- 著者
-
大野 英昭
新浪 博士
- 出版者
- 公益財団法人 日本心臓財団
- 雑誌
- 心臓 (ISSN:05864488)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.4, pp.384-389, 2017-04-15 (Released:2018-04-17)
- 参考文献数
- 24
症例は55歳の男性で,間歇性跛行を主訴に入院.既往症に糖尿病,脳梗塞.糖尿病性腎症で透析導入となった.ヘパリンによる皮疹の既往があり,アルガトロバンによる抗凝固療法下に,下肢動脈の経皮的血管形成術および経皮的冠動脈インターべンション(PCI)を施行した.PCIの再評価でステント内再狭窄を含む冠動脈3枝病変を認め,当科に紹介された.術中の抗凝固療法は,圧モニターラインにメシル酸ナファモスタットを使用し,グラフト血栓予防目的でアルガトロバンを持続投与し,活性化凝固時間を250秒以上で管理した.心拍動下に左内胸動脈を前下行枝に,静脈グラフトを後側壁枝および鈍縁枝にバイパスした.静脈グラフトの中枢側吻合に血管縫合補助具(ハートストリング®)を用いた.静脈グラフトの中枢側吻合後,フローメーターで順行性の血流に乏しくグラフト内の血栓形成が疑われた.静脈グラフトを切開し,ひも状の赤色血栓を除去した.手術直後から抗凝固療法を行い,CTでグラフトの開存を確認した.