関して有効な軸が2軸得られ,回答者の捉える扱いやすいイヌの行動特性には男女差があることが判明した。すなわち,男性トリマーは活発・好奇心旺盛なイヌを,女性トリマーはおとなしい・臆病なイヌを扱いやすさの指標として捉える傾向にあることが明らかとなった。
著者
スウィト アノタイシンタウェー チャイヤワン ワッタナチャント 野村 こう 大石 孝雄 天野 卓 Anothaisinthawee Suwit Chaiyawan Wattanachant Koh Nomura Takao Oishi Takashi Amano
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.63-70,

濃厚飼料給与量を体重の1パーセントとした給餌条件下で飼育したタイ産肉用ヤギ3集団の屠体成績を得ることを本研究の目的とした。南部タイ在来種,2元交雑(50%アングロヌビアン種×50%在来種),3元交雑(50%ボアー種×25%アングロヌビアン種×25%在来種)から健康な1歳雄18頭を無作為に選び,24時間絶食後,屠殺した。3元交雑は2元交雑および在来種に比べ,屠殺前生体重,枝肉重量,枝肉長の値が有意(P<0.01)に大きかった。枝肉歩留は50.20~54.28%で,3元交雑が有意(P<0.01)に低かった。3元交雑のロース心面積は,2元交雑や在来種に比して有意(P<0.01)に大きかった(それぞれ16.97,11.19,8.13cm^2)。屠体の物理学的特性,肉の化学組成と微細構造は,骨と肉の比率を除いて3集団に差はなかった。在来種の骨量は他集団に比べ有意(P<0.01)に低く,筋肉─骨比はほかの2集団に比べて有意(P<0.01)に高かった。また可食肉(筋肉+脂肪)─骨比も有意(P<0.05)に高かった。肉のタンパク含量は3元交雑(22.4%)が有意(P<0.05)に高く,脂肪も同様(P<0.01)であった。肉の剪断力価と肉色は集団により有意(P<0.05)に異なった。胸最長筋の剪断力価は大腿二頭筋や上腕三頭筋より低く(P<0.05),国際標準照度値による肉色測定では大腿二頭筋と上腕三頭筋の肉色は胸最長筋よりも暗かった(P<0.05)。The objective of this study was to assess the carcass characteristics of three genotypes of meat goats in Thailand, kept in a semi-intensive system with concentrated feed at 1% of body weight. Eighteen healthy male yearlings, including Southern Thai native, two-way crosses (50% Anglo-Nubian ×50% native) and three-way crosses (50% Boer ×25% Anglo-Nubian ×25% native) goats were randomly selected and slaughtered after being starved for 24 h. Three-way crosses had greater (P<0.01) fasted live weight, carcass weight and carcass length than two-way crosses and native goats in the same environment. The dressing percentage (based on empty body weight) ranged from 50.20% to 54.28%, with highly significant differences between genotypes. Three-way crosses had greater (P<0.01) loin eye area than two-way crosses and native goats (16.97, 11.19, and 8.13cm^2, respectively). Physical properties, chemical composition of meat, and muscle microstructure of the three genotypes were determined. There were no differences in physical properties between genotypes, except for bone percentage. Native goats had lower (P<0.01) bone content than two-way and three-way crosses. The muscle-bone ratio was higher (P<0.01) in native goats than in other goats, even using the criterion of edible meat (muscle+fat-bone ratio, P<0.05). The protein percentage of muscles was significantly higher in three-way crosses (22.4%) than in two-way crosses and native goats (P<0.05). The fat percentage of three-way crosses was higher (P<0.01) than that of two-way crosses and native goats. Genotype had a significant (P<0.05) influence on meat quality in regard to shear force and lightness. The longissimus dorsi had a lower shear force value than the biceps femoris and triceps brachii (P<0.05). The International Commission on Illumination system values for the biceps femoris and triceps brachii were lower (P<0.05) than those for the longissimus dorsi.
著者
木村 雄一 増田 宏司 土田 あさみ 大石 孝雄
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.270-274, 2011-03-15

本研究ではイヌのメラノコルチン2受容体(MC2R)遺伝子に存在する一塩基多型(SNPs ; 600G>C, 858G>A)と,「訓練能スコア」との関連性をゴールデンレトリーバー,ラブラドールレトリーバー,ミニチュアシュナウザー,マルチーズ,柴の5犬種,計77個体のゲノムDNAを用いて調査した。77個体のゲノムDNAについて遺伝子型判別を行った結果,ラブラドールレトリーバー,マルチーズ,柴の3犬種において600G>Cの遺伝子型およびアレル頻度に犬種差が認められた。また,600G>C多型によって判別される遺伝子型と訓練能スコアとの間に有意な関連が認められた。
著者
大石孝雄著
出版者
東京大学出版会
巻号頁・発行日
2013