著者
西島 智子 小山 理惠子 内藤 郁奈 畑山 聡 山崎 裕司 奥 壽郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.95-99, 2004 (Released:2004-06-12)
参考文献数
12
被引用文献数
40 26

この研究の目的は高齢患者の膝伸展筋力と歩行能力の関係について検討することである。対象は高齢入院患者78名(75.7±7.7歳)である。これらの対象について膝伸展筋力と歩行能力を評価した。歩行能力は院内歩行群(n=50),室内歩行群(n=10),歩行非自立群(n=18)に分類した。院内歩行群における膝伸展筋力は室内歩行群,歩行非自立群に比較し,有意に高い値を示した。ロジスティック回帰分析の結果,院内独歩の可否を独立して規定する因子は膝伸展筋力のみであった。膝伸展筋力が0.5を下回る場合,院内歩行自立群は減少し始め,その下限値は0.28であった。0.30を下回る場合,室内歩行の自立割合は減少し始め,その下限値は0.13であった。以上のことから,高齢患者の独歩自立のためにはある程度の下肢筋力が必要なことが示唆された。
著者
正保 哲 洲崎 俊男 出口 清喜 廣瀬 昇 奥 壽郎 立野 勝彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.33-39, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
18
被引用文献数
2

〔目的〕安全な背臥位での運動療法を提供するため,目標心拍数を指標とした背臥位での運動と自律神経活動からみた背臥位での安全な運動負荷の設定について検討を行った。〔対象〕運動習慣の無い健常男性11名とした。〔方法〕運動強度はカルボーネンの式を用いて,目標心拍数に達した負荷の80%と40%とした。運動は背臥位で自転車エルゴメーターを用いて行い,安静時から運動終了5分までの心電図を記録し,自律神経活動を測定した。〔結果〕HFnuの変化は,運動負荷80%では安静時に対して有意に抑制され,運動終了後有意に亢進した。LF/HFの変化は運動負荷80%では安静時に対して有意に亢進し,運動終了後運動時に対して有意に低下した。運動負荷40%では運動終了後に有意に低下した。〔結語〕 運動負荷40%程度の運動負荷における臥位でのペダリング運動は,運動終了後に副交感神経活動の上昇傾向,交感神経活動の抑制が期待されるため,背臥位での低強度の運動が低体力者に対する安全な運動療法の提供を可能にすることが示唆される。
著者
正保 哲 洲崎 俊男 廣瀬 昇 奥 壽郎 立野 勝彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.899-903, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

〔目的〕心疾患患者に実施する場合のために高強度のレジスタンスエクササイズ時の収縮期血圧,自律神経活動の変化について検討した。〔対象〕運動習慣の無い健常人における健常男性11例とした。〔方法〕臥位伸展挙上を用いて1RMの80%の負荷で10回を目標に施行した。運動負荷前後の収縮期血圧,自律神経活動を分析し,比較検討した。〔結果〕収縮期血圧は挙上回数をますほどに上昇する傾向を示し,LF/HF値は運動により安静時より有意に増加し,運動終了後5分が経過してもやや亢進状態が継続した。〔結語〕健常者における高強度のレジスタンスエクササイズ後の交感神経活動の結果から,高強度のレジスタンスエクササイズを心疾患患者に実施する場合,心疾患患者の安静時から持続的な交感神経活動の亢進状態に加え,運動終了後の交感神経の持続的な亢進状態も加わる可能性があるため,留意する必要があると考えられた。また,血圧上昇と交感神経活動の上昇点に一致した活動が見られた。