- 著者
-
大竹 久夫
- 出版者
- 公益社団法人 日本農芸化学会
- 雑誌
- 化学と生物 (ISSN:0453073X)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.1, pp.28-34, 2010-01-01 (Released:2011-08-10)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
-
1
リン資源枯渇の危機が忍び寄っている.リン資源が枯渇すれば,食糧はもとよりバイオマスもバイオ燃料も生産できなくなる.わが国はリン鉱石をまったく産出せず,国内で消費するリンの全量を輸入に頼っている.しかし,リン鉱石の枯渇と産出国によるリン資源の囲い込みは,わが国が海外からリン資源を確保することを年々難しくしている.もし十分なリン資源が確保できなくなれば,農業はもとより電子部品製造,金属表面加工,化学や食品工業などの広範な産業分野にも,深刻な影響が及ぶことだろう.このような事態に対処するためには,国内の未利用リン資源からリンを回収し再利用するシステムを早急に確立する必要がある.