著者
田上 明日香 伊藤 大輔 清水 馨 大野 真由子 白井 麻理 嶋田 洋徳 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.11-22, 2012-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
6

本研究の目的は、うつ病休職者の職場復帰の困難感を測定する尺度を作成し、さらにその尺度をもとに職場復帰の困難感の特徴を明らかにすることであった。単極性のうつ病と診断された34名を対象に職場復帰の困難感について自由記述による回答を求め、項目案を作成した。次に、単極性のうつ病と診断された休職者60名を対象にその項目について探索的因子分析を行い、「職場で必要な体力面の困難」「職場復帰後の対人面の困難」「職務に必要な認知機能面での困難」の3因子10項目から構成されることが示され、十分な信頼性と内容的妥当性、併存的妥当性が確認された。そこで、職場復帰の困難感尺度を使用してタイプ分類を実施したところ、四つの類型を得た(全般困難型、復職後の対人関係困難型、体力・認知機能困難型、困難少型)。最後に、それぞれの類型にあわせた支援について議論がなされた。
著者
田上 明日香 伊藤 大輔 大野 真由子 白井 麻理 嶋田 洋徳 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.95-106, 2010-06-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本研究の目的は、うつ病の治療において、うつ症状とともに評価が必要とされている社会的機能に着目し、うつ症状と社会的機能に関連する心理的要因を明らかにすることである。単極性のうつ病と診断された66名を対象に、自動思考尺度(ATQ-R)、対処方略尺度(TAC)、ソーシャルスキル尺度(KISS)、うつ症状尺度(BDHI)、社会適応状態尺度(SASS)を実施した。その結果、うつ症状に対しては、"自己に対する非難"が関連していたが、社会適応状態には"肯定的思考"と"肯定的解釈と気そらし""社会的スキル"が関連しており、うつ症状と社会適応状態では関連する要因が異なることが示唆された。これらのことから、うつ病患者への支援においては、うつ症状だけでなく社会適応状態に関連する要因を検討する必要性が議論され最後に本研究の限界について述べられた。