著者
跡見 順子 清水 美穂 秋光 信佳 廣瀬 昇 跡見 友章 長谷川 克也 藤田 恵理 菊池 吉晃 渡邊 敏行 竹森 重 中村 仁彦 井尻 憲一 吉村 浩太郎 高野 渉 神永 拓 江頭 正人
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

1Gという重力への適応を通して地球上で進化してきた人間は、動くことで重力を活用して身体を賦活化し、健康な状態を維持することができる。新しい健康科学イノベーション"重力健康科学"研究では、生命科学、脳科学、理学療法学、機器開発者が連携し、これまで皆無だった"ホメオスタシス範囲の評価系構築"に向けた研究に取り組んだ。いかに自重支持を行いながら運動し転倒しないようにするか?細胞と身体をつなぐ緊張性収縮のダイナミック制御システムを研究することが鍵でありかつ可能であることを、この萌芽的研究が明らかにした。
著者
正保 哲 洲崎 俊男 出口 清喜 廣瀬 昇 奥 壽郎 立野 勝彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.33-39, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
18
被引用文献数
2

〔目的〕安全な背臥位での運動療法を提供するため,目標心拍数を指標とした背臥位での運動と自律神経活動からみた背臥位での安全な運動負荷の設定について検討を行った。〔対象〕運動習慣の無い健常男性11名とした。〔方法〕運動強度はカルボーネンの式を用いて,目標心拍数に達した負荷の80%と40%とした。運動は背臥位で自転車エルゴメーターを用いて行い,安静時から運動終了5分までの心電図を記録し,自律神経活動を測定した。〔結果〕HFnuの変化は,運動負荷80%では安静時に対して有意に抑制され,運動終了後有意に亢進した。LF/HFの変化は運動負荷80%では安静時に対して有意に亢進し,運動終了後運動時に対して有意に低下した。運動負荷40%では運動終了後に有意に低下した。〔結語〕 運動負荷40%程度の運動負荷における臥位でのペダリング運動は,運動終了後に副交感神経活動の上昇傾向,交感神経活動の抑制が期待されるため,背臥位での低強度の運動が低体力者に対する安全な運動療法の提供を可能にすることが示唆される。
著者
相原 正博 西崎 香苗 廣瀬 昇 久津間 智允 池上 仁志
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.234, 2010 (Released:2010-10-12)

【目的】変形性膝関節症(以下膝OA)の手術方法である人工膝関節全置換術(以下TKA)は,除痛及び下肢アライメントの矯正による他関節の負担軽減など その有効性は高い.横山らは,膝OA患者の立位時の重心動揺検査測定値が増加する傾向にあることを報告している.今回我々は,TKAを施行した患者の術 前・術後において下肢荷重検査を実施し,手術施行によるFTAの変化が重心動揺に及ぼす影響を検討した. 【方法】対象は膝OAと診断された手術患者から12名を無作為抽出し,本研究の同意を得た上で,術前・術後1ヶ月・術後3ヵ月以降の各時期に下肢荷重検査 を実施した.測定方法は,キネトグラビレコーダ(アニマ社製G-7100)を用い,静的立位姿勢の左右下肢別に計測した.測定時間は30秒間,測定回数は 1回とした.測定項目は下肢荷重検査から重心動揺検査の総軌跡長・単位軌跡長などとした.FTAはX線画像より計測し,手術前後のFTA変化量が10°未 満(n=5),10°以上の群(n=5),20°以上の群(n=2)の3群に分け比較検討した.統計学的解析にはt-検定を使用した. 【結果】総軌跡長(cm)の結果では術前と術後1ヶ月の差が10°未満群では-4.01±3.65,10°以上の群-2.43±6.43,20°以上の群 では-27.21±14.88であり,10°未満群と10°以上群に有意差はなかったが,20°以上群では10°未満群,10°以上と比較し,それぞれ有 意差(p=0.02,p=0.02)が生じていた.単位軌跡長(cm/秒)の結果では術前と術後1ヶ月の差が10°未満群では-0.13±0.12, 10°以上の群-0.08±0.22,20°以上の群では-0.91±0.50であり,10°未満群と10°以上群に有意差はなかったが, 20°以上群では10°未満群,10°以上と比較し,それぞれ有意差(p=0.02,p=0.02)が生じていた. 【考察】本研究結果において,手術によりFTAが著明に変化(20°以上)した群では,FTAの変化の少ない群(20°未満)と比較し,術後の総軌跡長と 単位軌跡長において増大傾向がみられた.このことはFTAの著明な変化は立位重心動揺に影響を与えていることを示している.よってTKAの術後理学療法を 行う際には,FTAの術前後変化に留意し,高度にFTAが変化した症例においては,重心動揺が増加している可能性が高く,早期理学療法時には重心動揺計などを用い,適切な立位バランスを評価することが必要であり,この点に着目して理学療法を実施することは歩行・立位バランスの早期改善に有効であるとことが 示唆された.
著者
正保 哲 洲崎 俊男 廣瀬 昇 奥 壽郎 立野 勝彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.899-903, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

〔目的〕心疾患患者に実施する場合のために高強度のレジスタンスエクササイズ時の収縮期血圧,自律神経活動の変化について検討した。〔対象〕運動習慣の無い健常人における健常男性11例とした。〔方法〕臥位伸展挙上を用いて1RMの80%の負荷で10回を目標に施行した。運動負荷前後の収縮期血圧,自律神経活動を分析し,比較検討した。〔結果〕収縮期血圧は挙上回数をますほどに上昇する傾向を示し,LF/HF値は運動により安静時より有意に増加し,運動終了後5分が経過してもやや亢進状態が継続した。〔結語〕健常者における高強度のレジスタンスエクササイズ後の交感神経活動の結果から,高強度のレジスタンスエクササイズを心疾患患者に実施する場合,心疾患患者の安静時から持続的な交感神経活動の亢進状態に加え,運動終了後の交感神経の持続的な亢進状態も加わる可能性があるため,留意する必要があると考えられた。また,血圧上昇と交感神経活動の上昇点に一致した活動が見られた。
著者
廣瀬 恵 増山 素道 堀部 達也 岩本 卓水 廣瀬 昇 猪飼 哲夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BbPI2125, 2011

【目的】<BR> 今回対象となった脳動静脈奇形(以下、AVM)による広範な右脳内出血患者は、重度意識障害と著明な四肢の痙縮、さらに妊娠(妊娠28週)が合併していることから様々な制限を受け、痙縮コントロールに難渋した。そこで、術前、全身麻酔下、及び術後鎮静期間、立位訓練開始時にわたり痙縮評価を実施し、本症例を通じて、痙縮コントロールの治療手段を検討し、臨床推論モデルの一助となるシングルケーススタディーとして報告する。<BR>【対象】<BR> 脳動静脈奇形による脳内出血発症の女性患者(発症時正常妊娠28週)。<BR>搬送時Japan coma scale(以下JCS)は200、瞳孔散大でCT上右前頭頭頂部に7センチ前後の血腫を認めた。入院当日にAVM摘出術、血腫除去術、外減圧手術施行した。<BR>【説明と同意】<BR>ヘルシンキ宣言に基づき、患者および家人に対し、症例報告する旨を十分に説明し、同意を得た。<BR>【理学療法経過】<BR> 第2病日目より、理学療法開始。初期評価時JCSは30、右上肢にわずかな随意運動を認めるが、除皮質硬直様姿勢を呈していた。Modified Ashworth scale(以下MAS)は、右上下肢3~4、左上下肢 3、足関節背屈可動域は右-50°左-40°で両側の重度内反尖足位を示していた。故に、可動域改善を目的とした早期介入を実施。脳浮腫最大期(第7病日目)は四肢浮腫が著明に出現。看護治療計画にも体位交換毎の可動域訓練とポジショニングを試みるが、右上下肢優位の痙縮は改善されなかった。右足趾には持続的不随意運動も観察されるが、MAS 4と著明な痙縮が持続される。第16病日、JCS I-10、時に瞬きなどでコミュニケーションが可能、バイタルサインが安定したため、車椅子訓練開始。右足部をフットレストに載せることが難しく、内反尖足改善のアプローチは困難な状況であった。第30病日、帝王切開及び残存異常血管摘出術施行。術前評価は、足関節背屈可動域が右-50°、左-40°、両上下肢MAS 3~4であったが、術前徒手矯正時は右-45°左-30°MASは3であった。理学療法士が開頭術中マニピュレーションを実施し、筋弛緩剤を併用する全身麻酔(TIVA)下ではMAS 1、足関節背屈可動域は右-30°左-20°で腓腹筋筋短縮の関節拘縮傾向が認められた。さらに、術中最大背屈位を参考とし、ナイトブレースを目的としたシーネによる装具作成をした。しかし、手術直後のドルミカム、プレセデックスの沈静のみでは強い痙縮が出現し、内反尖足位を認めた。第31病日、前足部に発赤、水疱形成が認められた為、シーネ固定を抜去し床上での可動域訓練・ポジショニング訓練を徹底した。第36病日、水疱除圧・足位修正のため足底板を作成し、車椅子訓練再開。第40病日、足関節背屈可動域は、右-50、左-35、坐位での下肢荷重が開始後、わずかに可動域改善が確認された。第52病日、徐々に座位から立位訓練へ理学療法プログラムを進め装具検討会を実施した。装具は立位訓練の効率化を目的としたもので、支柱付き前開きの短下肢装具を左右に作製予定であったが、転院の運びとなり作成を転院先に申し送った。現在は左SLB+四点杖で監視歩行が可能となっている。<BR>【考察】<BR> 本症例は、脳圧亢進と錐体路障害による重度な痙縮が早期より出現し、切迫流産を回避するため、立位訓練などの自重を利用した積極的な足関節可動域のアプローチが実施できず、徒手的な関節可動域訓練とポジショニングのみを継続したため、足関節可動域維持、改善に難渋したケースであった。臨床所見経過では、MAS・足関節可動域に画期的変化はみられず、痙縮治療のガイドラインから認められるような、持続的伸張法としてとらえるポジショニングや、装具療法を目的としたシーネ固定も、本症例のような強い痙縮筋に対して、効果を持続することは難しく、痙縮の持続的コントロールについては、あまり望ましい治療効果が得られなかった。<BR> 本症例において、MASと足関節可動域の変化として、最も痙縮に対し治療効果が認められたのは全身麻酔下(TIVA)であり、ドルミカム、プレセデックスなどの沈静中も痙縮が増強する臨床所見から、沈静ではなく筋弛緩剤の効果は確実であったと考えられる。<BR> 近年、筋弛緩薬に対する痙縮のコントロールには否定的な報告もあるが、筋緊張緩解に関して、服薬状況と理学療法の併用が痙縮コントロールにおいて治療効果が高いことを推察させた。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 理学療法実施と並行して投薬による筋緊張コントロールは、関連身体症状への汎化も含め理学療法プランを円滑に進める手段として有効であり、重症症例に対する筋緊張亢進のメカニズムの推論と筋弛緩剤の薬理作用に対する検討が、筋緊張亢進に伴う障害の改善を目的とした理学療法施行に重要であると考えられた。
著者
跡見 順子 清水 美穂 跡見 友章 廣瀬 昇 田中 和哉 長谷川 克也
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

筆者は、一昨年「細胞・身体の不安定性の二階層と制御要求性から探る「知の身体性」基盤」として発表し、昨年は諏訪正樹とともに「モノゴトの四階層で生の営みをみる」なかで、とくに「「身体」と「細胞」を“自分の生”に照らしてみて、モノゴトの四階層を考える」ことを行った。その際に、諏訪が提起した物理的構成軸としての社会、個体、身体、器官、細胞、分子の等値関係に抱いた異質性について「知の身体性」から再検討を加える。
著者
廣瀬 昇 丸山 仁司
出版者
帝京科学大学
雑誌
帝京科学大学紀要 (ISSN:18800580)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.27-31, 2010-03-31

Our objective in this study was to learn current conditions of physical exertion and fitness of performance of young people who will be reaching late twenties in 2020 or later and thus we looked at the relationship between cardiorespiratory endurance and amounts of physical exertion. [Subject]:Sixteen (16) subjects were randomly selected from seventy eight (78) healthy male students. [method]:As for examination methods, maximum oxygen consumption was measured using cardiopulmonary exercise testing (CPX) and a pedometer with accelerometer was employed to measure total energy expenditure (TEE). [Result]:Results showed that maximum oxygen consumption was significantly lower than the average value of results taken ten years earlier. Also it was confirmed that the maximum oxygen consumption has strong direct correlation with total energy expenditure (TEE). [conclusion]: This study points to a trend that decreased cardiorespiratory endurance among the current young people is deeply related, more so than other generations, to decreased amounts of daily physical exertion.