著者
宇佐美 毅 稲葉 明穂 吉田 宏 五十里 明 富永 祐民
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.440-446, 2012

<b>目的</b> 本研究の目的は,飲食店における受動喫煙防止対策の現状とともに,飲食店禁煙化が経営に与える影響について明らかにすることである。<br/><b>方法</b> 愛知県全域(ただし,名古屋市,豊橋市,豊田市,岡崎市を除く)の飲食店8,558店舗を対象として,調査員の訪問調査により,受動喫煙対策の実施状況,禁煙後の来客数と売り上げの変化等を調べた。調査期間は,平成21年11月 1 日から平成22年 2 月末までとした。<br/><b>結果</b> 質問に回答した店舗は7,080店舗(82.7%)で,受動喫煙対策の実施状況は禁煙店舗が16.4%,分煙店舗が20.2%であり,残りの63.4%の店舗では受動喫煙対策は未実施であった。<br/>  飲食店の業種別にみると,カレー専門店,ファストフード店,などでは禁煙が進んでおり,バー,焼肉店,居酒屋,お好み焼き店などではほとんど禁煙化が進んでおらず,飲食店の受動喫煙対策は二極化していることが判明した。また,禁煙店舗については禁煙化後の来客数と売り上げは約95%の店舗で変化がなく,来客数と売り上げが増えた店舗が1.5%,減った店舗が3.9%であった。<br/><b>結論</b> 愛知県で行われた大規模な,飲食店における受動喫煙対策の実態と禁煙化による経営に関する調査によると,禁煙化による顧客数や売り上げの減少など影響は少ないと考えられた。
著者
吉岡 京子 黒田 眞理子
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.20-27, 2015

<b>目的</b> 本研究の目的は,行政の保健福祉専門職が対応に苦慮する困難な事例のうち,その支援を拒否する住民の特徴および関連要因を検討することである。<br/><b>方法</b> 本調査は,対応困難事例への支援について精神科医等が助言する専門相談事業を2006年から実施している A 自治体と共同研究協定を締結し実施した。この事業に2006~2012年に提出された372人を分析した。対象者の基本属性,家族要因,精神科的要因,問題行動,保健福祉専門職による支援への拒否の有無について個人名を特定できない状態でデータ提供を受けた。保健福祉専門職による支援への拒否の有無とその関連要因を検討するためロジスティック回帰分析を行った。<br/><b>結果</b> 分析対象とした309人のうち,支援拒否なし群は102人(33.0%),支援拒否あり群は207人(67.0%)だった。ロジスティック回帰分析の結果,生活保護を受給していること(Odds Ratio=1.86, 95%CI=1.02–3.39),拒薬があること(Odds Ratio=2.07, 95%CI=1.10–3.90),暴言があること(Odds Ratio=1.97, 95%CI=1.09–3.55)が,保健福祉専門職による支援への拒否があることに有意に関連していた。<br/><b>結論</b> 本結果から支援拒否あり群は,支援拒否なし群よりも病状悪化の危険性や危機介入の必要性がより高い者である可能性が示唆された。
著者
宮林 幸江 安田 仁
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.139-146, 2008

<b>目的</b> 事故や自殺死に関する死の突然性が死別反応に影響するとされるが,突然の死に病死をも含めた比較検討はみあたらない。とくに国内に関しては,死別に関する実証的知見が不足し,死別状況による影響のみならず,群分けによる比較検討も充分になされていない。よって本研究では遺族の健康・抑うつ・悲嘆反応への死因の影響を査定していくこととする。<br/><b>方法</b> 近親者との死別を体験した親・子・配偶者・従兄弟の428人が返答し,その中から死因が記されかつメモリアルリアクション(命日反応など)を考慮した178人に対し質問紙調査を実施した。そして回答を,自殺,事故死,急性死,病死(闘病期間 1 年未満)の 4 群に分類した。各群の身体的・精神的健康については GHQ・SRQ-D により,日本人の悲嘆の情緒を主とする反応は Miyabayashi Grief Measurement (MGM)により測定した。<br/><b>結果</b> 4 群の得点順位はほぼ自殺>事故死>急性死>病死群の順となった。自殺・事故死・急性死の GHQ, SRQ-D 得点が臨床弁別閾内,または弁別域を超えた。GHQ の下位尺度である身体症状と不安不眠尺度に群間差は認められないが,不安不眠は死因に拘らず遺族全体に高得点であった。MGM では,病死と比較した自殺・事故死との間で全 4 下位尺度に群間差が認められ,自殺遺族の死別反応は,最大と判明した。その一方で下位尺度の中の適応・対処の努力(高得点ほど,実行不可の逆転の項目)では最も非力であった。<br/><b>結論</b> 死因が死別反応に影響することが確認された。とくにその影響力は健康面より悲嘆の情緒反応において顕著と判明した。
著者
田中 英夫 野上 浩志 中川 秀和 蓮尾 聖子
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.929-933, 2002-09-15

<b>目的</b> 全国の薬局,薬店で喫煙者の鎮咳,去痰剤として販売されている紙巻きたばこ型薬用吸煙剤(ネオシーダー,製造:アンターク本舗,千葉県,以下 NC と表す)の医薬品としての妥当性を,製品のニコチン含有量と,これを試行した者および連用者の尿中コチニン量から評価検討した。<br/><b>方法 1</b> NC および,コントロールとしてマイルドセブンエクストラライト(以下 MSE と表す),マイルドセブンスーパーライト(以下 MSS と表す),セブンスター(以下 SS と表す)の葉0.25 g を蒸留水10 m<i>l</i>で 5 分間振とうし,遠心分離後に抽出液を発色反応させ,高速液体クロマトグラフィーで分析した。<br/><b>方法 2</b> 喫煙中であった32歳医師を被験者とし自記式問診とともに,禁煙時,NC 使用時,禁煙継続かつ NC 不使用時の 3 点で尿中コチニン量を測定した。<br/><b>方法 3</b> 外来患者の中でタバコの代替物として NC を継続使用していた 2 人の連用者を見出し,自記式問診と採尿を実施し,尿中コチニン量を測定した。<br/><b>成績 1</b> 製品 3 cm(実際の 1 本当たり消費量)当たりの平均ニコチン含有量は,NC; 0.79 mg (n=6), MSE; 5.04 mg (n=2), MSS; 4.91 mg (n=2), SS; 5.55 mg (n=2)。<br/><b>成績 2</b> 被験者の喫煙中の Fagerstrom Test for Nicotine Dependence は 3 点。禁煙の開始から最終回の採尿までの期間の受動喫煙はなし。尿中コチニン量は,禁煙開始 7 日目10.0 ng/m<i>l</i>。NC を 3 日間で17本使用後47.2 ng/m<i>l</i>,禁煙継続かつ NC 不使用 3 日目8.4 ng/m<i>l</i>。<br/><b>成績 3</b> 53歳男性:喫煙当時の FTND は 6 点。調査期間中の受動喫煙はなし。NC を 1 日平均40本連用中の尿中コチニン量は937 ng/m<i>l</i>。75歳女性:喫煙当時の FTND は 7 点。NC を 1 日27本連用中の尿中コチニン量は2724 ng/m<i>l</i>。NC 中止96時間後では27.7 ng/m<i>l</i>。<br/><b>結論</b> NC は非麻薬性で習慣性がみられないと説明されているものの,ニコチンを含有していること,使用により本剤に含有するニコチンが体内に移行することがわかった。また,本剤の使用によってニコチンへの依存性が生じ,長期連用を引き起こしていたとみられる 2 例を報告した。
著者
安梅 勅江 篠原 亮次 杉澤 悠圭 伊藤 澄雄
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 = JAPANESE JOURNAL OF PUBLIC HEALTH (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.681-687, 2006-09-15
被引用文献数
6

<b>目的</b> 本研究は,大都市近郊の農村に居住する65歳以上の者全数801人に対する1998年から2005年までの追跡調査により,社会とのかかわり状況と死亡率との関連を社会関連性指標を用いて明らかにしたものである。社会関連性指標は,地域社会の中での人間関係の有無,環境とのかかわりの頻度などにより測定される,人間と環境とのかかわりの量的側面を測定する指標である。<br/><b>方法</b> 1998年に配票留置の質問紙に回答した者の死亡に関するデータを2005年まで集計した。有効回答は,回答者のうち事故死および死亡理由不明者,転出者,基準年の介護状態不明者を除いた669人とした。7 年間の死亡者は139人(12.7%)であった。調査内容は,年齢,性別,罹患,介護,ADL,社会関連性指標であった。<br/><b>結果</b> 1) 社会関連性指標の項目のうち,「家族以外との会話」,「訪問の機会」,「活動参加」,「テレビの視聴」,「新聞の購読」,「本・雑誌の購読」,「役割の遂行」,「近所づきあい」,「趣味」,「ビデオ等の利用」,「健康への配慮」,「生活の工夫」,「積極性」,「社会貢献への意識」が乏しい場合,7 年後の死亡率が有意に高くなっていた。<br/> 2) 多重ロジスティック回帰分析を用い,基準年の年齢,性別,罹患,介護,移動機能,感覚機能,身辺処理機能を調整変数として社会関連性指標の各項目の死亡に対するオッズ比を算出した。「活動参加」,「趣味」,「役割の遂行」,「積極性」,「ビデオ等の利用」の項目が有意となり,調整変数に関わらず,社会関連性が乏しいと死亡率が高いという関連が示された。<br/><b>結論</b> 社会関連性は生命予後との関連がみられた。具体的な行動と活動状況を評価基準とする社会関連性指標を用いることにより,地域で生活する高齢者の日常生活における社会とのかかわり状況を把握し,介護予防マネジメント等に活用可能なことが示唆された。
著者
伊藤 ゆり 中村 正和
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.613-618, 2013-09-15
参考文献数
12

<b>目的</b> 1998年にたばこ特別税が創設されて以来,2003年,2006年,2010年と過去 3 回のたばこ税•価格の引き上げが実施された。我が国におけるたばこ販売数量および販売代金に関する統計データの年次推移を用いて,過去のたばこ税•価格引き上げの影響を評価する。<br/><b>方法</b> (社)日本たばこ協会による紙巻たばこ統計データより,平成 2 年~平成22年度(1990~2010年)の年度別販売実績(数量および代金)をそれぞれ,Joinpoint Regression Model に適用し,年次推移を分析した。また,過去三回のたばこ税•価格引き上げの影響を平野らの方法を用いて,たばこ価格引き上げ前の販売数量の減少(税•価格引き上げ以外の要因による減少)を考慮した上で,価格引き上げによる販売数量減少効果を推定した。<br/><b>結果</b> Joinpoint Regression Model により,1998年度以降たばこ販売数量は減少に転じ,2005年度以降は年率平均 5%で減少傾向にあることがわかった。また,2003年度,2006年度,2010年度のたばこ税•価格引き上げ年度における減少効果はそれぞれ−2.4%,−2.9%,−10.1%(震災影響の補正後)であり,価格弾力性はそれぞれ−0.30,−0.27,−0.28(同補正後)であった。2010年度の大幅値上げ時に販売数量の減少効果がもっとも大きくなった。一方,価格弾力性は2003年度,2006年度とほぼ同レベルで,税•価格を大幅にあげても販売代金および税収への影響は小さいことが示唆された。<br/><b>結論</b> 2010年度におけるたばこ税•価格の大幅引き上げは,たばこ販売数量を大きく減少させたが,価格弾力性は2003年度,2006年度とさほど変わらなかった。今後我が国における喫煙の被害を減少させるためにも,さらに大幅なたばこ価格の引き上げが必要であることが示唆された。
著者
関 奈緒 関島 香代子 田辺 直仁 鈴木 宏
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.252-256, 2004

<b>目的</b> 成人式における喫煙率調査を試行し,未成年者喫煙防止対策の基礎値把握および長期評価指標としての実用性を考察する。<br/><b>対象および方法</b> 学校・地域保健連携による包括的地域たばこ対策を推進している新潟県 A 村(人口約6,500人)とその近隣の B 町(同12,000人)を対象地区とした。平成14年度に 2 地域の公的行事である成人式に出席した新成人(A 村69人,B 町118人)を対象に,現在の喫煙状況,初喫煙年齢,喫煙常習化年齢(A 村のみ),出身小学校等を無記名自記式アンケートにより調査した。<br/><b>結果</b> A 村の男女別新成人喫煙率は,男性68.0%,女性48.6%,かつその約 9 割は毎日喫煙者であり,喫煙者の 7 割以上が未成年期で常習化を来していた。B 町の新成人喫煙率もほぼ同様の結果であった。なお,高校生を対象とした喫煙率調査のみでは未成年者喫煙率が20%程度低く見積もられる可能性が示唆された。<br/><b>結論</b> 成人式を活用した喫煙率調査は,未成年者喫煙防止対策の基礎値把握および長期評価の簡便な指標として実用可能である。
著者
井上 さやか 田渕 英一 今村 知代 野口 誠 古田 勲
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.768-776, 2008-11-15
参考文献数
32

<b>目的</b> 高校生を対象に歯科検診および質問紙による調査を実施し,歯列・咬合異常が現代の高校生の心身の健康意識に及ぼす影響について調べた。<br/><b>方法</b> 健康意識に関する質問紙による調査および歯科検診を実施し,検診結果の記入後に質問紙を回収した。歯科検診により歯列・咬合異常の程度を"異常なし","要観察","要精検"の 3 群に分類した後,歯列・咬合異常の程度と心身の健康意識との関連性について有意検定を行った。<br/><b>結果</b> 歯列・咬合異常の程度が顕著になる群ほど,1)歯列・咬合異常をより強く自覚し,咬合不全をより意識した(<i>P</i><0.001)。2)健康意識に対してはネガティブな自己評価をした(<i>P</i><0.001)。<br/><b>結論</b> 歯列・咬合異常がネガティブな自己評価と結びつき,精神的ストレスを引き起こす要因の一つとなっている可能性が示唆された。歯列・咬合異常をもつ若年者を早期に発見し,正常な歯列や咬合を指導・育成することは,咀嚼を正しく行うことだけでなく,健全な精神的発育を促すためにも重要であると考えられた。
著者
馬場 千恵 村山 洋史 田口 敦子 村嶋 幸代
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.727-737, 2013

<b>目的</b> 社会とのつながりの欠如から孤独感を持ちやすい状況にある育児中の母親へ効果的な支援を行うため,ソーシャルネットワーク(接触頻度)とソーシャルサポートの状況を把握し,それらと孤独感との関連を明らかにする。<br/><b>方法</b> 2008年 8~11月に,東京都 A 区の 4 つの保健センターで行われた 3~4 か月児健康診査に来所した母親978人を対象に,無記名自記式質問紙を配布した。調査項目は,改訂版 UCLA 孤独感尺度,母親と子どもの基本属性,育児環境,夫(パートナー)•実父母•ママ友達•友人の有無,およびそれらとのソーシャルネットワーク(接触頻度)とソーシャルサポートであった。接触頻度は,直接会うこととそれ以外に分けて測定した。分析は,まず,孤独感尺度を従属変数とし,夫(パートナー)•実父母•ママ友達•友人の有無を独立変数とした重回帰分析を行った。次に,孤独感と夫(パートナー)•実父母•ママ友達•友人との接触頻度とソーシャルサポートとの関連を検討するため,孤独感得点を従属変数とした重回帰分析を行った。接触相手やサポート提供者等がなく欠損値があった者は分析から除外されたが,ママ友達がいない者の分析は追加し,副解析として重回帰分析を行った。<br/><b>結果</b> 配布した963票のうち432票を回収し,417票を有効回答とした(有効回答率43.3%)。母親の孤独感の平均得点は34.4±9.0点であった。重回帰分析の結果,ママ友達および友人がいない者ほど,孤独感得点が高かった。すべての接触相手•サポート提供者がいる者(ママ友達もいる者)は,夫(パートナー)との会話時間が長いほど,ママ友達,友人との会う頻度が少ないほど,また,実父母やママ友達,友人からのソーシャルサポートが低いほど,孤独感得点が高かった。一方,ママ友達以外の接触相手•サポート提供者がいる者(ママ友達がいない者)では,孤独感得点と接触頻度,ソーシャルサポートとの関連はなく,対人態度や母親意識が関連していた。<br/><b>結論</b> 母親の孤独感の予防•軽減には,ママ友達や友人の有無,実父母•ママ友達•友人との関係,対人態度,母親意識等をアセスメントし,その上で,母親役割の肯定感を高められるような介入や,ママ友達•友人と直接会う機会および実父母•ママ友達•友人からソーシャルサポートを得られるような働きかけを行うことが重要であると考えられた。
著者
片岡 大輔 曽根 智史 谷畑 健生 谷口 栄作 牧野 由美子 中川 昭生
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.898-905, 2005

<b>目的</b> 「健康ますだ21」は2001年度を初年度として,2004年・2007年に中間評価,計画の見直しを行い,2010年を目標年次とする10か年計画である。「健康ますだ21推進協議会」の下部組織として,「栄養・食生活と歯科保健部会」「たばこと酒部会」「運動とストレス部会」の 3 つの部会がある。市域15地区では,3 つのうち 1 つの部会の活動テーマを 3 年ずつ重点的に展開している。本研究の目的は,中間評価の一環として,過去 3 年間の活動が益田市民の健康行動の向上に有用であったか否かを検証することである。<br/><b>方法</b> 対象は,益田市15地区から無作為に抽出された20歳以上の男女4,000人である。「栄養・食生活」,「歯の健康」,「たばこ」,「アルコール」,「身体活動・運動」,「休養・こころの健康づくり」の 6 分野,合計29の指標について,市民の健康づくりに対する意識・行動等を調査した。まず市全体の集計結果を,行動目標値と照合した。つぎに2000年に行われた健康行動調査時のベースライン値と,2004年の指標値を市全体で比較した。さらに2000年と2004年の指標値を,延べ 6 つの性・年齢階層別に比較した。最後に過去 3 年間に重点的に展開した活動テーマにより,15地区を 3 つの地区群にまとめ,地区群別に比較した。<br/><b>結果</b> 回収数は2,946件(回収率73.7%)であった。益田市の行動目標を達成した指標は,「男性の喫煙率」であった。2000年と2004年の指標値を比較したところ,市全体において11指標が有意に改善し,5 指標で悪化を認めた。5 つの性・年齢階層では,改善した指標数が悪化した指標数を上回った。各地区群の重点分野で合計 7 指標が改善し,これら 7 指標の全ては,市全体においても有意に改善を示した。各地区群の重点分野で悪化した指標はなかった。<br/><b>結論</b> 15地区が部会の活動テーマを推進することにより,各地区で弱点分野を補強しながら,市全体の健康行動の向上に寄与している可能性が高いことが示唆された。今後これらの活動がさらに多くの市民に認知され,各年齢階層および各地区で生活習慣の改善に結びつくことが期待される。
著者
大坪 浩一 山岡 和枝 横山 徹爾 高橋 邦彦 丹後 俊郎
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 = JAPANESE JOURNAL OF PUBLIC HEALTH (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.347-356, 2004-05-15
被引用文献数
5

<b>目的</b> 医療資源の適正配分・適正配置を考えるうえで,地域における医療資源の死亡への影響を評価することは重要である。死亡指標として用いられることの多い標準化死亡比(SMR)は,市区町村単位のような小地域レベルでの比較に用いる際には人口サイズの相違の影響を受けやすく,わずかな死亡数の変化が見かけ上の指標を大きく変化させるという問題がある。そこで,本研究では,「経験ベイズ推定に基づく SMR」(EBSMR)に基づき医療資源の死亡に及ぼす影響について,社会経済要因の影響を調整したうえで評価することを目的とした。<br/><b>方法</b> 本研究では医療資源が適正配置されているかという点に着目し,これまでの研究で主な医療資源の指標とされてきた医師数,一般診療所数,一般病床数(いずれも対人口)に加え,脳血管疾患や心疾患死亡に影響すると考えられた救急医療体制参加施設数などを取り上げた。死亡指標は,平成 5 年~平成 9 年の福岡県における全死因および脳血管疾患,心疾患,悪性新生物の 3 大疾患,および急性心筋梗塞の性別の EBSMR を取り上げた。社会経済要因として,出生数,転入・転出者数,高齢者世帯数,婚姻件数,離婚件数,課税対象所得,完全失業者,第一次産業就業者,第二次産業就業者数,第三次産業就業者数,刑法犯認知件数を取り上げた。EBSMR と医療資源変数および社会経済変数との関連性を,正規分布を呈しない変数については対数変換後,重回帰分析により検討した。<br/><b>結果</b> 重回帰分析より得られた主要な結果として,人口対医師数(男性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.047,女性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.012),人口対救急医療体制参加施設数(女性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.001),人口対一般病床数(女性全死因 <i>P</i><0.001,女性脳血管疾患 <i>P</i>=0.007,女性心疾患 <i>P</i><0.001,女性悪性新生物 <i>P</i>=0.049)では,それが多いほど EBSMR が低くなる傾向が認められた。逆に,人口対一般診療所数では,それが高いほど死亡が高まる傾向を示していた(女性全死因 <i>P</i>=0.025,女性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.006)。<br/><b>結論</b> 以上より,福岡県を事例として,市区町村レベルでの医療資源の死亡に及ぼす影響を EBSMR で評価したところ,医師数の充実と男女の急性心筋梗塞死亡の低下,一般病床数の充実と女性の全死因・女性の脳血管疾患・女性の心疾患・女性の悪性新生物死亡の低下,救急医療体制参加施設数の充実と女性の急性心筋梗塞死亡の低下の関連が認められ,医師数および入院や救急に関する医療資源を適正配分することの重要性が示唆された。
著者
冨田 直明
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.163-169, 2008

<b>目的</b> 愛媛県東部地域の A 市の家庭で発生した腸管出血性大腸菌 O26感染症(以下 EHEC O26症)の事例を分析し,保健所における今後の EHEC 感染症の対策を検討した。<br/><b>方法</b> 2005年 8 月20日に A 市内の小児科医院より,A 市内の小学 2 年生女児から EHEC O26 Vero 毒素 VT1(以下 O26VT1)の発生の届出が A 保健所に提出された。直ちに A 保健所職員が母親に対して喫食調査を行った。更に感染源の究明を目的に,患者および無症状病原体保有者の検便の分離株に対してパルスフィールド・ゲル電気泳動法(以下 PFGE)による遺伝子解析を行った。<br/><b>成績</b> 喫食調査から 8 月15日に a,b,c の 3 家族14人が焼肉による会食を行ったこと,焼肉用の牛肉は愛媛県中部地域の B 市に隣接した C 町から購入したことが判明した。<br/> 会食後の発症経過は,a 家族では17日に 7 歳女児,18日に 3 歳男児に数回の下痢と粘血便が出現した。b 家族では 7 歳男児が17日からの家族旅行中に軟便が出現したために帰宅後に検便を実施し24日に 7 歳男児,27日に30歳代母親に無症状で O26VT1 が検出された。c 家族では27日に保育園へ通園中の 4 歳女児から無症状で O26VT1 が検出された。また 4 人の分離菌株遺伝子を制限酵素(XbaI)による切断後の PFGE による遺伝子解析を行った結果,4 人の分離株遺伝子パターンはすべて一致した。<br/> そして今回の事例とは別に,同年 8 月10日に B 市内の飲食店で焼肉を喫食して,腹痛と数回の下痢が出現し O26VT1 が検出された母娘の分離株遺伝子パターンとも一致した。<br/><b>結論</b> O26VT1 の強い感染力のために,感染源からの直接感染に止まらず,感染者の家族に二次感染が引き起され,さらには無症状病原体保有者の存在により感染者の認知が困難になり,対策が後追いになった事例であった。そして保育園や幼稚園などで EHEC O26症が発生した場合には,家族や職員などへの二次感染を念頭に置き,初期段階から広範囲な検便を中心にした積極的な疫学調査が必要と考えられた。<br/> また今回の事例では,遺伝子解析と喫食調査から感染源が,B 市内で発生した事例と同じ流通経路の食材であった可能性が推測された。そして広範囲な散発的集団感染に対しては,その認知や感染源の究明のために,PFGE による病原体の遺伝子解析と疫学的調査結果を組み合わせた方法が有効と考えられた。
著者
Riho IWASAKI-MOTEGI Kyoko YOSHIOKA-MAEDA Chikako HONDA Noriko YAMAMOTO-MITANI
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.417-423, 2022-06-15 (Released:2022-06-15)
参考文献数
27

Objective This study aimed to explore the support extended by prefectural public health nurses (PHNs) toward the human resource development (HRD) of municipal PHNs in Japan.Methods We performed a qualitative descriptive study involving nine prefectural PHNs from April 2019 to May 2020. The data were collected through semi-structured interviews using an interview guide, described qualitatively, coded, and then categorized.Results Five categories were extracted. “Clarifying the needs and problems related to HRD and daily PHN activities in the municipalities,” “Creating an environment where all municipal PHNs have equal opportunities for off-the-job training,” and “Helping municipal PHNs recognize the meaning of practice and develop an evaluation perspective” were extracted from the prefectural government PHNs and prefectural health center (HC) PHNs. “Clarifying problems and future prospects to encourage the growth of PHNs” and “Creating an environment where the significance and value of the activities of PHNs are recognized within the organization and HRD can easily take place” were extracted from the HC PHNs.Conclusion Much of the HRD support provided by the prefectural PHNs to the municipal PHNs was analogous to the PHN activities provided to the community and residents. To promote HRD effectively, prefectural PHNs should apply their individual care skills to the HRD of municipal PHNs.
著者
新村 洋未 若林 チヒロ 國澤 尚子 萱場 一則 三浦 宜彦 尾島 俊之 柳川 洋
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.170-176, 2008

<b>目的</b> 喫煙対策は健康維持増進を図る上で重要な項目での一つである。この研究の目的は健康日本21発表後10年間で目標達成を目指し地方計画を策定している全国の市町村の喫煙対策の目標設定状況と事業の実施状況を明らかにし,今後の市町村の喫煙対策事業実施の基礎資料を提供することである。<br/><b>方法</b> 2003年の全国調査において地方計画策定済みまたは策定予定と回答した1,446市町村のうち,2005年 6 月20日までに合併終了または合併予定の市町村を除いた953箇所に対し,郵送による質問紙調査を実施した。<br/><b>結果</b> 回答が得られた793市町村(回答率83.2%)のうち,地方計画を策定済みの638市町村を分析対象とした。<br/> 実施事業の内容では,市町村施設の分煙化がもっとも実施率が高く(74.8%),ついで禁煙支援プログラム(35.0%),市町村施設の全面禁煙(32.4%)であった。路上喫煙禁止またはタバコのポイ捨て禁止条例の制定(7.5%),禁煙・分煙を行っている飲食店名の公表,市町村施設の禁煙タイムは 5%以下であった。<br/> また未成年者の喫煙対策は,学校における教育が70%の市町村で実施されているものの,たばこ販売時の年齢確認,自動販売機の削減・撤廃は 5%以下,たばこ広告の制限は実施されている市町村はなかった。<br/> 人口規模の小さい市町村ほど目標設定や禁煙支援プログラムなどの事業や学校内全面禁煙の実施が低かった。<br/><b>結論</b> 「健康日本21」発表以後,市町村における喫煙対策事業は,庁舎内全面禁煙の増加や禁煙支援プログラム等,取り組みが進んでいるが,まだ事業拡大の余地はある。また未成年の喫煙対策は十分でないことが明らかとなった。これらの多くの喫煙対策事業は,人口規模の小さい市町村ほど実施率が低いことから,重点的に支援する体制の必要が示唆された。
著者
山本 則子 石垣 和子 国吉 緑 川原(前川) 宣子 長谷川 喜代美 林 邦彦 杉下 知子
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.660-671, 2002-07-15
参考文献数
23
被引用文献数
10

<b>目的</b> 「介護に関する肯定的認識」が,介護者の心身の生活の質(QOL)や生きがい感および介護継続意思に与える影響を,続柄毎に検討することを目的とした。<br/><b>方法</b> 東京・神奈川・静岡・三重・沖縄の全21機関において訪問看護を利用している322人の高齢者の家族介護者に質問紙調査を実施した。介護負担感が続柄により異なるという過去の報告に鑑み,分析は続柄別に行った。分析には QOL,生きがい感,介護継続意思を従属変数に,属性および介護に関する肯定的認識・否定的認識を独立変数とした重回帰分析およびロジスティック回帰分析を用いた。<br/><b>結果</b> 1) 身体的 QOL に「肯定的認識」は関連しない。<br/> 2) 心理的 QOL と「肯定的認識」の関連は続柄により異なる。介護者が夫および息子の場合は「肯定的認識」のみが,妻の場合は「肯定的認識」,「否定的認識」の両者が心理的 QOL に関連する。娘の場合は「否定的認識」のみが心理的 QOL に関連する。嫁の場合はどちらも心理的 QOL に関連しない。<br/> 3) いずれの続柄でも生きがい感には「肯定的認識」が強く関連する。夫および息子では「否定的認識」は生きがい感に関連しない。<br/> 4) 介護継続意思には,夫および息子では「肯定的認識」,「否定的認識」の双方が関連するが,妻・嫁では「肯定的認識」のみが関連する。娘では「否定的認識」が介護継続意思に関連する。しかし,続柄別の違いはわずかと思われる。<br/><b>結論</b> 介護者の心理的 QOL や生きがい感を高める支援を考えるため,介護の継続を予測するためには,介護の肯定的認識を把握することが重要と考えられる。介護の肯定的認識の影響は続柄別に異なるため,支援に際しては続柄別に検討を行うことが必要である。
著者
足立 ちあき 毛利 好孝
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.14-21, 2011

<b>目的</b> 新型インフルエンザの集団感染が疑われた高等学校に対する疫学調査,患者への対応等を通して,新感染症発生時の初期対応にかかる課題を明かにする。<br/><b>方法</b> 5 月16日,神戸市内で国内初の新型インフルエンザ患者の発生が確認,報告された直後に集団発生が疑われた高校で,インフルエンザ様症状の認められた高校生14人を対象に,集団検診,PCR 検査および疫学調査等を実施した。<br/><b>結果</b> 渡航歴やインフルエンザ様症状を呈している者との接触歴がある者はいなかった。PCR 検査の結果,14人中 9 人が新型インフルエンザと確定診断された。患者 9 人については,発熱,咳,頭痛,倦怠感等の症状がみられたが,成田空港検疫所で 5 月 8•9 日に確定診断された 4 症例に比べ,発現率が低かった。確定時には,すでに抗インフルエンザウイルス薬の処方等を受け,臨床症状が消失し,感染性の低さも示唆されたため,入院治療が必要でないことが明らかであり,とくに患者発生の多かった神戸市では入院病床数が限界に近づいていたため,9 人全員に対し入院勧告を行わなかった。家族等濃厚接触者にも感染を疑う臨床症状を認める者がいなかったことから,不要不急の外出を控えるよう理解を求めるにとどめた。<br/><b>結論</b> 今回,兵庫県において新型インフルエンザの国内初発例を確認し,早期の段階でまん延状態と言える状況となった経験から,新感染症の発生時には,発生地域から得られる臨床症状,経過等の情報を速やかに収集•分析し,各時点におけるウイルスの特徴や感染力等を見極めた上で,地方自治体において,柔軟な対応をとれる体制を整備する必要があると考える。
著者
Ayumi KONO Naomi FUKUSHIMA Takuma ISHIHARA Noriko YOSHIYUKI Kouji YAMAMOTO
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.267-275, 2021-04-15 (Released:2021-04-23)
参考文献数
34

Objectives We investigated the 5-year disease-related mortality risk, including that associated with neoplasms, mental/behavioral/neurodevelopmental disorders, and diseases of the circulatory system and respiratory system,in ambulatory frail Japanese older adults.Methods We retrospectively analyzed long-term care and health insurance claims data in this cohort study performed between April 2012 and March 2017. The primary outcome was mortality, and the secondary outcome was care-need level decline. Risk factors were determined based on the International Statistical Classification of Disease and Related Health Problems, 10th Revision codes, hospitalization, and institutionalization. The study included 1,239 ambulatory frail older adults newly certified as needing Support-Level care at baseline (April 2012-March 2013) across three Japanese municipalities.Results Of the 1,239 participants, 454 (36.6%) died. Neoplasms (hazard ratio [HR] 2.69, 95% confidence interval [CI] 1.97-3.68) or respiratory system diseases (HR 1.62, 95%CI 1.26-2.08) were independently associated with mortality. Mental/behavioral/neurodevelopmental disorders (HR 1.39, 95%CI 1.17-1.66) or diseases of the respiratory system(HR 86, 95%CI 75-99) were independently associated with care-need level decline.Conclusions This study suggests that neoplasms or respiratory system diseases were associated with a high mortality risk and that mental/behavioral/neurodevelopmental disorders were associated with care-need level decline among ambulatory frail older adults. Optimal disease management and effective long-term care are important to delay the onset of these events in older adults certified as needing Support-Level care.
著者
チェ ジョンヒョン 村嶋 幸代 堀井 とよみ 服部 真理子 永田 智子 麻原 きよみ
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.948-958, 2002-09-15
被引用文献数
4

<b>目的</b> 在宅ケアサービスの利用に関する従来の研究では,複数のサービスを一括して扱うことが多かった。本研究では,訪問看護と介護サービスについて,各々の利用者の特徴を明らかにすることを目的とした。<br/><b>方法</b> 人口36,000人の S 県 M 町における平成 9 年10月 1 日時点の訪問指導台帳より抽出した調査対象高齢者134人に対し,質問紙を用いた面接調査を行った。訪問看護,ホームヘルプの利用に関して,①利用の有無,および,② Andersen のモデルの 3 要因(属性要因,ニーズ要因,サービス利用促進/阻害要因)との関連性を明らかにした。<br/><b>結果および考察</b> 134人中,訪問看護は38.1%,ホームヘルプは36.6%の人が利用していた。<br/> 訪問看護は,高齢者の ADL が低下しているほど,過去 2 年間の入院経験があるほど家族の世話の仕方が少ないほど,介護者のサービス利用への抵抗感が少ないほど利用しており,ニーズ要因が最も影響していた。<br/> ホームヘルプは,家族の世話の仕方が少ないほど,訪問看護を利用しているほど,利用しており,属性要因と利用促進/阻害要因が影響していた。<br/> 訪問看護とホームヘルプの両方の利用者は,看護のみの利用者に比べて,家族がケアを提供するのが難しく,また,ヘルパーのみの利用者に比べて利用者の ADL 等身体状態が低い。<br/><b>結論</b> 訪問看護とホームヘルプの利用を推進する要因は異なっており,両者を併せて利用している者は,複合的ニーズを持っているという特徴が認められた。