著者
宇佐美 毅 稲葉 明穂 吉田 宏 五十里 明 富永 祐民
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.440-446, 2012 (Released:2014-04-24)
参考文献数
7

目的 本研究の目的は,飲食店における受動喫煙防止対策の現状とともに,飲食店禁煙化が経営に与える影響について明らかにすることである。方法 愛知県全域(ただし,名古屋市,豊橋市,豊田市,岡崎市を除く)の飲食店8,558店舗を対象として,調査員の訪問調査により,受動喫煙対策の実施状況,禁煙後の来客数と売り上げの変化等を調べた。調査期間は,平成21年11月 1 日から平成22年 2 月末までとした。結果 質問に回答した店舗は7,080店舗(82.7%)で,受動喫煙対策の実施状況は禁煙店舗が16.4%,分煙店舗が20.2%であり,残りの63.4%の店舗では受動喫煙対策は未実施であった。  飲食店の業種別にみると,カレー専門店,ファストフード店,などでは禁煙が進んでおり,バー,焼肉店,居酒屋,お好み焼き店などではほとんど禁煙化が進んでおらず,飲食店の受動喫煙対策は二極化していることが判明した。また,禁煙店舗については禁煙化後の来客数と売り上げは約95%の店舗で変化がなく,来客数と売り上げが増えた店舗が1.5%,減った店舗が3.9%であった。結論 愛知県で行われた大規模な,飲食店における受動喫煙対策の実態と禁煙化による経営に関する調査によると,禁煙化による顧客数や売り上げの減少など影響は少ないと考えられた。
著者
宇佐美 毅 稲葉 明穂 吉田 宏 五十里 明 富永 祐民
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.440-446, 2012

<b>目的</b> 本研究の目的は,飲食店における受動喫煙防止対策の現状とともに,飲食店禁煙化が経営に与える影響について明らかにすることである。<br/><b>方法</b> 愛知県全域(ただし,名古屋市,豊橋市,豊田市,岡崎市を除く)の飲食店8,558店舗を対象として,調査員の訪問調査により,受動喫煙対策の実施状況,禁煙後の来客数と売り上げの変化等を調べた。調査期間は,平成21年11月 1 日から平成22年 2 月末までとした。<br/><b>結果</b> 質問に回答した店舗は7,080店舗(82.7%)で,受動喫煙対策の実施状況は禁煙店舗が16.4%,分煙店舗が20.2%であり,残りの63.4%の店舗では受動喫煙対策は未実施であった。<br/>  飲食店の業種別にみると,カレー専門店,ファストフード店,などでは禁煙が進んでおり,バー,焼肉店,居酒屋,お好み焼き店などではほとんど禁煙化が進んでおらず,飲食店の受動喫煙対策は二極化していることが判明した。また,禁煙店舗については禁煙化後の来客数と売り上げは約95%の店舗で変化がなく,来客数と売り上げが増えた店舗が1.5%,減った店舗が3.9%であった。<br/><b>結論</b> 愛知県で行われた大規模な,飲食店における受動喫煙対策の実態と禁煙化による経営に関する調査によると,禁煙化による顧客数や売り上げの減少など影響は少ないと考えられた。
著者
宇佐美 毅
出版者
芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
no.51, pp.119-125, 2009-11-01

本研究はコマ撮り(ストップモーション)アニメーションにおける「メタモルフォシス」(形態変化)表現の可能性を、立体の「奥行き」を「時間」におきかえる技法の分析、実験及び作品制作を通じて検討することを目的としている。本稿では「立体断面の連続写真を撮影していく、コマ撮りアニメーションの制作技法」として「ストラタ・カット(Strata-cut)」を定義した。その制作の原理とメタモルフォシスの表現は対象を動かしながらコマ撮りする他の技法と明確に異なり、「滑らかさ」と「偶然性」をアニメーションに反映する点で特に優れている。しかしながら、ストラタ・カットの動きの制御は非常に難しく、他の制御の容易なアニメーション技法の発展の影に埋もれてしまい、顧みられることはほとんどなかった。本研究では、従来使われてこなかった素材と技法の実験、その成果として作品制作を行い、技法としての「汎用性」と「動きの制御のしやすさ」を改善することで、ストラタ・カットを発展させることを目的としている。第一段階としてアニメーションの動きを制御しやすい素材を探求する実験を行い、さらにその成果としてホットメルト接着剤とパラフィン(ろう)を用いた作品『Gluebe』を制作した。制作を通じて、ストラタ・カットの独特の表現の魅力を再発見でき、造形時にモチーフのトレース、カッターや彫刻刀を用いた細部の表現が可能になった。逆に人が歩くなど一般的なモチーフの動きの表現は尚も不向きだった。第二段階としてストラタ・カットを他技法に融合させることで一般的なモチーフの動きの表現を試みた。習作『かたち連想』では、前作の欠点を改善するため一旦断面アニメーション技法で生成したアニメーションにコンピュータ上で手書きアニメーションを重ねた。結果、具象的なモチーフの動きの表現、それに伴うストーリーの展開が可能になった反面、質感の違いによる両技法の長所が薄れてしまうことが問題として残った。そこでストラタ・カットによって得られたアニメーションをプリントアウトし切り抜き、カットアウト(切り絵)アニメーションの中に配置する試みを行い、その成果として作品『さよなら△またきて□』を制作した。結果、さらに自由なストーリーの表現が可能になり、強い没入感を与えることができたが、その反面素材本来の質感と立体感が薄れ、また労力の面で汎用性に欠ける問題が残った。