著者
藤田 茂 平尾 智広 北澤 健文 飯田 修平 永井 庸次 嶋森 好子 鮎澤 純子 瀬戸 加奈子 畠山 洋輔 大西 遼 松本 邦愛 長谷川 友紀
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.95-104, 2020-07-31 (Released:2020-11-11)
参考文献数
48

医療従事者の働き方改革は,医療従事者の健康や幸福だけでなく,医療安全の向上にも寄与すると推測される。本研究は,コメディカルの労働量と医療安全に関するアウトカムとの関係を明らかにすることを目的とした。1964年1月から2018年8月までに出版された医中誌Web収載の文献と,2008年8月から2018年8月までに出版されたPubMed収載の文献を対象に,システマティックレビューを行った。その結果,看護師の労働量に関する文献を26件,薬剤師の労働量に関する文献を2件,その他の文献を7件得た。それらの文献には,システマティックレビューが7件,対照群のある観察研究が28件含まれ,無作為化比較試験は無かった。コメディカルの労働量の多さが患者の死亡率に負の影響を与えるという明確なエビデンスは得られなかった。一方で,看護師の労働量が多いと,与薬エラーや集中治療室における院内感染症が増加する可能性が示唆された。
著者
月岡 祐介 立石 烈 大西 遼 塩屋 雅人 中原 嘉則 金村 賦之
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.125-129, 2021-04-22 (Released:2021-04-22)
参考文献数
29

上行結腸憩室炎に続発した上腸間膜静脈血栓症(Superior Mesenteric Vein Thrombosis: SMVT)に対し保存的加療を行った1例を報告する.症例は78歳の男性.右下腹部痛と発熱を発症し前医に搬送され上行結腸憩室炎の診断で前医に入院となった.点滴抗生剤加療で改善しないため造影CTが施行されSMVTと診断され当院に搬送.当院では腹部症状は消失しており保存的加療の方針とした.未分画ヘパリン持続静注から開始しワーファリン内服に切り替え入院5日後のCTで血栓縮小を確認したため7日目に退院した.退院2カ月後のCTで血栓の消失を確認した.文献検索では,腸間膜静脈血栓症に先行する大腸憩室炎の部位としては上行結腸が多く,SMVTはIMVT(Inferior Mesenteric Vein Thrombosis: 下腸間膜静脈血栓症)よりも発生頻度が高かった.