著者
奈田 哲也 堀 憲一郎 丸野 俊一
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.324-334, 2012 (Released:2013-02-08)
参考文献数
26
被引用文献数
3 3

本研究の目的は, 奈田・丸野(2007)を基に, 知識獲得過程の一端を知り得る指標としてエラーバイアスを用い, 他者とのコラボレーションによって生起する課題活動に対するポジティブ感情が個の知識獲得過程に与える影響を明らかにすることであった。そのため, 小学3年生に, プレテスト(単独活動), 協同活動セッション, ポストテスト(単独活動)という流れで, 指定された品物を回り道せずに買いながら元の場所に戻る課題を行わせた。その際, 協同活動セッション前半の実験参加者の言動に対する実験者の反応の違いによって, 課題活動に対するポジティブ感情を生起させる条件(協応的肯定条件)とそうでない条件(表面的肯定条件)を設けた。その結果, 協応的肯定条件では, エラーバイアスが多く生起し, より短い距離で地図を回れるようになるとともに, やりとりにおいて, 自分の考えを柔軟に捉え直していた。これらのことから, 課題活動に対するポジティブ感情は, その活動に没頭させ, さらに, 相手の考えに対する柔軟な姿勢を作ることで, 新たな視点から自己の考えを捉え直させるといった認知的営みを促進させる働きを持つことが明らかとなった。
著者
奈田 哲也
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.1-12, 2023-03-30 (Released:2023-03-25)
参考文献数
23

本研究の目的は,奈田他(2012)を踏まえ,ネガティブ感情を含め,感情が,如何に個の知識獲得を促すのかを検討することであった。そのため,実験参加者(小学3年生)が示した考えを前半は否定するものの,後半は賞賛していくNP条件,その逆のPN条件,終始賞賛するPP条件というように,感情の生起のさせ方が異なる3条件を設定し,奈田他(2012)と同様の手続きで実験を行った。その結果,PP条件,NP条件,PN条件の順で,知識獲得が促されやすくなることが判明した。加えて,やりとりにおける思考上の積極性を示す指標に関しても,PP条件が最も高く,やりとりを通した知識獲得においては,相手の考えを賞賛することで,個の中に自他の考えに対する柔軟な姿勢を作っていくことが重要であることが判明した。ただし,ネガティブ感情にも,自身の考えを振り返り,見直させる働きがあり,NP条件のように,こういった働きを強化していくことで,知識獲得をある程度は促すことができることも判明し,ポジティブ感情による知識獲得の促しとは異なった過程で,知識獲得が促される過程があることも明らかになった。
著者
奈田 哲也 堀 憲一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.353-363, 2014

教員に求められる資質能力である学び続ける力を教員の多くは獲得できてないことから,学び続ける力の礎と考えられる質問力と相対主義的認識論的信念を学生時点で獲得させることを目標に,大学の半期の講義を通して介入を行った.その際,講義内容は同じだが,講義内容を自身の経験と重ね合わせながら聞くことを推奨する講義(重ね合わせ条件)と特に推奨しない講義(統制条件)を行った.その結果,重ね合わせ条件の方が質問を多く生成していたが,半期の講義を通した認識論的信念の程度は,両条件とも変化していなかった.また,講義で感じる楽しさの内容は条件間で異なっていた.これらのことから,講義内容と経験を重ね合わせることで,様々な気づきが生まれやすくなり,この新たな気づきに楽しさを感じるとともに,疑問が生じやすくなり,質問を生成しやすくなるが,そういった気づきも,認識論的信念を変化させるまでには至らないことが明らかになった.
著者
奈田 哲也 堀 憲一郎 丸野 俊一
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.324-334, 2012
被引用文献数
3

本研究の目的は, 奈田・丸野(2007)を基に, 知識獲得過程の一端を知り得る指標としてエラーバイアスを用い, 他者とのコラボレーションによって生起する課題活動に対するポジティブ感情が個の知識獲得過程に与える影響を明らかにすることであった。そのため, 小学3年生に, プレテスト(単独活動), 協同活動セッション, ポストテスト(単独活動)という流れで, 指定された品物を回り道せずに買いながら元の場所に戻る課題を行わせた。その際, 協同活動セッション前半の実験参加者の言動に対する実験者の反応の違いによって, 課題活動に対するポジティブ感情を生起させる条件(協応的肯定条件)とそうでない条件(表面的肯定条件)を設けた。その結果, 協応的肯定条件では, エラーバイアスが多く生起し, より短い距離で地図を回れるようになるとともに, やりとりにおいて, 自分の考えを柔軟に捉え直していた。これらのことから, 課題活動に対するポジティブ感情は, その活動に没頭させ, さらに, 相手の考えに対する柔軟な姿勢を作ることで, 新たな視点から自己の考えを捉え直させるといった認知的営みを促進させる働きを持つことが明らかとなった。