著者
古賀 政利 上原 敏志 長束 一行 安井 信之 長谷川 泰弘 岡田 靖 峰松 一夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.67-73, 2009
被引用文献数
3

背景および目的:脳卒中では緊密な連携の重要性が強調されている.脳卒中地域医療における急性期病院の実態を明らかにする.<br> 方法:急性期病院2,185施設に対しアンケート調査を行った.<br> 結果:有効回答46%で,うち52%が脳卒中患者を診療していた.多くが,地域医療圏は二次医療圏(45%)であるとし,その中心的役割は急性期病院(69%)と回答した.他の急性期病院,回復期リハ病棟,一般診療所,維持期施設事業所,周辺地域全体,自治体との連携が良好は75%,75%,74%,69%,73%,34%であった.医療(介護)情報を既に共有しているのは20%(14%)で,共有する予定51%(51%),共有する予定なし25%(30%)であった.医療保険と介護保険のシステムでは十分なリハビリを提供しにくいとの回答が67%に達した.<br> 結論:脳卒中連携において中心的役割を担う急性期病院でも,地域での情報共有は未だ十分ではなかった.<br>
著者
川村 伸悟 鈴木 明文 吉岡 喜美雄 西村 弘美 奈良 正子 安井 信之
出版者
医学書院
雑誌
Brain and Nerve 脳と神経 (ISSN:00068969)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.475-480, 1986-05-01

抄録 体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potentials:SEP),早期陰性成分N1振幅値(P1-N1 peakto peak amplitude)の再現性と,SEP記録方法の内,特に加算回数と体性感覚刺激強度の妥当性につき検討した。対象は,正常人15例,平均年齢29歳である。体性感覚刺激は,2本の針電極を手関節部正中神経上皮膚に刺入し,持続時閥1msecの低電圧矩形波刺激により行った。SEPの記録は,体性感覚刺激と反対側頭頂部頭皮より記録した脳波を平均加算して行った。N1振幅値の再現性を検討した結果,(1)加算回数は多いほど再現性は高くなった。しかし,臨床応用の場で刺激間隔1秒の時には,250回が限界と考えた。(2)刺激強度は,thumb twitchが生じる刺激電圧よりわずかに大きな電圧とする限り,N1振幅値の再現性への影響はなかった。(3) SEPの成分は刺激後500msec以降には認めず,刺激間隔を1秒とすることは妥当であった。但し,刺激間隔を一定にすると,規則的な背景脳波をaverage outできない場合がある。(4)加算回数250回,刺激強度thumb twitch threshold,刺激間隔1秒の条件下ではSEP反復記録におけるN1振幅値比の変化し得る範囲(95%信頼区間)は,0.440以上1.62以下と考えられた。