著者
森 俊治 長谷川 洋 小木曽 清二 坂本 英至 伊神 剛 太平 周作 服部 弘太郎 水野 隆史 杉本 昌之 深見 保之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.1239-1243, 2002-05-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

症例は79歳の男性で,パーキンソン病があり,抗パーキンソン病薬を内服していた.日常生活は介助により起立が可能だが,ほとんど臥床の状態であった.主訴は心窩部痛,腹部膨満で近医よりイレウスの診断で紹介となった.腹部に巨大なガス像を認め, S状結腸軸捻転症を疑い緊急内視鏡検査を行ったが,上行結腸の肝彎曲部まで正常であった.腸閉塞の診断で経過観察していたが,改善が見られず手術を行ったところ,盲腸は反時計方向に180度回転し,さらに頭側に180度屈曲して盲腸が横行結腸と癒着して著明に拡張していたため,盲腸軸捻転症と診断した.自験例はその誘因としてパーキンソン病と長期臥床による大腸のatonyが深く関与していると考えられた.
著者
上原 圭介 長谷川 洋 小木曽 清二 塩見 正哉 籾山 正人 伊神 剛 太平 周作 高橋 祐 雨宮 剛 宮崎 晋
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.1643-1647, 2000-09-01
被引用文献数
4

症例は48歳の女性.23年前より慢性腎不全のため長期血液透析を施行中であった.平成11年1月19日の透析中に左下腹痛, 左下腹部腫瘤が出現したため当院を受診, 腹部CT・MRI検査より非外傷性腹直筋血腫と診断した.外来にて経過観察中, 5月7日に吐血, 前胸部痛を主訴に当院を受診した.緊急上部消化管内視鏡検査にて上部食道から胃噴門部にかけて青紫色の血腫を認めたため, 食道壁内血腫と診断し, 保存的治療を開始した.第5病日には自覚症状は消失した.第13病日の食道内視鏡検査では血腫は完全に消失し, 一部粘膜脱落による腫瘍形成を認めたが, 第21病日には潰瘍瘢痕を残すのみとなり, 他に異常所見を認めなかった.食道壁内血腫はまれな疾患で、保存的治療で治癒する予後良好な疾患である.また, 腹直筋血腫経過中に合併した症例の報告はなく, 若干の文献的考察を加え報告する.