- 著者
-
天池 洋介
- 出版者
- 日本福祉大学子ども発達学部
- 雑誌
- 日本福祉大学子ども発達学論集 = THE JOURNAL OF CHILD DEVELOPMENT (ISSN:24352802)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.23-38, 2021-01-31
PISA などの国際学力調査において,フィンランドは世界一の好成績を修めたとして注目されているが,その要因についてグローバル化の視点から考察したものは少ない.本論ではグローバル化の一つの形態である,北欧協力における初等・中等教育政策について,グローバル化の諸層と国境を越える福祉国家の視点から考察をした.PISA をはじめグローバル化し,競争が激化する教育政策の中で,EU はヨーロッパ地域において一元的にベンチマークを設定して,ヨーロッパの文脈を踏まえた独自の教育政策を展開している.さらに北欧協力は北欧地域において,平等を基調とした北欧の文脈に沿った初等・中等教育政策を行っている.それはベンチマークなどによる一元的な管理ではなく,各国の多様性を重視する北欧型福祉国家が,国境を越えて展開する教育政策である.