著者
松八重 一代 大竹 久夫
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.134-140, 2018 (Released:2019-12-15)
参考文献数
32
被引用文献数
1

リンは窒素・カリウムと並び植物の生長に必須の三大栄養素の一つであり、肥料原料に欠かすことのできない資源の一つである。現在、経済圏で用いられるリン資源の大半は鉱石由来のリンである。USGSの2018年の報告によると産出量については、中国、モロッコ、アメリカの3カ国で世界全体の産出量の約75%を占め、世界全体でのリン鉱石の経済埋蔵量のうち7割以上はモロッコ一国が占めている。リン鉱石の多くは肥料原料に用いられるが、半導体、表面処理剤、EV二次電池、医薬品や加工食品等の工業用途も大きな需要がある。食料供給に欠かすことのできない資源として、欧州をはじめ各国・地域でリンを戦略的資源とみなし、その持続的な利用について熱心な議論が進められている。持続可能なリン資源管理・保全に向け、今後、農業をはじめとするリン資源を活用する産業での資源利用効率の向上を目指し、未利用リン資源回収・再資源化技術開発、循環資源利用技術の産業化に向けた経済的・効率的な条件確立が期待される。
著者
三橋 正枝 澤田 成章 古川 柳蔵 松八重 一代
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.152-158, 2022 (Released:2022-08-05)
参考文献数
6

沖永良部島をはじめ、小さい島嶼地域では、現代の暮らしに必要なものを全て島内で作り出すことは困難で、様々な生活物資の多くを島外からの輸送に頼らざるを得ない状況である。航空便による貨物輸送が困難な島ではすべての物資が船舶輸送となるが、船舶輸送は天候に左右され、悪天候が続くと長期保存できない生鮮食品等の調達に影響が出る。同時に島外向けの農産物の出荷も停滞し、経済的な打撃も少なくない。輸送に頼る暮らしは、CO2排出量にも関係する。ここでは島嶼における暮らしと経済、そして環境側面について考察する。
著者
梶山 純 松八重 一代 長坂 徹也
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集 第6回日本LCA学会研究発表会(会場:東北大学)
巻号頁・発行日
pp.74, 2010 (Released:2011-02-14)

リンは農業分野における食糧生産に欠かせない元素であり、肥料の他、化学工業分野でも使用されている。しかし原料であるリン鉱石は世界で遍在しており、リンは近年資源戦略化している。そのため国内でリンの安定供給を図るためには、国内に循環するリンの有効利用、再資源化が必要である。そこで本研究ではリンのマテリアルフローを作成し、国内のどこにどれくらい回収可能なリン資源が存在し、回収したリンをどこに再利用すれば良いのかを推計・考察した。
著者
矢吹 悟 松八重 一代 長坂 徹也
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集 第4回日本LCA学会研究発表会(会場:北九州国際会議場)
巻号頁・発行日
pp.101, 2008 (Released:2009-02-05)

本研究では、地域特性をより正確に反映させるために東北地域(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)を対象に地域間産業連関表を基盤とした平成12年東北地域間廃棄物産業連関表(TR-WIO)の作成を行った。なお、平成12年東北地域間産業連関表が作成されていないため、平成12年東北地域内産業連関表を基に作成した。また、作成したTR-WIOを基に各種廃棄物の再資源化に関するシナリオ分析を行った。
著者
長坂 徹也 三木 貴博 松八重 一代 平木 岳人
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

世界中の電炉鉄鋼メーカーにとって頭痛の種のひとつである電炉ダスト処理問題の解決のために、ダスト性状のオンサイト改質と発生量低減を目指した電炉内へのダスト吹込技術の科学的基礎を確立した。実電炉での現場実験と並行し、実験室規模で溶鋼中あるいは溶鋼上に保持されたスラグ中にダストを吹込み、ダストの発生量および組成を系統的に分析し、その反応機構およびダスト発生削減量を明らかにした。ダスト吹込みによって発生した2次ダストを、報告者らが開発した石灰処理法に供し、ダストからほぼ全ての亜鉛を抽出することに成功した。これらの結果に基づいて、ダスト吹込を協力企業でルーチン化することができた。
著者
松八重 一代 久保 裕也 大竹 久夫 長坂 徹也
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.106-113, 2008
被引用文献数
6 4

現在工業的に利用されている高品質のリン鉱石は、現在のペースで消費が進むと100 年以内に枯渇することが懸念されており、新たなリン資源の開発が強く望まれている。本研究では、詳細なリンの国内マテリアルフロー分析を行い、製鋼スラグと下水汚泥に濃縮されるリンは、質および量において輸入リン鉱石とほぼ同等であり、人工リン資源として極めて高いポテンシャルを有することを示した。また、これら廃棄物からのリン回収技術開発を行った。廃棄物産業連関モデルを用いて、これらの新技術が与える環境負荷および経済影響を定量的に示した。
著者
柏倉 俊介 熊谷 祐一 久保 博 松八重 一代 長坂 徹也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.241, 2008 (Released:2008-11-25)

日本国内において年間に1千万t程度排出されている産業廃棄物である石炭灰は、石炭の燃焼及び灰の生成過程において、環境規制物質、とりわけ注目されるホウ素・ヒ素・セレンをその表面に濃化させやすいことが知られている。著者らは石炭灰に対して酸洗浄を施すことによりこれらの環境規制物質の除去を目指しているが、ヒ素及びセレンに対しては洗浄後の石炭灰が原灰よりも溶出濃度が上昇してしまうといったケースが見られた。そこで本研究では希硫酸を用いて石炭灰の洗浄過程におけるヒ素及びセレンの液中濃度を測定した。その結果、石炭灰中のアルカリ成分の溶出に伴うpHの上昇に伴って、一度溶出していたヒ素及びセレンが石炭灰表面に静電的な再吸着を起こしている可能性が強く示唆された。
著者
森口 祐一 工藤 祐揮 松八重 一代 福島 康裕 醍醐 市朗 中島 謙一 栗島 英明 菊池 康紀 中谷 隼 田原 聖隆 井原 智彦 兼松 祐一郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題では,国内産業および輸入原料を含む国産製品のサプライチェーンを対象として,それが産み出す社会価値と,地域レベルおよび地球レベルで発生する環境・資源ストレスの統合的ホットスポット分析の枠組みを確立することを目的とした。輸入資源の国際サプライチェーン分析,地域における再生可能エネルギー供給システム,産業廃棄物の地域間分析,サプライチェーンの地震リスクといった数多くの事例分析を実施し,それぞれ潜在的なストレス・リスク要因のホットスポットを特定した。さらに,分析方法のアルゴリズムおよび原単位のデータベースをソフトウェアに実装することで,ホットスポット分析の枠組みの汎用化を目指した。
著者
佐竹 正夫 大東 一郎 東田 啓作 柳瀬 明彦 斉藤 崇 松八重 一代
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本年度は最終年度であるので、各自の研究成果の公開とこの課題に関心を持っている若手研究者との交流を目的として、以下のような活動を行った。1. 公開シンポジウム平成20年9月16日(東北大学)発表者東田啓作"The Determinants of International Trade in Recyclable Materials and the Effects on Welfare-Theory and Evidence-"斉藤崇「国際資源循環と国内廃棄物処理・リサイクル制度」中谷隼*「使用済ペットボトルの国内リサイクルと日中間リサイクルの比較分析」*東京大学工学研究科助教2. 研究会平成21年2月2日(明治大学)この課題に関心を有している若手研究者*を招いて、特に理論の面での研究会を開催した。*栗田郁真(京都大学大学院生)、赤石秀之(法政大学大学院生)、南部和音(明治大学非常勤講師)、菊地徹(神戸大学准教授)、山重芳子(成城大学准教授)3. 成果発表会平成21年3月13日(東北大学)新熊隆嘉関西大学教授を招いて、公開の研究会を中に入れて、最終の成果報告会を開いた。研究成果は5月に報告書を発刊する予定である。4. 研究会、シンポジウムなどへの参加この課題はまだ結論が出るような問題ではないので、引き続き他の研究機関が開催する研究会などに積極的に参加すると同時に自治体や企業への聴き取りを行った。参加したシンポジウムは次のようなものである。・廃棄物処理等科研費研究班主催「PETボトルのリサイクル効果に関する公開セミナー」・国立環境研究所研究会主催「適正な国際資源循環を構築するための枠組みについて」・廃棄物学会主催「資源確保競争下での国際資源循環のあり方を考える」